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ダンジョンマスター with 妖精 ~ひたすら型破り~  作者: 紅蓮グレン
第7章:マスターと海

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130.帰還と新たなるサブマスター

「では、お互い顔合わせもすんだことだし、このあたりで失礼しよう。」


 【アトランティス】のダンジョンボスであるテンネックヒュドラのフィラの紹介も終わり、一段落ついたところで俺はスイリュウにこう切り出した。


「む、そうか。まあ、貴殿もダンジョンマスター。ダンジョンをあまり長く空けているわけにもいかぬだろうしな。」

「ああ。ってことで、失礼させてもらう。ティリ、帰るぞ。」


 俺が声をかけると、ティリはふわりと飛び上がって俺の肩に腰かけ、


「かしこまりました、ご主人様。スイリュウ様、お邪魔いたしました。」


 と敬礼。


「気にするな、もとより招いたのはこちら。では、今後とも友好条約締結者としてよろしく頼む。」

「こちらこそ、よろしく頼む。」


 俺はスイリュウと握手を交わすと、


「イースト、ノース、座標指定。【ワープ】!」


 と転移魔法を使った。


              ☆  ☆  ☆


「ただいま!」

「ひゃっ!」


 ダンジョンに帰還すると同時に挨拶をすると、偶然目の前にいたキャトルが悲鳴を上げて尻餅をついた。


「いたた……あ、お帰りなさいませ、リチャード様。」

「ああ、ただいま、キャトル。大丈夫か?」


 俺が手を差し出すと、キャトルは遠慮がちに手を取り、おずおずと立ち上がった。控えめなのはいつものことだが、心なしか頬が紅潮している気がする。


「どうかしたか? なんか嬉しそうだが……」

「あ、えっと、今日は釣りに行ってらしたんですよね? 私、魚の血液って飲んだことがなくて……釣果はいかがでしたか?」


 ……食い物のことを考えていたらしい。まあ、キャトルにとって血液は必需品かつ嗜好品だから、その思いは分からなくもないが、残念ながら今日の釣果はすべて船の上。あんなに大量にソードフィッシュを釣ったのだから、こんなに期待されるのならば1、2匹持って帰ってくれば良かったか、とも思うが、もはや後の祭りだ。


「すまん、キャトル。今日は途中でイレギュラーがあって釣りを中断したから釣果はゼロなんだ。」

「そうなんですか? 【釣り師】のリチャード様がボウズなんて……」

「ボウズではないんです。たくさん釣りはしたんですけど、途中にアザラシが釣れたりとかリヴァイアサンが出たりとかウンディーネが出たりとか他にも色々あって、釣果を置いてきちゃったんですよ。」


 ティリの説明を聞いたキャトルは、納得したように頷く。


「ああ、そういえば友好条約を結ぶ、とかも仰ってましたね。」


 キャトルは再度大きく頷く。すると、突然ダンジョンコアが金色に輝き、ウィンドウに文字が表示された。


【ダンジョンマスターが他ダンジョンのマスターと友好条約を締結しました。サポート権を拡大するため、サブマスター権限を拡充し、新たに1名のサブマスターを指名できます。】


「……サブマスターの追加か。最近は俺の能力強化ばっかりだったし、ダンジョン強化の流れは久しぶりだな。ティリ、どう思う?」

「うーん、現状キャトルさんもいますし、私だけでもご主人様のサポートは十分できるとは思いますが、もう1人サブマスターがいるとかなり安心できます。これからもご主人様が外出なさる際には私が同行することになりますが、そういう時に侵入者がいないとは言い切れません。サブマスターがもう1人いれば即連絡してもらえますし、そういう点でも安心ですね。」


 ティリはサブマスター追加に肯定的な姿勢を示した。自分以外がサブマスターになることを嫌がるなら考えるつもりだったが、構わないなら追加しない手はない。


「んー、じゃあ誰にするかだけど……経験とかダンジョンに対する貢献度とかから考えると、ルキナスさんかセントグリフのどっちかだな。」


 ルキナスさんはまず裏切ったりしないであろう安心感があるし、貢献度も高く知識も深い。セントグリフは性格面に若干の不安はあるが、そもそもダンジョンマスターだったのだからダンジョン運営に関しては一番詳しいだろうし、リーンの件がある以上、このダンジョンに不利益を生むような行動をする可能性も低い。


「ま、当人に確認するのが一番だ。ルーアちゃんと、ついでにシルヴァも呼んで相談するか。」


 俺はダンジョンコアに手を置いてシルヴァを呼び出す。その間にキャトルとティリがルキナスさんとルーアちゃんとセントグリフを呼んできてくれたので、その巨体ゆえにコントロールルームに入れず、ドアを破壊する形で顔だけ突っ込んでいるシルヴァも交えて話し始める。


「……ということで、サブマスターが追加できるらしくて、俺としてはルキナスさんかセントグリフに頼みたいと思ってるんですが、なにか意見ありますか?」

「クウ! クククウー!」

「個人的にはルキナス殿がより適任と思いますが主殿の判断に従います、とのことです。」

「ルキナスさんはどうですか? あ、今回は『リチャード殿の好きになさるが良い』はなしでお願いします。」

「……でしたらば、私はセントグリフ殿を推奨します。元々外界の者である私よりもダンジョン知識は豊富でしょうし。」

『えっ、俺?』

「何だ、セントグリフ。不満か?」

『そりゃ、どうしてもやれって言うならやらないでもないけど、リチャードからの頼みじゃなかったら速攻でパスだね。リーンとやり合うときのことまで考えると、ここの運営に深入りしたくない。手伝う、位ならいくらだって協力するけど。』

「ルーアちゃんは?」

「お兄ちゃんかセントグリフさんかどちらか選ぶなら、お兄ちゃんですね。お兄ちゃんの方がマスターとの付き合いも長いし、セントグリフさんは変なところで抜けてたり、案外ちゃらんぽらんだったりするし、意識的じゃないにせよ重要な局面でポカする確率とかも考えたら、お兄ちゃんの方が安心安全って思いますけど。」


 結構容赦のない発言をするルーアちゃん。セントグリフには結構刺さったらしく、寂しそうな顔をしているが、構っている暇はない。


「キャトルは?」

「リチャード様の判断に従います。」

「最後、ティリ。」

「ご主人様のご随意のままに。」


 よし、全員の意見は聞けた。


「じゃあ、意見を総合するとセントグリフ1票、ルキナスさん2票で新しいサブマスターはルキナスさん、ってことになるんですが……いいですか?」

「ここではいつも通りの台詞でいかせていただきます。リチャード殿の好きになさるが良い。」

「ありがとうございます。では、設定しますね。」


 俺はダンジョンウィンドウを操作して【ルキナス・クロムウェル・モンテリュー】を選択する。すると、ダンジョンコアが金色に輝き、白い光球が飛び出した。その光球はウィンドウの前で停止し、それと共に新しい表示が。


【ルキナス・クロムウェル・モンテリューをサブマスターに追加しますか?】


「イエス。」


 俺の言葉に反応して光球が再び動き出し、ルキナスさんにぶつかるとキラリと輝いてから弾けるように散った。そしてウィンドウに新しい表示が浮かび上がる。


【ルキナス・クロムウェル・モンテリューをサブマスターに登録しました。shop機能の使用を許可します。】


「よし、これでルキナスさんの登録は完了です。shop機能も解放されたので、これから紅茶の補充はご自由にどうぞ。」


 俺のこの言葉に、ルキナスさんは目を輝かせた。


「ダージリン、アッサム、キームン、アールグレイ辺りは確認なしでいいです。キャンディとかヌワラエリアは高DPなので俺かティリに言ってからで。」


 こんなことを言わずともルキナスさんが勝手に高額なものを購入するとは考えにくいが、念の為だ。


「じゃあ、ルキナスさん。これからはサブマスターとしても、改めてよろしくお願いします。」

「こちらこそ、改めてよろしくお願いします、リチャード殿。」


 俺たちは握手を交わす。


「ご主人様、またダンジョンが強化されましたね!」

「ああ。ルキナスさんは信用できるし、これから忙しくなっても対応できそうだ。」


 俺はティリに微笑むと、そう返すのだった。


【ダンジョンステータス】

ダンジョン名:友好獣のダンジョン

深さ:170

階層数:17

モンスター数:631

    内訳:ジャイアントモール   10体

       キングモール      10体

       メタルモール       9体

       コマンダーモール     1体

       ハードモール      29体

       ダーククロウモール    1体

       エンペラーモール     1体

       ウルフ         10体

       ソイルウルフ      22体

       ファイアウルフ     25体

       ウォーターウルフ    25体

       ウィンドウルフ     21体

       クロウウルフ      12体

       アースウルフ      15体

       フレイムウルフ     13体

       アクアウルフ      12体

       ヒールウルフ       1体

       トキシンウルフ      1体

       シックウルフ       1体

       ディズルウルフ      1体

       ウィングウルフ      1体

       マッドウルフ      20体

       バーンウルフ      20体

       アイシクルウルフ    20体

       ヘルハウンド       1体

       ハリケーンバッファロー 10体

       トルネードバッファロー  5体

       グリプトアルマジロ   10体

       アタックアルマジロ    5体

       プレデターラビット   10体

       ハンターラビット     2体

       センジュベアー      1体

       キラーバット      10体

       メイジバット      10体

       ビッグワーム      10体

       ジャイアントワーム   25体

       ビッガースネイク    25体

       ポイズンサーペント   30体

       レッドスワロー     10体

       レッドイーグル     12体

       バーンイーグル      4体

       ヴォルカニックイーグル  1体

       ヘルウィング       1体

       イートシャドウ     10体

       ハンターシャドウ     2体

       シノビシャドウ      3体

       アサシンシャドウ     2体

       トラップシャドウ     3体

       スナイパーシャドウ    1体

       サムライシャドウ     2体

       キラーシャドウ      2体

       クレバーゴースト     1体

       ムクロノショーグン    1体

       ハンタースパイダー   10体

       フリーズスパイダー    5体

       ハイスコーピオン    10体

       ソルジャースコルピ    5体

       リトルドラゴンフライ  10体

       ドラゴンフライ     30体

       ブルースパロー     10体

       ブルースワロー     25体

       ウォーターホーク     3体

       ウォーターホーンオウル  2体

       ウォータークジャク    2体

       ウォーターファルコン   3体

       アイシクルホーク     1体

       アイシクルオウル     2体

       アクアクジャク      3体

       ラングフィッシュ    10体

       ダートヌート      10体


友好条約締結者

リック・トルディ・フェイン(農業都市アサンドル領主)

レオナルド・モンテュ・フォーカス(工業都市ヤスパース領主)

スイリュウ・ウェット・ウォーター(アトランティスダンジョンマスター)


住人

リチャード・ルドルフ・イクスティンク(人間、ダンジョンマスター)

ティリウレス・ウェルタリア・フィリカルト(妖精)

ルキナス・クロムウェル・モンテリュー(人間、魔術師)

ルーア・シェル・アリネ(獣人、軽戦士)

キャトル・エレイン・フィラー(吸血鬼、従業員)

セントグリフ・クレイティブ・カール(幽霊)



この話で第7章本編は終了、解説とSideを挟んで第8章となります。

なんだかんだで2年以上、大変長らくお待たせいたしました。

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