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ダンジョンマスター with 妖精 ~ひたすら型破り~  作者: 紅蓮グレン
第7章:マスターと海

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110.初めての釣りと妖精

「良く晴れているな。絶好の釣り日和だ。」


 リックさんの屋敷を出てから2時間。俺たちはリックさんの所有する釣り船に乗って海の上を走っていた。リックさんは空を見上げて目を細めている。


「何を釣るんですか?」

「まずはオルカのエサになるソードフィッシュだな。大きなものでも50cmを超えることはない、銀色で尖った口と硬い身体を持つ肉食の硬骨魚類だ。」

「それのエサはあるんですか?」

「ミミズとゴカイを既に買っておいたから、これを使えばいい。この辺の海域はソードフィッシュより大きな生物などあまりいないから、もし目当てとは違うものがかかっても、それをエサにできる。」

「成程、そういうことですか。分かりました。」


 俺はリックさんから借りた釣り竿で釣りを開始した。



「釣れませんね……何も……」

「うむ、今日は引きが良くないな。ソードフィッシュが全くかからん。リチャードが妙に大量に釣っているからエサには困らんだろうが、負けた気がするな……」


 レオナルドさんとリックさんがそう言う。実際、俺はソードフィッシュを30匹ほど釣ったのだがレオナルドさんとリックさんには全くアタリが無い。


「リック氏、そろそろオルカと対決しに行きましょうか?」

「いや、リチャードがソードフィッシュを釣っているのに私が釣れないのは悔しいからな。もう少し釣ってからにしよう。」

「分かりました。ではそうしましょう。」


 2人は新しいゴカイを針にかけると、釣りを再開した。その時、俺の竿に今までにはない大きなアタリが。


「おっ、かかった!」


 俺は思い切りリールを巻く。海の中から灰色の何かが上がって来た。釣竿を固定し、リックさんが渡してくれた大きな網で掬って持ち上げると、それは……


『ブオオオオオオン!』


 シードッグと呼ばれるモンスターだった。


「おお、シードッグですか。確かアザラシという別名があって、外見に似合わず獰猛なモンスターですね。陸上でも生息が可能だったはずです。」

「シードッグを釣った奴は初めて見たぞ、リチャード。やけに釣り運が良いな。」

「これって珍しいんですか?」

「釣るのはほぼ不可能だろう。こいつは海豹族海獣系のモンスターで、なかなか重いからな。それに、この海域にシードッグの出現例はほとんどない。ここで釣ったということだけでもかなりの偉業だ。」

「成程。じゃあそれなりに珍しいってことで、一応鑑定しよう。」


 俺は鑑定を発動。すると、その結果は……


リリー・ベル・フィオネ

種族:セルキー

職業:秘書

レベル:182

スキル:剣術(Lv9)

    体術(Lv8)

    氷属性魔法(上級)

    風属性魔法(中級)

    炎属性魔法(中級)

    光属性魔法(中級)

    全属性魔法(初級)

    念話

    詠唱破棄

    氷耐性

    刀剣抵抗

    斬撃耐性

    刀剣耐性

技能:氷結斬(長剣)

   水流破(拳)

混合武技:氷塊の打撃(氷)

     氷柱の刺撃(氷)

称号:ダンジョンマスターの信頼(ダンジョン内で能力中上昇)

   氷の支配者(氷属性の攻撃力大上昇)

状態:興奮

体力:50000

魔力:200000

筋力:3700

耐久:6500

俊敏:9000

抵抗:1100


 何とシードッグではなく、セルキーという種族だった。


【ダンジョンマスターが海棲のレア種を鑑定しました。鑑定眼スキルをレベルアップします。】

【ダンジョンマスターが釣りにくい生物を釣りました。称号【釣り師】を入手します。】

【称号【釣り師】の効果により釣術スキルを解放します。】

【称号【釣り師】の効果により話術スキルがレベルアップされます。】


 脳内音声がスキルのレベルアップと新称号の入手宣言をしたが、五月蝿いので無視。


「これ、シードッグじゃなくてセルキーです。」


 俺がこう言うと、そのリリーというらしいセルキーは、


「見抜かれた! 私の正体に気付く人間さんがいるなんて……空前絶後の大事件!」


 と騒ぎだし、一人の少女に変身。緑色の長い髪の毛とセルリアンブルーの瞳を持った美少女だ。ティリには及ばないが可愛いな。と、そこまで思った時、俺の視界が黒一色に染まった。


「ご主人様はこの人を見ちゃダメです!」

「何でだよ、ティリ。前が見えないからどいてくれ。」

「嫌です!」

「別に靡いたりしないから、ほら。ティリはいい子だから、俺の言うこと聞いてくれるよな?」

「うう……」

「ティリは可愛い世界最高の助手だ。そんなティリが俺の言うことを聞いてくれない訳ないよな?」

「うう……」

「今俺は目を閉じている。5秒後に目を開けるから、それまでにどいていてくれ。まあ、こんな念押しをしなくてもいい子のティリがどいてくれない訳ないけどな。ティリはご主人様のことが大好きだから、ご主人様の言うことは聞いてくれるんだよな?」

「……はい。分かりました。」


 ティリは脅しが効いたのか、素直に俺の目の前からどいた。すると、それと同時にリリーが話しかけてきた。


「あなたが私を釣った人間さんですか?」

「ああ。そうだけど……」


 俺が答えると、リリーの目に殺気が宿った。


「海の聖なる妖精である私を釣るなんて……その不遜に相応しい死を与えます。という訳で、覚悟!」


 そう言うや否や俺の首に向けて手を伸ばしてくるリリー。だが……


「遅いよ、お嬢さん。普通の人ならその速度でも十分だけど、俺を殺すなら少なくともその速度の10倍はいる。」


 俺は最小限の動きでこちらに伸びてくる手を躱した。そして、そのままリリーの手首を掴み、ちょっと捻る。すると、リリーの小柄な体がフワッと浮かび、一瞬の後甲板に叩きつけられた。


「ごめん、手加減できなかった。まあ、いくら女の子でも殺す気で来てる奴の身の安全を気遣ってあげる程俺は優しくないけどね。」


 俺はリリーにヒールをかけ、ダメージを回復させる。するとリリーは立ち上がり、


「……殺すっ!」


 と叫んでまた俺の首筋に手を伸ばそうとした。しかし、その前にレオナルドさんがリバーブローをリリーに叩き込んで吹き飛ばす。そして、吹き飛んだ先に待っていたリックさんがリリーをロープで縛り上げた。


「すみません、手加減できませんでした。まあ、いくら女性でも友人を殺そうとしている相手の身の安全を気遣えるほど私は優しくありませんが。」

「同感だ。私も街の救世主であるリチャードを殺そうとしている奴を黙って見過ごす訳にはいかんからな。」

「お2人とも容赦ないですね。」

「敵に容赦などしたら街が滅びます。いざという時には自らが時間を稼いで民を1人でも多く救うのが領主の務めですから。」

「その通りだ。我々も一応の防衛術や戦闘は身につけているからな。因みにレオナルドは体術に秀でた拳闘士で私は魔法剣と魔銃を扱う魔法剣銃士だ。」

「そうなんですか。レオナルドさんが拳闘士っていうのはちょっと意外です。」

「私は意外ではないのか?」

「リックさんはいつも魔術防護のついた鞘に剣を入れて帯剣してるじゃないですか。それと、いつも上着の内ポケットが膨らんでましたし。今日は釣り竿入れの中に一緒にライフル的な魔銃を入れてるみたいですけど。」

「なぜバレていた?」

「あんなにバレバレで気付かない方がむしろヤバいと思いますけど?」


 俺たちがこう話していると、縛り上げられたリリーが声を荒げた。


「離してよ! 私を釣った方が悪いんだからね!」

「いや、確実に釣られた方が悪いだろ。俺たちの狙いはオルカのエサになるソードフィッシュなのに、君は勝手に食いついて釣られたんだから。シードッグに用はないのに。」

「私はシードッグじゃなくてセルキーよ! 聖なる海の妖精なんだからね!」

「どっちでもいいよ。海のモンスターだろうが海の妖精だろうが、俺たちには関係ないし。」


 俺がこう正論を言うと、リリーは涙目になった。そして、


「うう……じゃあ、悪かったのは私だって認めるし、あなたを襲ったことも謝るから私を海に帰して……私が帰らないとアトランティスの子たちと旦那様が心配するから……」


 と泣きそうな声で言ってきた。


「アトランティス? それって何?」

「アトランティスは海中のダンジョンよ。全35階層で、私は主君である龍族ダンジョンマスターのスイリュウ・ウェット・ウォーター様から一時的にダンジョンをお預かりしているの。」

「へー、海中にもダンジョンあるんだ。しかも龍がダンジョンマスター……」


 俺はそう呟いてから、ふとセントグリフも龍であることを思い出した。


「おい、リリー。」

「何?」

「セントグリフ・クレイティブ・カールって奴の名前に聞き覚えはないか?」

「セントグリフ? 龍なの?」

「まあ、龍といえば龍だな。」

「それならアトランティスのコントロールルームのデータベースに載ってるかもしれないわ。旦那様のお知り合いの方だったら、だけど。」

「ってことは、そのマスターがセントグリフの知り合いって可能性は低いか……ダンジョンを任せるくらいの部下にも教えてないんだからな……訪問もしてないだろうし……」


 俺がそう呟いていると、リリーが、


「悩むのは後にして、あなたたちの名前を教えてくれませんか? 私たちは世界と対立する気とかないので、できれば友好的な関係を築きたいんですけど……」


 と口調を敬語にし、おずおずとした感じで聞いてきた。


「ああ、別に構わないよ。俺はリチャード・ルドルフ・イクスティンク。A+ランクの大魔術師にして、ゴーンドワナ大陸に存在する【友好獣のダンジョン】のダンジョンマスターだ。それでこの子は……」

「【友好獣のダンジョン】のサブマスター兼主人であるリチャード様の秘書であり従者であり彼女でもあるティリウレス・ウェルタリア・フィリカルトです。それと、こっちの方たちは……」

「【友好獣のダンジョン】に最も近い農業都市であるアサンドルの領主、リック・トルディ・フェインだ。」

「【友好獣のダンジョン】に最も近い工業都市であるヤスパースの領主、レオナルド・モンテュ・フォーカスと申します。」


 俺たちはそれぞれ自己紹介。すると、リリーの顔がサッと青ざめた。


「どうかした?」

「あ、あなた様はあの有名な【友好獣のダンジョン】のマスターのリチャード様だったんですか? し、知らなかったとはいえ、大変なご無礼を働きまして、本当に申し訳ありませんでした! どうかお許しください! 私はどうなってもいいので、アトランティスとスイリュウ様にだけは、手出しをしないでください! この通りです!」


 リリーは俺の足元に土下座してそう言ってきた。俺はティリに聞く。


「俺ってダンジョン業界でこんなに怖がられる人間なのか? 俺の見立てではスイリュウってマスターの方が俺より強いと思うんだけど。向こうは龍族だから戦闘力に一番秀でてるんだし。」

「多分戦ったら魔法を無尽蔵に放てるご主人様が勝ちますよ。それと、【友好獣のダンジョン】はなんだかんだで凄い高難度ダンジョンになってますから、同業者たちも警戒してるんだと思います。私たちはする気なんかさらさらありませんけど、ダンジョン侵略戦とかたまにありますし。」

「け、警戒なんてそんな! 滅相もございません! リチャード様とお知り合いになれるなんて幸せすぎるくらいなんですから! あの伝説級敏腕ダンジョンマスターのリチャード様……あの、もし良ければ2人でお話させて頂けませんか?」


 リリーがこう言った。俺はそのセリフの中にあった危険なフレーズに反応し、反射的に無詠唱でマジックシールドを張る。すると案の定、


「【ウォーターカッター】!」


 と俺の肩の上に座っている妖精からリリーに向かって水の刃が飛んだ。勿論それは、マジックシールドに弾かれて消滅。すると、ティリは俺をジト目で見た。


「ご主人様、何で邪魔するんですか!」

「恐らくリリーの『2人で』っていうのは『交渉したい』って意味であって、他意はないはずだから。だよな?」

「は、はい。交渉させて頂きたいだけです。勿論サブマスターのティリウレス様にもいて頂いた方が良いですし、私が信用ならないとお思いになられるなら、そちらの領主様方同席でもいいので、どうかお願いします!」

「俺は別にいいけど……」


 俺はそう言うと、ティリを見る。


「私はご主人様のお決めになったことに従うまでです。」

「じゃあ従え。リックさんたちは……」

「リチャードのダンジョンに関わることなら同席させて貰おう。友好条約締結者として。」

「リック氏に同感です。私も同席させて頂きます。」

「分かりました。じゃあ全員参加になったけど、別に構わないな?」


 俺の問いに、リリーは頷いた。


「ならば船室で話すのが良いだろう。船はここで一時停泊だ。」


 リックさんは俺たちを船室へと案内。そして、俺たちはリリーと交渉を始めるのだった。

【リチャードのステータス】

リチャード・ルドルフ・イクスティンク

種族:人間

職業:ダンジョンマスター、魔術師

レベル:289

スキル:鑑定眼(Lv6→Lv7)

    剣術(Lv9)

    刀術(Lv2)

    鎌術(Lv6)

    槍術(Lv16)

    杖術(Lv34)

    棍棒術(Lv5)

    体術(Lv6)

    投擲(Lv2)

    狙撃(Lv6)

    釣術(Lv1)

    自動回復(Lv3)

    神将召喚(Lv1)

    話術(Lv4→Lv5)

    幸運(Lv7)

    疾走(Lv8)

    壁走(Lv8)

    隠蔽(Lv3)

    非表示(Lv3)

    罠解除(Lv5)

    武器造形(Lv4)

    支援強化(Lv1)

    全属性魔法(上級)

    念話

    降霊

    影潜

    無詠唱

    全言語理解

    毒属性無効

    呪属性無効

    聖属性無効

    邪属性無効

    地属性無効

    闇属性無効

    火炎無効

技能:炎剣(魔法剣)

   炎槍(槍)

   捨て身タックル(体)

混合武技:豪炎の激情(炎)

     水流の乱舞(水)

     荒れ狂う疾風(風)

     猛毒の抱擁(毒)

     浄化の閃光(光)

称号:妖精の寵愛(全魔術の威力上昇)

   大魔術師(適性ある魔術の威力大上昇)

   スキル収集家見習い(スキル獲得率小上昇)

   龍を討伐せし者(物理耐久力、回復力大上昇)

   破壊神の破砕腕(物理攻撃力大上昇)

   称号収集家見習い(称号獲得率小上昇)

   氷炎の支配者(氷、炎属性の攻撃力大上昇)

   霊の天敵(霊族モンスターへの攻撃力小上昇)

   瘴気喰らう者(瘴気系の悪影響中減少)

   気高き守護者(防御魔術の威力小上昇)

   称号収集家助手(称号獲得率中上昇)

   ウェポンメイカー(武器造形成功率中上昇)

   影の支配者(闇属性魔術の威力中上昇)

   嵐神の加護(風、嵐属性の威力大上昇)

   強奪者の素質(倒した相手のスキル、称号奪取率小上昇)

   邪を祓いし者(浄化属性魔術の威力中上昇)

   神獣との契約者(戦闘勝率大上昇)

   スキル収集家助手(スキル獲得率中上昇)

   栄誉の強奪者(倒した相手のスキル、称号奪取率中上昇)

   トラップブレイカー(罠解除成功率中上昇)

   称号収集家(称号レア変化率小上昇)

   魅惑の微笑み(異性魅了率小上昇)

   主の上に立つ者(配下の命令遵守率中上昇)

   ダンジョンを攻略せし者(ダンジョン攻略成功率小上昇)

   名付け親見習い(ネームモンスター強化率小上昇)

   微笑みの紳士(異性魅了率中上昇)

   神将との契約者(戦闘時負傷率大減少)

   微笑みの貴公子(異性魅了率大上昇)

   スキル収集家(スキルレア変化率小上昇)

   リジェネゲッター(自動回復の回復率小上昇)

   称号コレクター(称号レア変化率中上昇)

   支援されし者(支援系魔術の効果小上昇)

   豪炎を制する者(炎属性の攻撃力大上昇)

   誇り高き守護者(防御魔術の威力中上昇)

   ゴブリンの天敵(ゴブリン系モンスターへの攻撃力小上昇)

   ソウルハンター(捕獲した魂の忠誠率小上昇)

   釣り師(釣術スキル獲得、話術スキルレベル1上昇)


所持武器:アイアンナイフ(ノーマル、鉄製のナイフ)

     ウィンドナックル(レア、風属性物理攻撃可能)

     ソウル・ウォーサイズ(SSRダブルスーパーレア、死霊系に特効)

     ドラゴンスレイヤー(SSRダブルスーパーレア、全属性対応)

     神秘の破砕銃(URウルトラレア、神秘の聖銃の上級武器)

     烈火の神槍(LRレジェンドレア、黒迅の魔槍の炎属性特化上級武器)

     七星の宝石杖(GXギャラクシー、七属性の威力大上昇)

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