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ダンジョンマスター with 妖精 ~ひたすら型破り~  作者: 紅蓮グレン
第2章:マスターと対人関係

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19.初めての結婚式

「ど、どうですかな、リチャード殿?」


 着替えを終え、部屋から出てきたルキナスさん。その恰好を見て俺とティリは驚いた。


「これは……」

「想像以上です……」


 そして2人揃って、


「「まさかこんなに似合うなんて……」」


 と言った。思わずそう呟いてしまう程、ルキナスさんには白いタキシードが似合っていたのだ。一層ルキナスさんの整った顔立ちを際立たせる。


「いつものローブより格好良く見えますよ。寧ろそれが普段着だって言われても信じちゃいそうなぐらい違和感がありません。」

「確かに、全く浮いてないですね。とてもお似合いです。」

「に、似合っているのならばよいのですが……」


 ルキナスさんはちょっとドギマギしている。緊張しているみたいだ。


「大丈夫ですよ。ちゃんと服を着ています。服に着られてはいませんから。」

「そうですそうです。心配いりません。」


 ティリは空中をクルクルとアクロバティックな動きで飛び回って、何だか楽しそうだ。


「さ、あとはルーアちゃんが戻ってくるのを待つだけです。」


 俺はそう言うと、先程設置した新しい施設のある部屋へと向かった。



「おー、凄いなこれ……」


 俺はそう呟いた。先程設置した施設、それは『教会』だ。見るのは初めてだが、荘厳さを感じる。しばらく眺めてから中に入ると、


「この度は結婚式ということですが、あなたが新郎殿ということでよろしいですか?」


 と神官服を着た男性に聞かれた。


「え? あ、いや……その前にあなたは誰ですか?」

「おお、これは失礼を。自己紹介を忘れておりました。小生は、ダンジョンから教会へ依頼ありし時に馳せ参じる神官、ルーカス・カーター・ドモンと申します。種族は魔族。ゴーンドワナ大陸のウェーバーという街で神官をしております。以後お見知りおきを、新郎殿。」

「あ、いや、俺は新郎じゃないです。俺はこのダンジョンのダンジョンマスターであるリチャード・ルドルフ・イクスティンクです。」


 俺がこう言うと、ルーカスさんは首を傾げた。


「はて? リチャード殿とこのダンジョン付きの妖精殿の結婚ではないのですか?」

「はい。このダンジョンに住んでる魔術師とこのダンジョンに住む予定の獣人の結婚式です。」

「なっ? こ、このダンジョンには同居人がいるのですか?」

「ええ。入って来たのを捕まえて仲間になって貰った人と、草原で危篤に陥っていたので介抱した人ですけど。」


 俺のこの言葉に、ルーカスさんは目を見開いた。


「ダンジョンに同居人とは……このような特異なダンジョンは見たことがありませぬが、まあ、神の思し召しでしょうな。しかし、そうなるとダンジョンに直接関係があった者では無いということで、寄付金は少々高くなりますよ。予算はどのくらいですかな?」

「1000万ゴルドくらいですけど、足りますか? 足りないならもう少し増やしますけど。」

「1000万ゴルド? いや、そこまで寄付して頂く必要は……200万ゴルドでも十分すぎる程です。」

「あ、それじゃ200万ゴルドでお願いします。3時間後くらいに新郎新婦は入ってくると思うので、準備しておいて貰えますか?」

「お任せを!」


 そう言って腰を直角に折るルーカスさん。俺は


「じゃあ、よろしくお願いします。」


 と言って、教会を後にした。



「あ、お帰りなさいませです、ご主人様。」


 コントロールルームに戻ると、ティリがハチミツを食べながらそう言ってきた。


「ああ、ただいま、ティリ。ルーアちゃんはまだ戻ってきてないのか?」

「はい。多分時間切れギリギリまでいるつもりなんじゃないですかね? 久しぶりらしいですし。」

「なら制限時間設定しない方が良かったかもしれないな。でも裏切らないって立証できないし。結婚式が終わったら今度は時間制限なしで会わせてあげよう。」

「全く、ご主人様はお人好しですね……反論はしませんけど。」

「裏切られなければ、の話だ。そう言えば、ルキナスさんがいないけど、どこ行ったんだ?」

「部屋に戻ってます。落ち着きたいとか言ってました。」

「そうか。落ち着かせる成分の入っているカモミールティーでも飲んでるんだろうな。」


 俺はそう言うと、ルーアちゃんがいなくなってから偵察に出していたレッドイーグルたちを戻らせ、ソイルウルフに入り口を塞がせた。結婚式に邪魔が入るのは困るからな。


「これでひとまず安心だ。」


 俺はそう呟くと、ルーアちゃんが戻るのを待った。



「あ、もう2時間経っちゃいましたか……」


 俺が教会を確認してから1時間程経った頃、転移魔法陣が光り、そこにルーアちゃんが現れた。


「お帰り。」

「あ、命の恩人様! ありがとうございます! 貴方様の上級回復薬のおかげで父は助かりました! 父の命と、私の命を救ってくださったことに心より感謝の意を示し、永遠の忠誠を誓います!」


 ルーアちゃんは俺に向かって跪きながらそう言った。


「いや、そんなことはしなくていいから。頭あげて。」


 俺はそう言ってルーアちゃんが跪くのを止めさせると、


「ルキナスさん、ルーアちゃんが帰ってきましたよ!」


 と言って、ルキナスさんを呼んだ。ルキナスさんは白いタキシード姿で部屋から出てくると、ルーアちゃんの前で片膝を付き、


「ルーア、これを受け取って貰えるか?」


 と言って小さな箱を取り出した。蓋を開けて中に入っていた指輪を見ると、ルーアちゃんは目を丸くした。


「え? ルキナスお兄ちゃん、これは……」

「この指輪についている宝石はアイオライトといってな。石言葉は『初めての愛』なのだ。」

「じゃ、じゃあ……」

「ルーア、私と結婚してくれ。」


 ルキナスさんは深々と頭を下げた。


「あ、ルーアちゃん。俺との契約は気にしないでいいよ。あれはどれだけルーアちゃんがお父さんのことを大切に思ってるのか確かめたかっただけだから。本当の気持ちで答えてあげて。」


 俺は、ルーアちゃんが俺との約束に気にならないようにそう言う。すると、ルーアちゃんは顔を赤らめながら、


「そ、その……わ、私で良いなら、よろしくお願いします!」


 と答えた。



 そして30分後、白いタキシード姿のルキナスさんとウェディングドレスに着替えたルーアちゃんの結婚式が厳かに執り行われた。魔族の神官、ルーカスさんの前で2人は結婚の宣誓を行っている。


「汝、ルキナス・クロムウェル・モンテリューは、富める時も、貧しい時も、悲しみの時も、喜びの時も、妻を愛すると誓いますか?」

「誓います。」

「汝、ルーア・シェル・アリネは、富める時も、貧しい時も、悲しみの時も、喜びの時も、夫を愛すると誓いますか?」

「はい! 誓います!」

「では、指輪の交換を。」


 ルーカスさんの声に従って、ルキナスさんはルーアちゃんの薬指にアイオライトの指輪を、ルーアちゃんはルキナスさんの薬指に銀の指輪を嵌めた。因みに、ルキナスさんの用意していた指輪についているアイオライトはかなり小さいので、邪魔になるようなサイズではない。


「わーわー。」

「きゃーきゃー。」


 俺とティリが拍手をする。ペチペチとした音しかしないが、俺たちしかいないのだから仕方がないだろう。2人ははにかみながら手を繋いでこっちに歩いてきた。美男美女だけあって、良い意味で美術品のようにも見える。


「リチャード殿、この度は……」

「あー、そういう堅っ苦しいのは無しにしましょう。せっかくの祝いの席なんですから。」


 俺はそう言うと、


「召喚。」


 と言った。途端に机が6つ出現。その上には、DPを大量に消費して召喚した、贅を尽くした豪勢な料理が適正量並べられている。……繰り返す。所狭しとではなく、適正量だ。そもそもここには俺、ティリ、ルキナスさん、ルーアちゃん、ルーカスさんの5人しかいないのだから、そんなに大量に用意しても意味がないしな。


「結婚式の後は、パーティーでしょう。人数の関係上、5人前しか準備してませんけど、足りなければまた出せますし。ほら、ルーカスさんも!」

「よ、よろしいのですか? 小生も共に祝いの宴に参加して……」

「別に構いませんよね、ルキナスさん、ルーアちゃん?」

「ええ。構いませぬぞ。」

「私もです。というか、寧ろ参加して欲しいです!」

「な、ならば、参加させて頂きましょう。」


 こうして、結婚式後のパーティが始まった。



「じゃあ、ルーカスさん、これが寄付金の200万ゴルドです。」


 パーティが終わってから、俺はルーカスさんに寄付金を渡していた。ルキナスさんとルーアちゃんは先に部屋に帰っている。


「はい。確かに頂きました。こちらは、教会堂の修繕費に使わせて頂きます。それと……」

「それと?」

「深夜で良いので、教会に来て頂けませんか? お2人で。」

「俺とティリで、ですか?」

「はい。少し話したいことがありますので。あ、お時間は取らせません。1時間程です。」

「ティリ、問題は無いか?」

「はい。」

「分かりました。じゃあ行きます。」


 俺がこう言うと、ルーカスさんは微笑んだ。


「では、私は一度教会へ帰らせて頂きます。深夜、時が来ましたら教会の入り口に書いてある魔法陣にお2人で手をかざしてください。私が召喚されますので。では。」


 そう言って、ルーカスさんは空気に溶け込むようにして消えていった。


「ティリ、ルーカスさんが話したいことって何だと思う?」

「分かりません。でも、悪い事じゃないと思いますよ。」


 俺は、ティリと顔を見合わせ首を傾げるのだった。


ダンジョン名:‐‐‐‐‐‐

深さ:100

階層数:10

DP:490万P

所持金:9800万ゴルド

モンスター数:220

    内訳:ジャイアントモール  10体

       キングモール     30体

       ウルフ        40体

       ソイルウルフ     20体

       ファイアウルフ    20体

       ウォーターウルフ   20体

       ビッグワーム     25体

       ジャイアントワーム  30体

       レッドイーグル     5体

       イートシャドウ     5体

       ハンタースパイダー   5体

       ハイスコーピオン    5体

       ブルースパロー     5体

侵入者数:3

撃退侵入者数:2


住人

リチャード・ルドルフ・イクスティンク(人間、ダンジョンマスター)

ティリウレス・ウェルタリア・フィリカルト(妖精)

ルキナス・クロムウェル・モンテリュー(人間、魔術師)

ルーア・シェル・アリネ(獣人、軽戦士)

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