90.2回戦 vs魔法剣士 追尾の剣と広範囲魔術
「では、これより魔術師リチャード・ルドルフ・イクスティンクと魔法剣士ギルバート・クイレル・アレイントの交流戦を行います。魔術等の使用に制限はありませんが、召喚獣の使用は禁止です。どちらかが気絶するか、ギブアップするまで続きます。では両者とも、相手を奮い立たせる言葉を!」
バミックさんがポリュート戦と同じようにコールする。今度の相手、ギルバートは物腰の柔らかそうな男だ。
「1回戦、拝見させて頂きました。どうぞ、お手柔らかにお願いします。」
「お互い全力で戦いましょう。」
ギルバートの言葉はちゃんとした敬語だったので、俺も同じように対応。
「先攻はギルバート選手。では、始め!」
バミックさんがコールし、試合開始。ギルバートは腰の鞘から長剣を抜き、
「剣術武技Lv1スキル、【スラッシャー】!」
と叫んだ。三日月状の光が長剣から飛び出し、俺に向かってくる。俺はそれを躱したが、その光は軌道を変えて俺に迫って来た。
「スラッシャーが追尾?」
俺は一瞬面食らったが、【ブラックホール・アトラクタースパウト】で光を吸い込んで始末する。そして、ギルバートの持つ剣に向けて鑑定を発動した。
【追撃の六連剣】 アイテムレアランク:UR
長剣、大剣、短剣、双剣、騎士剣、レイピアの6種類に姿を変えられる統合の剣。この武器で放つ遠距離攻撃武技(スラッシャー、ソードインパクトなど)は相手を追尾する効果を持つ。Lvが100を超えていなければ使用できない。
「対応が面倒な剣だな……」
俺はそう悪態をつきながら、スキル【影潜】を使用して自らの影に埋没する。そして、ギルバートの背後に回り込もうとしたのだが、それより早くギルバートが、
「【フラッシュ】!」
と唱えた。すると、途端に閃光が辺りを包み込み、影が消失。俺は影潜を保っていられなくなり、地上に弾き飛ばされた。空中で体勢を整えて着地できたのでダメージはないが、影潜に光で対応するという方法には少なからず驚く。
「咄嗟の判断力が高いな……なら力技でいくか。」
俺は烈火の神槍とドラゴンスレイヤーを異次元倉庫から引っ張り出し、【炎槍】と【炎剣】を発動。そして、【疾走】を使って一気にギルバートに肉薄すると、
「槍術武技Lv6スキル、【貫通突き】! 剣術武技Lv5スキル、【衝撃刃】!」
と叫んで両方を同時に突き出した。すると、ギルバートは少し焦ったように、
「【マジックシールド】!」
と光の壁を張って後ろに飛び退く。やはり判断力が高い。
「……なかなかだな。ま、俺の本領は魔術だし、そろそろそっちでいく方が良いか。」
俺はそう呟くと、烈火の神槍とドラゴンスレイヤーを異次元倉庫に放り込み、代わりに七星の宝石杖を取り出して構える。そして、
「【フレイムバースト】! 並びに【エクスプロージョン】!」
と呪文を詠唱した。杖から火炎流と爆発弾が飛び出し、ギルバートに襲いかかる。ギルバートは避けなかった。しかし、攻撃を受けた訳でもなかった。
「剣術武技Lv39スキル、【インフィニティスラッシュ】!」
何と、不定形であるフレイムバーストと爆発するはずのエクスプロージョンを追撃の六連剣でバラバラに斬ったのだ。鉄をも融かすほど高熱の火炎流も、何もかも打ち砕くほどの爆発も意味を為していない。
「一応これでも剣士ですから。炎を斬るくらいはできます。そうでなければ炎系のモンスターと戦えませんからね。」
ギルバートは少し勝ち誇ったような笑みを浮かべる。それに対して、俺もニヤリと笑った。
「やっぱり勝負ってのはこうじゃないと面白くない! これにも対応してみろ! 【コールドフィールド】!」
俺は杖で地面を突く。すると、突いた部分から一気に地面が凍りつき、アイスリンクのようになった。
「なっ?」
これにはギルバートも驚愕の表情を浮かべていた。慌てて剣で地面を突き、杖のようにして身体を支えている。こんなチャンス、逃す手はない。
「狙撃武技Lv2スキル、【アキュラシーショット】!」
俺はレッドホルスターに最初から入れてあった神秘の破砕銃の銃口を追撃の六連剣の柄に向け、引き金を引いた。聖の弾丸は【アキュラシーショット】の効果で命中率が大幅に上昇しているので、外れる訳がない。実際、見事に柄に命中し、剣をギルバートの手から弾き飛ばした。更に、回転式弾倉に込められていた氷の魔力によって追撃の六連剣は氷漬けになる。そして、地面はアイスリンク状なので、フィールドに落ちた剣は弾丸に撃たれた勢いそのままにフィールドの果てまで滑っていってしまった。支えを失ったギルバートは為す術なく地面に倒れる。どうにか氷を融かす為に呪文を唱えようとするが、俺が無詠唱で使用した【ダイヤモンドダスト】の効果で気温が一気に下がったので、歯の根が合わず、呪文を唱えられていない。
「やっぱり剣士は広範囲攻撃には対応できないよな。」
俺はこう呟くと、アイススケーターのように滑ってギルバートの傍まで移動。そして、杖で地面を突くと、
「落ちろ! 【リングホールフォール】!」
と呪文を詠唱。すると、突然ギルバートのいるところに穴が空き、彼は為す術なくそこへ落ちた。バミックさんが駆け寄ってきて、穴の底を見る。そして、
「ギルバート選手、気絶! 勝者、リチャード・ルドルフ・イクスティンク!」
とコール。俺の勝利が決定した。目が覚めたギルバートは悔しがっている。
「足元を取られると戦えませんね……不甲斐ないです。無力さを痛感しました。」
「いえ、あなたもなかなか強かったですよ。炎を斬るなんて、予想外でした。」
俺はそう言うと、ギルバートを助け起こす。立ち上がったギルバートは、
「リチャードさん、クエストであったときはよろしくお願いします。」
と言うと、マントを払って会場を後にした。レナさんが1回戦の時と同じように駆け寄ってくる。
「リチャード選手、3回戦進出おめでとうございます!」
「ありがとうございます。」
「ギルバート選手の実力はどのように感じられましたか?」
「非常に優れた剣士だと思います。もし武技が使用不可だったら厳しかったですね。」
「1回戦に続き無傷での勝利ですが、それについては?」
「魔法と武技が上手く使えた、即ち運が良かっただけです。安心はできません。」
「目指すは優勝ですね?」
「まあ、最終的にはそうですけど、1戦1戦真剣に戦うこと。それが全てにおける目標です。」
「本当におめでとうございます。」
「ありがとうございます。」
「以上、リチャード選手の勝利インタビューでした。」
レナさんはインタビューを終えると、脇へ戻って行った。観客が拍手してくれる。俺は観客席に向かって軽く手を振ると、自分の観客席へと向かうのだった。
【ダンジョンステータス】
ダンジョン名:友好獣のダンジョン
深さ:170
階層数:17
モンスター数:628
内訳:ジャイアントモール 10体
キングモール 10体
メタルモール 9体
コマンダーモール 1体
ハードモール 29体
エンペラーモール 1体
ウルフ 10体
ソイルウルフ 22体
ファイアウルフ 25体
ウォーターウルフ 25体
ウィンドウルフ 21体
クロウウルフ 12体
アースウルフ 15体
フレイムウルフ 13体
アクアウルフ 12体
ヒールウルフ 1体
トキシンウルフ 1体
シックウルフ 1体
ディズルウルフ 1体
ウィングウルフ 1体
マッドウルフ 20体
バーンウルフ 20体
アイシクルウルフ 20体
ハリケーンバッファロー 10体
トルネードバッファロー 5体
グリプトアルマジロ 10体
アタックアルマジロ 5体
プレデターラビット 10体
ハンターラビット 2体
センジュベアー 1体
キラーバット 10体
メイジバット 10体
ビッグワーム 10体
ジャイアントワーム 25体
ビッガースネイク 25体
ポイズンサーペント 30体
レッドスワロー 10体
レッドイーグル 12体
バーンイーグル 4体
ヴォルカニックイーグル 1体
イートシャドウ 10体
ハンターシャドウ 2体
シノビシャドウ 3体
アサシンシャドウ 2体
トラップシャドウ 3体
スナイパーシャドウ 1体
サムライシャドウ 2体
キラーシャドウ 2体
クレバーゴースト 1体
ムクロノショーグン 1体
ハンタースパイダー 10体
フリーズスパイダー 5体
ハイスコーピオン 10体
ソルジャースコルピ 5体
リトルドラゴンフライ 10体
ドラゴンフライ 30体
ブルースパロー 10体
ブルースワロー 25体
ウォーターホーク 3体
ウォーターホーンオウル 2体
ウォータークジャク 2体
ウォーターファルコン 3体
アイシクルホーク 1体
アイシクルオウル 2体
アクアクジャク 3体
ラングフィッシュ 10体
ダートヌート 10体
友好条約締結者
リック・トルディ・フェイン(農業都市アサンドル領主)
レオナルド・モンテュ・フォーカス(工業都市ヤスパース領主)
住人
リチャード・ルドルフ・イクスティンク(人間、ダンジョンマスター)
ティリウレス・ウェルタリア・フィリカルト(妖精)
ルキナス・クロムウェル・モンテリュー(人間、魔術師)
ルーア・シェル・アリネ(獣人、軽戦士)
キャトル・エレイン・フィラー(吸血鬼、従業員)
セントグリフ・クレイティブ・カール(幽霊)
【リチャードのステータス】
リチャード・ルドルフ・イクスティンク
種族:人間
職業:ダンジョンマスター、魔術師
レベル:210→218
スキル:鑑定眼(Lv6)
剣術(Lv8)
鎌術(Lv6)
槍術(Lv16)
杖術(Lv34)
体術(Lv6)
狙撃(Lv5)
神将召喚(Lv1)
話術(Lv3)
幸運(Lv6)
疾走(Lv7)
壁走(Lv7)
隠蔽(Lv2)
非表示(Lv2)
罠解除(Lv4)
武器造形(Lv3)
全属性魔法(上級)
念話
降霊
影潜
無詠唱
全言語理解
毒属性無効
呪属性無効
聖属性無効
邪属性無効
地属性無効
闇属性無効
火炎無効
技能:炎剣(魔法剣)
炎槍(槍)
混合武技:豪炎の激情(炎)
水流の乱舞(水)
荒れ狂う疾風(風)
猛毒の抱擁(毒)
浄化の閃光(光)
称号:妖精の寵愛(全魔術の威力上昇)
大魔術師(適性ある魔術の威力大上昇)
スキル収集家見習い(スキル獲得率小上昇)
龍を討伐せし者(物理耐久力、回復力大上昇)
破壊神の破砕腕(物理攻撃力大上昇)
称号収集家見習い(称号獲得率小上昇)
氷炎の支配者(氷、炎属性の攻撃力大上昇)
霊の天敵(霊族モンスターへの攻撃力小上昇)
瘴気喰らう者(瘴気系の悪影響中減少)
気高き守護者(防御魔術の威力小上昇)
称号収集家助手(称号獲得率中上昇)
ウェポンメイカー(武器造形成功率中上昇)
影の支配者(闇属性魔術の威力中上昇)
嵐神の加護(風、嵐属性の威力大上昇)
強奪者の素質(倒した相手のスキル、称号奪取率小上昇)
邪を祓いし者(浄化属性魔術の威力中上昇)
神獣との契約者(戦闘勝率大上昇)
スキル収集家助手(スキル獲得率中上昇)
栄誉の強奪者(倒した相手のスキル、称号奪取率中上昇)
トラップブレイカー(罠解除成功率中上昇)
称号収集家(称号レア変化率小上昇)
魅惑の微笑み(異性魅了率小上昇)
主の上に立つ者(配下の命令遵守率中上昇)
ダンジョンを攻略せし者(ダンジョン攻略成功率小上昇)
名付け親見習い(ネームモンスター強化率小上昇)
微笑みの紳士(異性魅了率中上昇)
神将との契約者(戦闘時負傷率大減少)
微笑みの貴公子(異性魅了率大上昇)
所持武器:アイアンナイフ(N、鉄製のナイフ)
ウィンドナックル(R、風属性物理攻撃可能)
ソウル・ウォーサイズ(SSR、死霊系に特効)
ドラゴンスレイヤー(SSR、全属性対応)
神秘の破砕銃(UR、神秘の聖銃の上級武器)
烈火の神槍(LR、黒迅の魔槍の炎属性特化上級武器)
七星の宝石杖(GX、七属性の威力大上昇)




