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14.初めてのサブマスター

「サブマスター権限? また何か新しい能力か?」


 俺のこの疑問にティリが答えた。


「サブマスター権限というのは、読んで字の如くサブマスターの権限のことです。サブマスターというのはダンジョンマスターの補助をする者のことで、ダンジョンマスターの許可を得ることが出来れば、ダンジョンの機能を一部使用することが可能になります。」

「つまり、ティリをこのサブマスターってのに認定したら、俺の代わりにティリがダンジョンを運営できるってことか?」

「はい。ただ、ダンジョン内システムの最終決定権はダンジョンマスターにありますので、私がサブマスターになっても最終的にはご主人様の許可が必要ですが。」

「ふむ……しかしそれでも、そのサブマスターなる者を指定することによって、ダンジョンマスターであるリチャード殿の負担は大幅に軽減されることになりますな。」


 ルキナスさんの言う通り、サブマスターを指定すれば俺のやるべきことは減る。でもそうなったら……


「俺って生きてる価値あるのかな……」

「ご、ご主人様? 急にどうなさったんですか?」

「だってそうだろう? ティリをサブマスターに指定した場合、ティリは沢山のダンジョンを見てきてるから、常に最高の選択ができる。俺がするのはYESって言う、ただそれだけ。そんなことなら機械でもできるだろ? なら俺いらないじゃん。」

「わー! 違います違います! そういうことじゃありません!」

「じゃあどういうことだ?」

「サブマスターがすることは基本サポートで、マスターが体調を崩した場合など、何らかの事情でマスターがダンジョンを運営できなくなった時に運営を代行する為の権限がサブマスター権限なんです。ですから、ダンジョンの運営は今まで通りご主人様がなさるんです。サブマスターはあくまでサポーター。つまり、私がサブマスターになっても、ご主人様にはダンジョンマスターとして生きて頂かないといけないんです。それに、ご主人様は私に仰いましたよね? 『自分をそんなに卑下するな』って。だったらご主人様も、そんなにご自分を卑下なさらないでください! 私はご主人様の全てを肯定しますから!」


 ティリはそう断言した。沁みる声だった。


「そうだな。人に言ったことは自分が実行できないと。自分ができないことを人に言うような奴は、ご主人様の風上にも置けないか。」


 俺はそう言うと、ルキナスさんをチラッと見る。


「リチャード殿の好きになさるが良い。ティリウレス殿の方が適任だと思いますがな。」


 ルキナスさんは俺の言いたいことが分かっていたようだ。俺はウィンドウを操作し、サブマスター設定画面で【ティリウレス・ウェルタリア・フィリカルト】を選択。するとダンジョンコアが金色に輝き、白い光球が飛び出した。その光球は一直線に飛び、ティリにぶつかるとキラリと輝いてから弾けるように散った。そしてウィンドウに新しい表示が浮かび上がる。


【ティリウレス・ウェルタリア・フィリカルトをサブマスターに登録しました。shop機能の使用を許可します。】


「これで、ティリもshopが使えるようになったのか?」

「恐らくそうです。今まで体験したことが無いので分かりませんが。やってみますね。」


 そう言い、ティリは恐る恐るといった感じでウィンドウに触れると、shopを選択。すると、ショップの画面がきちんと表示された。


「わわ! ご主人様! 私でもshopが開けました! 感動です!」

「よかったな。これでティリが好きな時にハチミツを召喚できるし。」


 俺がこう言うと、ティリは首をフルフルと横に振った。


「それはできません。私にできるのは召喚するものの選択までで、召喚そのものにはご主人様の許可が必要なんです。その制限を解くことはできません。面倒でも、決められた手続きを踏め、ということなんでしょう。」

「そうか……あ、でも、俺が許可したら召喚は可能なんだよな?」

「はい。」

「じゃあ、試しになんか召喚してみよう。好きなものを選択して。」

「かしこまりました。」


 ティリはそう言うと、モンスターの中からイートシャドウを選択。すると、ダンジョンコアが黒く輝き、3Dのように文字が俺の目の前に現れた。


【サブマスターのモンスター召喚を許可しますか?】

 イートシャドウ 数:1体 消費DP:1000


「YES。」


 俺がそう言うと、ダンジョンコアがもう一度黒く輝き、そこから真っ黒い人型のモンスターが飛び出してきた。イートシャドウだ。 


「召喚成功だな。」

「ご主人様、他にも召喚してみていいですか?」

「いいよ。DPなら有り余ってるし、ダンジョン作りも一段落してるし。レッドイーグルに監視はさせてるけど、こっちに向かってきてる冒険者も今はいないみたいだから、DPは全部使いきってもいい。もちろん、無駄遣いはしちゃだめだけど。」

「ありがとうございます! じゃあ……」


 ティリは少し考え込むような顔をしてから、モンスターを3種選択。すると、またダンジョンコアが黒く輝き、文字が出現した。


【サブマスターのモンスター召喚を許可しますか?】

 ハンタースパイダー 数:5体 消費DP:1000

 ハイスコーピオン  数:5体 消費DP:1500

 ブルースパロー   数:5体 消費DP:500


「こいつらって、まだ召喚したことが無いモンスターだけど、どんなのなんだ?」

「みんなこのダンジョンに適しているモンスターですよ。」

「ルキナスさん、知ってますか?」


 俺が聞くと、ルキナスさんはしっかりと頷いた。


「もちろんですとも。ハンタースパイダーは洞窟に生息しており、不可視の網で巣を作って対象を捕らえるモンスターですな。ハイスコーピオンは砂漠に生息し、高速移動と猛毒を有した毒針を乱射する攻撃が可能である強力なモンスター。そしてブルースパローは、第一進化種がウルフと同程度に膨大な量の進化種を持つモンスターですな。確かに全て、このダンジョンに適しているモンスターたち。考えましたな、ティリウレス殿。」

「当たり前です!」

「よし、じゃあ許可する。YESと。」


 俺の許可と共に、モンスターたちはダンジョン内に召喚され、それぞれ行動を始めた。


「他にも召喚できるか試してみようか。モンスター以外で。」

「はい!」


 結局その日俺たちは、ティリが使用可能となったshop機能で5万DPも使ったのだった。DPを使いまくったのは迂闊だったか、とも思ったが、ティリが嬉しそうだったし良しとしておいた。

ダンジョン名:‐‐‐‐‐‐

深さ:100

階層数:10

DP:495万P

所持金:1億ゴルド

モンスター数:220

    内訳:ジャイアントモール  10体

       キングモール     30体

       ウルフ        40体

       ソイルウルフ     20体

       ファイアウルフ    20体

       ウォーターウルフ   20体

       ビッグワーム     25体

       ジャイアントワーム  30体

       レッドイーグル     5体

       イートシャドウ     5体

       ハンタースパイダー   5体

       ハイスコーピオン    5体

       ブルースパロー     5体

侵入者数:3

撃退侵入者数:2


住人

リチャード・ルドルフ・イクスティンク(人間、ダンジョンマスター)

ティリウレス・ウェルタリア・フィリカルト(妖精)

ルキナス・クロムウェル・モンテリュー(人間、魔術師)

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