102.表彰式と宴
「……という訳で、色々あったが無事に模擬戦は終わった。今宵は無礼講である! 戦闘職も非戦闘職も、大いに騒いでくれ!」
模擬戦とモンスター戦、そして闘技場の後片付けや修理終了後、ヴェトルさんが急ごしらえ感満載の壇上でそう言った。因みに場所は相変わらず闘技場の中。だが、戦闘フィールドの上にはテーブルが並べられ、その上に料理や酒が所狭しと並んでいる。
「では、冒険者たちの熱きバトルに、乾杯!」
「「「乾杯!」」」
ヴェトルさんの乾杯の音頭に合わせて、会場に集まった人たちがグラスを上げる。
「リチャードさん、優勝おめでとうございます。」
清鈴がオレンジジュースの入ったグラスを持って近付いてきた。なぜオレンジジュースかというと、彼の出身地では20歳にならないと飲酒してはいけないからだ。ここでは15歳から飲酒可能なのだが、彼は出身国の法律を遵守するらしい。
「ああ、ありがとうございます。」
「リチャードさんと戦えてよかったですよ。これで俺も更なるランクアップができそうです。」
「ランクアップですか。あ、そういえばなんですけど、清鈴さんって職業は何なんですか?」
「陰陽師で冒険者ですけど。」
「あ、そういうことではなくてですね、具体的にどんなことをしているんですか?」
「妖怪退治です。野山に湧く人に害を為す妖怪を封印したりして、悪意を浄化してるんですよ。」
清鈴は袂から色とりどりの玉を取り出した。
「これは妖怪玉といって、浄化した妖怪の魂を封印した玉です。赤いのは猫又、青いのは山童、緑のは河童、黒いのは鬼、紅のは輪入道、白いのは煙羅煙羅……他にもいろいろありますが、取り敢えずこれだけあれば十分なので、他のは東国に預けてきました。」
「妖怪っていうのはモンスターですか?」
「まあ、そんな感じですね。」
「じゃあ、普通のモンスター退治なんですね。」
「ええ。そうです。」
俺たちの話が一段落した時、急に俺の前に3枚皿が現れた。
「ご主人様、お料理取ってきました! 清鈴さんの分もあります!」
どうやらティリが料理を取って来てくれたらしい。皿の上にはローストビーフや生エビのキャビア乗せ、プロシュートに乗ったイクラやスモークサーモンなど人気そうな料理が盛ってあった。
「ティリ、どうやって取って来たんだ? それ、結構人気だっただろ?」
「ルキナスさんとルーアさんに協力して貰いました。他にも、お皿持ってうろうろしてたらユリアさんとかが美味しい料理を持ってきてくれました。」
「ユリアが? 変な薬とか盛られてないよな?」
「リチャードさん、酷い! 私がそんなことすると思ってるんですか?」
ユリアが会話に割り込んできた。
「思ってるから言ってるんですけど。」
「そんなに私が信用ならないんですか?」
「俺に惚れ薬使おうとしていた人が何を言ってるんですか。俺はユリアさんについて、人間面も戦闘面も信用してますし、信頼もしています。ただ、精神面に期待ができないんですよね。」
「精神面にって……」
「事実を述べたまでです。因みに、期待ができないというのは信用ならないっていうのよりずっと残酷なんですよね。信用するとかしないとか、そう吟味するレベルにすら達していないってことですから。せめて俺が考えられる程度にまで成長してください。ユリアの現段階の精神面は、俺にとっては赤子同然です。」
「はうっ!」
ユリアがいじけた。その場に座り込み、床にいくつも『の』の字を書き始める。
「リチャードさん、結構毒を吐かれるんですね。」
「失望しましたか?」
「いえ。俺も顔の割に毒を吐くとよく言われますので。」
「おお、気が合いそうですね。」
「俺もそう思いました。」
俺と清鈴は意気投合。そして、そのままティリと復活したユリアも交えて4人で食事しながら談笑していると、急にヴェトルさんの声が響いた。
「ではここで、本日のメイン! 優勝者への表彰と、名誉市民の表彰式を行う! 優勝者、並びに名誉市民表彰該当者、リチャード・ルドルフ・イクスティンク! 名誉市民表彰該当者、安倍清鈴! 2名は前へ!」
「あ、もう表彰が始まるんですね。行きましょうか、清鈴さん。」
「はい。」
俺たちは闘技場前方に設えられた壇に上がる。ヴェトルさんは正賞の優勝杯を持って近付いてくる。
「では、表彰式を始める。皆、こちらに注目!」
ヴェトルさんはそう言うと、俺の前に来て、
「リチャード・ルドルフ・イクスティンク殿。貴殿は【グリフォンの光翼】を代表する冒険者の中で最強と認められた。よってここにこれを賞する。おめでとう。」
と優勝杯を差し出した。
「ありがとうございます。」
俺はたくさんの拍手を浴び、ちょっと照れ臭く感じながら優勝杯を受け取る。
「続いて名誉市民表彰に移る。リチャード・ルドルフ・イクスティンク、安倍清鈴。両名は街を襲う危機を救った中心人物である。よってここに両名を名誉市民として表彰し、その功績を讃える。」
ヴェトルさんは今度はクリスタルのメダルのような物を渡してくる。俺は受け取ると、
「ありがとうございます。」
と頭を下げる。ついでに鑑定もしてみた。
【功績の賞牌】 アイテムレアランク:SR
ある一定以上の功績を持つ者のみが所有を認められる輝きの豊かなクリスタルで作られたメダル。名誉市民や魔物の群れの一層、一定数以上のダンジョンの攻略などを行った者に贈呈されることが多い。所持者はレベルとレア、戦闘、召喚系を除くスキルのスキルレベルが1上昇する。更に、他者に応援や支援をされると力が上がる【支援強化】のスキルを入手する。
……訂正。メダルのような物ではなく正真正銘のメダルだった。
「……こんないい品なら、貰わない方が良かった……」
「ん? いい品なら貰って良かったんじゃ?」
「あ、忘れてください。俺のブラックな面が出ているので……」
「……分かりました。忘れます。」
清鈴は少し怪訝そうな顔をしたが、頷いてくれる。そして、俺たちが壇から降りると、
「さあ、堅苦しいことはこれで終わりだ。料理も酒もまだまだ用意するから、思う存分騒いでくれ!」
ヴェトルさんが壇上で気前よく言った。そして、宴会の夜は更けていくのだった。
【リチャードのステータス】
リチャード・ルドルフ・イクスティンク
種族:人間
職業:ダンジョンマスター、魔術師
レベル:286→287
スキル:鑑定眼(Lv6)
剣術(Lv9)
刀術(Lv2)
鎌術(Lv6)
槍術(Lv16)
杖術(Lv34)
体術(Lv6)
投擲(Lv2)
狙撃(Lv6)
自動回復(Lv2→Lv3)
神将召喚(Lv1)
話術(Lv3→Lv4)
幸運(Lv6→Lv7)
疾走(Lv7→Lv8)
壁走(Lv7→Lv8)
隠蔽(Lv2→Lv3)
非表示(Lv2→Lv3)
罠解除(Lv4→Lv5)
武器造形(Lv3→Lv4)
支援強化(Lv1)
全属性魔法(上級)
念話
降霊
影潜
無詠唱
全言語理解
毒属性無効
呪属性無効
聖属性無効
邪属性無効
地属性無効
闇属性無効
火炎無効
技能:炎剣(魔法剣)
炎槍(槍)
捨て身タックル(体)
混合武技:豪炎の激情(炎)
水流の乱舞(水)
荒れ狂う疾風(風)
猛毒の抱擁(毒)
浄化の閃光(光)
称号:妖精の寵愛(全魔術の威力上昇)
大魔術師(適性ある魔術の威力大上昇)
スキル収集家見習い(スキル獲得率小上昇)
龍を討伐せし者(物理耐久力、回復力大上昇)
破壊神の破砕腕(物理攻撃力大上昇)
称号収集家見習い(称号獲得率小上昇)
氷炎の支配者(氷、炎属性の攻撃力大上昇)
霊の天敵(霊族モンスターへの攻撃力小上昇)
瘴気喰らう者(瘴気系の悪影響中減少)
気高き守護者(防御魔術の威力小上昇)
称号収集家助手(称号獲得率中上昇)
ウェポンメイカー(武器造形成功率中上昇)
影の支配者(闇属性魔術の威力中上昇)
嵐神の加護(風、嵐属性の威力大上昇)
強奪者の素質(倒した相手のスキル、称号奪取率小上昇)
邪を祓いし者(浄化属性魔術の威力中上昇)
神獣との契約者(戦闘勝率大上昇)
スキル収集家助手(スキル獲得率中上昇)
栄誉の強奪者(倒した相手のスキル、称号奪取率中上昇)
トラップブレイカー(罠解除成功率中上昇)
称号収集家(称号レア変化率小上昇)
魅惑の微笑み(異性魅了率小上昇)
主の上に立つ者(配下の命令遵守率中上昇)
ダンジョンを攻略せし者(ダンジョン攻略成功率小上昇)
名付け親見習い(ネームモンスター強化率小上昇)
微笑みの紳士(異性魅了率中上昇)
神将との契約者(戦闘時負傷率大減少)
微笑みの貴公子(異性魅了率大上昇)
スキル収集家(スキルレア変化率小上昇)
リジェネゲッター(自動回復の回復率小上昇)
称号コレクター(称号レア変化率中上昇)
支援されし者(支援系魔術の効果小上昇)
豪炎を制する者(炎属性の攻撃力大上昇)
誇り高き守護者(防御魔術の威力中上昇)
所持武器:アイアンナイフ(N、鉄製のナイフ)
ウィンドナックル(R、風属性物理攻撃可能)
ソウル・ウォーサイズ(SSR、死霊系に特効)
ドラゴンスレイヤー(SSR、全属性対応)
神秘の破砕銃(UR、神秘の聖銃の上級武器)
烈火の神槍(LR、黒迅の魔槍の炎属性特化上級武器)
七星の宝石杖(GX、七属性の威力大上昇)




