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ダンジョンマスター with 妖精 ~ひたすら型破り~  作者: 紅蓮グレン
第7章:マスターと海

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114.水面の氷床と水上の牢獄

「ギャオオオオオオー!」


 相変わらず獰猛な咆哮を上げ、俺たちを威嚇するリヴァイアサン。その目は敵意と殺意に満ち満ちている。


「動きを止めるのはサンダーバインドでできるけど、多分すぐに溶解で逃げられるよな……それ以外だと弱すぎるみたいだし……」


 俺はリヴァイアサンが大量に飛ばしてくる氷柱を冷静に躱しながらどうやったら倒せるかを考える。巨大モンスターは動きを止めて攻撃を当てまくったりするのが定石の倒し方なのだが、その動きを止めるのが難しいのだ。


「……しょうがないな。面倒臭いけど、力ずくでいくか。」

「リチャード、何か思いついたのか?」


 リックさんが聞いてくる。


「まあ、一応ですが。ただ、効果があるかどうかは賭けです。それと、漁船が壊れる可能性があります。それでもいいならやりますけど。」

「そのくらいなら構わん。あの漁船はそろそろ買い替え時だからな。」


 リックさんの了承を得たので、俺は作戦を決行することにした。


「じゃあ、リックさんとレオナルドさんはひたすらリヴァイアサンの気を引いていてください。俺は魔力を溜めて仕掛けますから。」

「了解した。」

「分かりました。」

「じゃあ、お願いします。」


 俺はリックさんとレオナルドさんの返事を聞くと、漁船の上に降り立った。そして、


「ティリ、リリー。奴を倒す為には魔力が必要だ。供給を頼めるか?」


 と妖精2人に聞いた。


「かしこまりました、ご主人様!」

「分かりました、リチャード様!」


 ティリとリリーは俺の頼みを快諾し、俺に魔力を送る為のリンクを繋ぐと、魔力を送ってくれた。全身に力が漲る。


「よし、溜まった! ついでに……魔力全解放ッ!」


 俺は更に総魔力を解放。体内に巡る魔力を限界まで強化した。周囲に強力な魔力波が放出され、海原が荒れる。


「ギオオオ?」


 リヴァイアサンが首を傾げるような仕草をする。そして、俺を見つけ、目を血走らせた。


「ギャオオオオオオオオオー!」


 今までとは比べものにならない程大きな咆哮。しかし、魔力の大きい獲物を見つけて喜んでいるというよりは、どちらかというと焦りが含まれたような響きだ。それはつまり、リヴァイアサンにとっても今の俺は脅威であるということ。


「氷属性が無効でも、使い方がある!」


 俺はそう叫ぶと、甲板を蹴って水面ギリギリのところで体勢を整えると、


「【コールドフィールド】!」


 杖で水面を突いた。すると、突いたところから徐々に海面が氷結し始める。


「1発じゃ足りないよな。【コールドフィールド】! 【コールドフィールド】! 【コールドフィールド】!」


 俺は水面ギリギリを滑るように移動しながらコールドフィールドを連発。どんどん海面が凍っていく。無論、リヴァイアサンの周囲も。


「ギャオオオオー!」


 リヴァイアサンは身体を大きくくねらせ海面の氷を割るが、俺だって負けはしない。凍った海面に降り立ち、更にコールドフィールドを重ね掛けしていく。そして、あらかた海面が凍ったところで、


「ティリ、アレ・・行くぞ!」


 と叫んだ。


「はい、ご主人様!」


 ティリの返事が聞こえたので、俺はコールドフィールドを維持したまま両手を上げ、一番得意な魔法を放った。


「激流よ降り注げ! 【アクアトピア】!」


 呪文に呼応して七星の宝石杖が青く輝き、凍った海面に豪雨の如く水が降り注ぐ。俺は更に凍った海面に、


「全ての分子よ静止しろ! 【ゼロケルビン】!」


 と絶対凍結魔法を放った。その途端、氷が急激に厚さを増し始める。俺とティリのアクアトピアによって降り注ぐ水が、-273.15℃という超低温によって一瞬で氷になっているのだ。


「ギアアアア!」


 リヴァイアサンは焦ったように動こうとするが、流石に絶対零度で凍った大量の氷はそう簡単に割れない。また、この状態で溶解したら確実に凍ってしまうから、溶解も封じたことになる。


「よし、後は動作封じだけ! 氷結の刃よ、その力で我が敵を封じたまえ! 【アイシクルプリズン】!」


 そう唱え杖を振るうと、空から無数の氷柱が降ってきた。それはリヴァイアサンを掠め、海面の分厚い氷床に突き刺さる。そして、ゼロケルビンの効果で未だ絶対零度を保っている氷床と一体化し、あっという間にリヴァイアサンを閉じ込める牢獄のようになった。


「ギャオオオオ!」


 リヴァイアサンは【咬合力】と【牙強化】の相乗効果で大幅に圧力値が上がっているであろう顎に力を込め、氷柱を噛み砕くが、アイシクルプリズンは込められた魔力量と周囲の温度の低さに比例して修復力が上がる。込めた魔力量はかなりのものだし、氷床の温度は絶対零度だからこの牢獄が壊れることはない。


「ギオオオオオー!」


 リヴァイアサンはもう牢獄を壊せないと悟ったのか、体を小刻みに揺らし始めた。その身体に魔力がだんだんと集まっていく。これは恐らく……


「【津波】か!」


 リックさんが叫んだ。奴は、大波を起こして氷床を割ろうとしているんだろう。


「クッ……割られる前に仕留めるぞ! 剣術武技Lv39スキル、【インフィニティスラッシュ】!」


 リックさんは大きくキラーソードを振りかぶり、氷柱の牢獄の間からリヴァイアサンに無数の斬撃を与える。しかし、ダメージは入っているように見えない。それどころか、


「ギャアアアアアア!」


 今までとは明らかに違う響きの咆哮をリヴァイアサンがあげると、それだけでリックさんの身体は弾き飛ばされた。口から魔力弾でも出したのか、それとも全く別の攻撃なのかは分からないが、不可視の攻撃であることは確かだ。


「リチャード、早く仕留めないと氷が割られるぞ!」


 リックさんが焦ったように言うが、俺は落ち着いていた。


「問題ありません、俺の狙いはそこですから!」

「狙いだと?」

「ええ、見ていてください!」


 俺はリックさんに叫び返すと、リヴァイアサンをじっと見つめ、一挙手一投足すら見逃さないようにする。奴の身体の揺れはかなり大きい。そろそろ津波が起きるだろう。そう思いながら待っていると、海面の氷床にビシッと亀裂が走った。来る、そう思った次の瞬間!


「ギャオオオオオオオオオー!」


 凄まじい雄叫びと共に、氷の牢獄と氷床が砕け散った。そして、巨大な波が出現。


「よっし、今だ! 【ゼロケルビン】!」


 俺はその瞬間を狙って絶対凍結魔法を放った。タイミングはバッチリで、津波はその状態のまま凍りつく。そして、凍った津波はその形を保ったまま倒れ、海中へと沈んでいった。


「魔力の無駄遣いお疲れ様。悪足掻きはやめとけよ。」


 俺は不敵な笑みを浮かべてそう言い放つ。因みに、リヴァイアサンは大技を放った後の反動エネルギーと術後硬直により動けない。


「さあ、お別れの時間だ! 大地よ、我に纏わり敵を貫く弾へと変えよ! 【アースコート】!」


 俺が叫ぶと、海底から大量の砂が巻き上がり、俺に纏わりついた。そこで俺は空中でうつ伏せの姿勢になり、頭をリヴァイアサン側に向けると、リックさんとレオナルドさんに声をかける。


「リックさん、レオナルドさん! 俺を後ろからリヴァイアサンに向けて叩き飛ばしてください!」

「了解した!」

「了解!」


 2人は返事をすると俺の足元へと近付き、リックさんはキラーソードの腹で、レオナルドさんはトゥエルブナックルを装備した拳で俺を叩いた。俺はその瞬間に体術技能【捨て身タックル】を使用してさらに勢いをつけ、リヴァイアサンに突撃する。


「グオオオ!」


 リヴァイアサンは気付いたようで、口から氷塊や氷柱を飛ばしてくるが、それは明らかに威力が弱く、俺の勢いを削ぐことなどできない。


「貫け! 【ロックキャノン】!」


 俺は更に、前方に巨大な岩を生み出し、リヴァイアサンに向けて放った。至近距離で放たれた岩の砲弾はリヴァイアサンに激突。硬い鱗に阻まれて貫くには至らなかったが、打撃ダメージを大きく与えた。そして、そのダメージに思わずよろめくリヴァイアサンの身体を、大地の鎧を纏った俺が貫通した。


「ギャアアアアアアアァァァァァ……」


 絶叫。俺に心臓部を貫かれたリヴァイアサンは、凄まじい断末魔を上げながら水へと姿を変え、崩れ落ちた。空中に、蒼穹のように青く輝く珠を残して。俺はその珠を鑑定してみる。


【神聖の珠:蒼】 アイテムレアランク:GXギャラクシー

海の破壊神として恐れられる海龍、リヴァイアサンの核である宝玉。神秘的な蒼い輝きを持つ。魔力を注ぐことでリヴァイアサンを召喚できる。それ以外の能力は未知。所持者に【水属性無効】【氷属性無効】のスキルと【蒼玉の守護者】の特殊称号を与える。伝説に謳われし【神聖珠】の1つ。


 この説明を読んだ俺の顔から血の気が引いた。なんて厄介な珠なんだろうか。絶対に入手してはいけない。そう思ったが、この宝玉はそんな願いを無視するかのように俺の元へと降りてきた。そして、手に取ろうとしないでいると、勝手にローブのポケットに入ってしまった。その瞬間、脳内にあのお馴染みの忌まわしき機械音声が。


【ダンジョンマスターがリヴァイアサンを撃破しました。特殊称号【海龍王殺し】を入手します。】

【ダンジョンマスターが【神聖の珠:蒼】を入手しました。水属性無効スキル、並びに氷属性無効スキルを解放します。】

【ダンジョンマスターが【神聖の珠:蒼】を入手しました。特殊称号【蒼玉の守護者】を入手します。】


 最悪である。特殊称号とかいう新しいものまで入手してしまう羽目になるのならば、こんなヤバい海龍となんか戦わず、逃走一択でいればよかった。そう思ったが、もはや後の祭り。


「はあああああ……」


 俺は盛大に溜息を吐くと、勝利に沸くリックさんたちの元へと戻るのだった。



【リチャードのステータス】

リチャード・ルドルフ・イクスティンク

種族:人間

職業:ダンジョンマスター、魔術師

レベル:289→295

スキル:鑑定眼(Lv7)

    剣術(Lv9)

    刀術(Lv2)

    鎌術(Lv6)

    槍術(Lv16)

    杖術(Lv34)

    棍棒術(Lv5)

    体術(Lv6)

    投擲(Lv2)

    狙撃(Lv6)

    釣術(Lv1)

    自動回復(Lv3)

    神将召喚(Lv1)

    話術(Lv5)

    幸運(Lv7)

    疾走(Lv8)

    壁走(Lv8)

    隠蔽(Lv3)

    非表示(Lv3)

    罠解除(Lv5)

    武器造形(Lv4)

    支援強化(Lv1)

    全属性魔法(上級)

    念話

    降霊

    影潜

    無詠唱

    全言語理解

    毒属性無効

    呪属性無効

    聖属性無効

    邪属性無効

    地属性無効

    闇属性無効

    水属性無効

    氷属性無効

    火炎無効

技能:炎剣(魔法剣)

   炎槍(槍)

   捨て身タックル(体)

混合武技:豪炎の激情(炎)

     水流の乱舞(水)

     荒れ狂う疾風(風)

     猛毒の抱擁(毒)

     浄化の閃光(光)

称号:妖精の寵愛(全魔術の威力上昇)

   大魔術師(適性ある魔術の威力大上昇)

   スキル収集家見習い(スキル獲得率小上昇)

   龍を討伐せし者(物理耐久力、回復力大上昇)

   破壊神の破砕腕(物理攻撃力大上昇)

   称号収集家見習い(称号獲得率小上昇)

   氷炎の支配者(氷、炎属性の攻撃力大上昇)

   霊の天敵(霊族モンスターへの攻撃力小上昇)

   瘴気喰らう者(瘴気系の悪影響中減少)

   気高き守護者(防御魔術の威力小上昇)

   称号収集家助手(称号獲得率中上昇)

   ウェポンメイカー(武器造形成功率中上昇)

   影の支配者(闇属性魔術の威力中上昇)

   嵐神の加護(風、嵐属性の威力大上昇)

   強奪者の素質(倒した相手のスキル、称号奪取率小上昇)

   邪を祓いし者(浄化属性魔術の威力中上昇)

   神獣との契約者(戦闘勝率大上昇)

   スキル収集家助手(スキル獲得率中上昇)

   栄誉の強奪者(倒した相手のスキル、称号奪取率中上昇)

   トラップブレイカー(罠解除成功率中上昇)

   称号収集家(称号レア変化率小上昇)

   魅惑の微笑み(異性魅了率小上昇)

   主の上に立つ者(配下の命令遵守率中上昇)

   ダンジョンを攻略せし者(ダンジョン攻略成功率小上昇)

   名付け親見習い(ネームモンスター強化率小上昇)

   微笑みの紳士(異性魅了率中上昇)

   神将との契約者(戦闘時負傷率大減少)

   微笑みの貴公子(異性魅了率大上昇)

   スキル収集家(スキルレア変化率小上昇)

   リジェネゲッター(自動回復の回復率小上昇)

   称号コレクター(称号レア変化率中上昇)

   支援されし者(支援系魔術の効果小上昇)

   豪炎を制する者(炎属性の攻撃力大上昇)

   誇り高き守護者(防御魔術の威力中上昇)

   ゴブリンの天敵(ゴブリン系モンスターへの攻撃力小上昇)

   ソウルハンター(捕獲した魂の忠誠率小上昇)

   釣り師(釣術スキル獲得、話術スキルレベル1上昇)


特殊称号:海龍王殺し

     蒼玉の守護者


所持武器:アイアンナイフ(ノーマル、鉄製のナイフ)

     ウィンドナックル(レア、風属性物理攻撃可能)

     ソウル・ウォーサイズ(SSRダブルスーパーレア、死霊系に特効)

     ドラゴンスレイヤー(SSRダブルスーパーレア、全属性対応)

     神秘の破砕銃(URウルトラレア、神秘の聖銃の上級武器)

     烈火の神槍(LRレジェンドレア、黒迅の魔槍の炎属性特化上級武器)

     七星の宝石杖(GXギャラクシー、七属性の威力大上昇)



著者コメント

ここで皆様にお知らせがあります! ついに、拙作【ダンジョンマスター with 妖精 ~ひたすら型破り~】のブックマーク登録者数が1000件を超えました! 読者の皆様には本当に感謝しております! 謝辞は活動報告でも述べさせて頂きます。

これからも【ダンマス】を、そして紅蓮グレンをよろしくお願い致します!

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