89.1回戦 vs召喚術師 召喚獣と召喚獣
本日2話目です。
「では、これより【グリフォンの光翼】冒険者交流戦を開始する。決勝で勝利した者には正賞の優勝杯と副賞の賞金100万ゴルド、そして特殊ギルドメンバー入りの権利を与える。では【グリフォンの光翼】を代表する強き冒険者たちよ、心して戦うべし!」
翌朝。ヴェトルさんの開会宣言が終わった。今日は4回戦までで、明日は決勝まであるそうだ。因みに俺は今日の第4試合出場。相手はS-ランクの召喚術師らしい。
「ご主人様、頑張ってください!」
「ご武運を。」
「マスター、頑張ってくださいね!」
「リチャード様、負けないでください!」
『召喚術師は属性魔術が苦手だ。狙えよ。』
「ああ。」
俺はティリたちの激励を受けると、出場者の待機室へと向かった。
「では、これより魔術師リチャード・ルドルフ・イクスティンクと召喚術師ポリュート・ダグラス・ガレルノの交流戦を行います。召喚獣の使用は5体まで。尚、魔術等の使用に制限はありません。どちらかが気絶するか、ギブアップするまで続きます。では両者とも、相手を奮い立たせる言葉を!」
バミックさんがこうコールすると、俺の対戦相手らしいポリュートという召喚術師は、
「フッ、魔術師如きが俺の召喚獣たちに敵う訳がない。まあ、せいぜい頑張るんだな、ハハハハハ!」
と大声で言ってきた。それに対して、俺は努めて冷静に、
「面倒臭いな。お前みたいな小物とやり合ってられる程こっちは暇じゃないってのに……」
と返す。ポリュートは怒ったのか顔を赤くするが、俺はガン無視。関わると面倒臭いからな。
「先攻はポリュート選手。では、始め!」
バミックさんがそう言うと、ポリュートはワンドを取り出し、地面にモンスター召喚用の魔法陣を描いた。そして、それに魔力を流すと、
「【サモン・ファイアサーペント】!」
と呪文を唱える。すると、魔法陣の中心に描いてある六芒星が赤く輝き、そこから炎を纏った巨蛇が飛び出してきた。俺は鑑定して能力を確認する。
ファイアサーペント ランクB+
名前:トウダ
保有魔力:57000/500000
称号:炎の激闘者(炎属性の攻撃力中上昇)
スキル:炎強化(炎を燃え上がらせ自らを強化するスキル)
状態:正常
体力:21000
魔力:9000
筋力:4000
耐久:2680
俊敏:1300
抵抗:2100
「ネームモンスターか……まあ、この程度なら問題ないけど……」
俺は少し考えた。ファイアサーペントの力の根源はその身体に纏った炎なので、アクアトピアで炎を消せばいいかとも思うのだが、相手はなかなか動きが素早い。万が一ミスったりして、術後硬直が入っている間に襲われたりすると対応が面倒なのだ。アホが相手ならそんなことは気にしないのだが、ポリュートはS-ランク。実力は確かなのだろう。
「仕方ない。本物のトウダで応戦してやるか。」
俺はそう言うと、七星の宝石杖で空中に【騰】と書き、魔力を注ぐ。するとその文字が炎に変化し、その中から炎を纏ったヘビが現れた。但し、翼が生えている。争いと戦いを司る神将、騰蛇だ。
『何用か? あまり暇ではないのだ。勾陳にどやされるのは面倒故、疾く要件を告げよ。』
騰蛇がこう言うと、周りで見ていた観客が、
「あの召喚獣、今喋ったよな?」
「言語理解までは兎も角、発するなんて……」
「あの魔術師ヤバい奴なんじゃ……」
などと騒ぎだした。かなり五月蝿い。
「騰蛇、あのファイアサーペントを倒してくれ。」
『あのような低レベルの雑魚はお主でも倒せるだろう。実際消し炭に変えたではないか。我の支配から外れたあの不届き者を。』
「俺の相手はアイツじゃないから。」
『ふむ。ならば、殺すか?』
「いや、死なない程度に痛めつけるだけで良い。瀕死までだ。」
『承知。』
騰蛇はそう言うや否や、素早い動きでトウダに襲いかかり、噛みついたり強力な炎を浴びせたり、自らの倍はありそうな巨蛇相手に完全なるワンサイドゲームを演じてあっという間も無くトウダを戦闘不能にした。
『これで良いのだな?』
「ああ、お疲れ。」
『礼には及ばん。では我は帰還するぞ。』
騰蛇は空気に溶けるようにして消えていった。
「さすが神将だな。B+ランク如き歯牙にもかけないか。」
俺がそう言い、ポリュートに視線を送ると、奴は、
「クッ……【サモン・ハーピィー】! 【サモン・ドラゴンフライ】! 【サモン・クロウキャット】! 【サモン・メイルガーダー】!」
と叫んで4体のモンスターを召喚した。女性の顔を持った魔鳥のハーピィー、巨大なトンボのドラゴンフライ、鋭い爪を持つネコのクロウキャット、そして盾を持った金属鎧のメイルガーダー。
「ふーん、今度のはちょっとまともそうだな。」
俺はそう呟くと、ソウル・ウォーサイズを取り出し、
「【サモン・ムクロノショーグン】! 【サモン・クレバーゴースト】!」
と唱えてムラマサとローディアスを呼び出した。
『貴公、召喚の命に従い参上致しました。』
『主君、お呼びでしょうか?』
「ああ。向こうにいるメイルガーダーとクロウキャットの気を引いていてくれ。」
『斬ってもよろしいのですか?』
「死なない程度なら。できるか?」
『無論。貴公の望むままに。』
『お任せください、主君!』
「じゃあ、頼んだぞ。」
俺はそう言うと、返事を待たずに【フライ】を使用して浮かび上がった。俺を追ってハーピィーとドラゴンフライも飛び上がってくる。
「確かハーピィーは闇属性、ドラゴンフライは風属性だから……弱点は光と炎か。でもこいつらも速いんだよな。」
俺はそう呟きながら、空中で重力魔法【ミリオンニュートン】を発動。すると、ハーピィーとドラゴンフライが地面に向かって墜落していった。地上でもメイルガーダーとクロウキャット、それにポリュートが地面に縛り付けられているような格好で倒れている。一方、ローディアスは肉体が無い為超重力の効果を受けずに浮遊しているし、ムラマサは危険を察知していち早く超重力の効果範囲から抜け出していたから無傷だ。
「2人とも、ご苦労。後は俺がやるよ。」
俺はそう言いながら【エアフロー】で生み出した上昇気流に乗ってゆっくりと着地すると、ポリュートに七星の宝石杖を向け、
「【サンライトストライク】!」
と呪文を唱えた。杖の先端に生まれた不定形の光球がポリュートに襲いかかる。
「だ、【ダークバリア】!」
ポリュートが焦ったように叫び、彼の身体から噴出した闇が壁を形成するが、そんなものは障害にもならない。光球はその壁をあっさりと打ち砕き、ポリュートの身体に到達した。瞬間、光球は激しくフラッシュして爆散し、砂煙を巻き上げる。【ウィンド】を使って煙を晴らすと、ポリュートはボロボロになっていた。バミックさんがポリュートに駆け寄り、首元に手を当てる。そして、
「ポリュート選手、気絶! 勝者、リチャード・ルドルフ・イクスティンク!」
とコール。俺の勝利が決定した。観客はワアーッと歓声を上げる。
「リチャード選手、2回戦進出おめでとうございます!」
マイクを持ったレナさんが脇から駆け寄ってきてそう言う。
「ありがとうございます。」
「ポリュート選手の実力はどのように感じられましたか?」
「属性魔術はイマイチかと思いますが、召喚獣を幾つも同時に召喚できているので、腕は確かだと思います。」
「無傷での勝利ということについては?」
「今回はこちらの召喚獣が頑張ってくれたので、当然かと。」
「本当に、おめでとうございます。」
「ありがとうございます。」
「以上、リチャード選手の勝利インタビューでした。」
そうレナさんは言うと、また走って脇へ戻っていった。インタビューは終わりのようだ。
「ローディアス、ムラマサ、戻れ。」
俺はそう言ってソウル・ウォーサイズに2体を引っ込めると、ティリたちがいる観客席へと移動するのだった。
【ダンジョンステータス】
ダンジョン名:友好獣のダンジョン
深さ:170
階層数:17
モンスター数:628
内訳:ジャイアントモール 10体
キングモール 10体
メタルモール 9体
コマンダーモール 1体
ハードモール 29体
エンペラーモール 1体
ウルフ 10体
ソイルウルフ 22体
ファイアウルフ 25体
ウォーターウルフ 25体
ウィンドウルフ 21体
クロウウルフ 12体
アースウルフ 15体
フレイムウルフ 13体
アクアウルフ 12体
ヒールウルフ 1体
トキシンウルフ 1体
シックウルフ 1体
ディズルウルフ 1体
ウィングウルフ 1体
マッドウルフ 20体
バーンウルフ 20体
アイシクルウルフ 20体
ハリケーンバッファロー 10体
トルネードバッファロー 5体
グリプトアルマジロ 10体
アタックアルマジロ 5体
プレデターラビット 10体
ハンターラビット 2体
センジュベアー 1体
キラーバット 10体
メイジバット 10体
ビッグワーム 10体
ジャイアントワーム 25体
ビッガースネイク 25体
ポイズンサーペント 30体
レッドスワロー 10体
レッドイーグル 12体
バーンイーグル 4体
ヴォルカニックイーグル 1体
イートシャドウ 10体
ハンターシャドウ 2体
シノビシャドウ 3体
アサシンシャドウ 2体
トラップシャドウ 3体
スナイパーシャドウ 1体
サムライシャドウ 2体
キラーシャドウ 2体
クレバーゴースト 1体
ムクロノショーグン 1体
ハンタースパイダー 10体
フリーズスパイダー 5体
ハイスコーピオン 10体
ソルジャースコルピ 5体
リトルドラゴンフライ 10体
ドラゴンフライ 30体
ブルースパロー 10体
ブルースワロー 25体
ウォーターホーク 3体
ウォーターホーンオウル 2体
ウォータークジャク 2体
ウォーターファルコン 3体
アイシクルホーク 1体
アイシクルオウル 2体
アクアクジャク 3体
ラングフィッシュ 10体
ダートヌート 10体
友好条約締結者
リック・トルディ・フェイン(農業都市アサンドル領主)
レオナルド・モンテュ・フォーカス(工業都市ヤスパース領主)
住人
リチャード・ルドルフ・イクスティンク(人間、ダンジョンマスター)
ティリウレス・ウェルタリア・フィリカルト(妖精)
ルキナス・クロムウェル・モンテリュー(人間、魔術師)
ルーア・シェル・アリネ(獣人、軽戦士)
キャトル・エレイン・フィラー(吸血鬼、従業員)
セントグリフ・クレイティブ・カール(幽霊)
【リチャードのステータス】
リチャード・ルドルフ・イクスティンク
種族:人間
職業:ダンジョンマスター、魔術師
レベル:200→210
スキル:鑑定眼(Lv6)
剣術(Lv8)
鎌術(Lv6)
槍術(Lv16)
杖術(Lv34)
体術(Lv6)
狙撃(Lv5)
神将召喚(Lv1)
話術(Lv3)
幸運(Lv6)
疾走(Lv7)
壁走(Lv7)
隠蔽(Lv2)
非表示(Lv2)
罠解除(Lv4)
武器造形(Lv3)
全属性魔法(上級)
念話
降霊
影潜
無詠唱
全言語理解
毒属性無効
呪属性無効
聖属性無効
邪属性無効
地属性無効
闇属性無効
火炎無効
技能:炎剣(魔法剣)
炎槍(槍)
混合武技:豪炎の激情(炎)
水流の乱舞(水)
荒れ狂う疾風(風)
猛毒の抱擁(毒)
浄化の閃光(光)
称号:妖精の寵愛(全魔術の威力上昇)
大魔術師(適性ある魔術の威力大上昇)
スキル収集家見習い(スキル獲得率小上昇)
龍を討伐せし者(物理耐久力、回復力大上昇)
破壊神の破砕腕(物理攻撃力大上昇)
称号収集家見習い(称号獲得率小上昇)
氷炎の支配者(氷、炎属性の攻撃力大上昇)
霊の天敵(霊族モンスターへの攻撃力小上昇)
瘴気喰らう者(瘴気系の悪影響中減少)
気高き守護者(防御魔術の威力小上昇)
称号収集家助手(称号獲得率中上昇)
ウェポンメイカー(武器造形成功率中上昇)
影の支配者(闇属性魔術の威力中上昇)
嵐神の加護(風、嵐属性の威力大上昇)
強奪者の素質(倒した相手のスキル、称号奪取率小上昇)
邪を祓いし者(浄化属性魔術の威力中上昇)
神獣との契約者(戦闘勝率大上昇)
スキル収集家助手(スキル獲得率中上昇)
栄誉の強奪者(倒した相手のスキル、称号奪取率中上昇)
トラップブレイカー(罠解除成功率中上昇)
称号収集家(称号レア変化率小上昇)
魅惑の微笑み(異性魅了率小上昇)
主の上に立つ者(配下の命令遵守率中上昇)
ダンジョンを攻略せし者(ダンジョン攻略成功率小上昇)
名付け親見習い(ネームモンスター強化率小上昇)
微笑みの紳士(異性魅了率中上昇)
神将との契約者(戦闘時負傷率大減少)
微笑みの貴公子(異性魅了率大上昇)
所持武器:アイアンナイフ(N、鉄製のナイフ)
ウィンドナックル(R、風属性物理攻撃可能)
ソウル・ウォーサイズ(SSR、死霊系に特効)
ドラゴンスレイヤー(SSR、全属性対応)
神秘の破砕銃(UR、神秘の聖銃の上級武器)
烈火の神槍(LR、黒迅の魔槍の炎属性特化上級武器)
七星の宝石杖(GX、七属性の威力大上昇)




