閑話:混合武技訓練
「さて、じゃあ混合武技とやらの訓練をしよう。どうすれば使用できるんだ?」
訓練場で俺が聞くと、ティリは、
「言葉で説明するよりお見せした方が分かりやすいです。」
と言って、燐光の短剣を取り出す。そして、
「風属性混合短剣術武技、【駆ける鎌鼬】!」
と叫びながら短剣を縦に振るった。すると、燐光の短剣から緑の刃が飛び出し、訓練場の壁に激突。深い抉り傷を刻む。
「このように、武器に魔力を込めて武技と共に放出することで混合武技が使えます。今の混合武技、【駆ける鎌鼬】は風属性の魔力と剣術武技【ブリングダウン】の短剣版、Lv4スキルの【ショートブリングダウン】を混成して作りました。」
「つまり、ドラゴンスレイヤーに魔力を付与して【スラッシャー】を放つのと同じような原理ってことか。」
「概ねその通りです。ですが、衝撃波を飛ばすだけではありません。」
ティリは今度は小さな弓を取り出した。俺はそれを鑑定。
【邪悪絶つ光弓】 アイテムレアランク:SSR
放つことによって邪を祓う効果を持つ、聖なる弓。矢は空気中の魔力によって無限に生成されるので、つがえる動作は必要なく、尽きることも無い。邪属性、及び闇属性のモンスターに特効の破壊力を示し、追加効果で周辺の邪素を祓う。非実体型モンスターにも効果があり、聖属性と光属性に適性を持つ者か、膨大な魔力を所持する者しか使用できない。
「膨大な魔力? そういえばティリの魔力量見えなかったけど、どのくらいあるんだ?」
「私の魔力ですか? 正確な値は分かりませんが、ご主人様の10分の1くらいかと。」
「俺の10分の1ってことは、凡そ1000万か。凄いな。」
「私なんか全然ですよ。それより、混合武技の説明に戻ってもいいですか?」
「ああ。悪いな、ぶった切って。」
「いえ。では説明に戻りますが、混合武技は衝撃波を飛ばすだけではありません。」
そう言うと、ティリは弓の弦を引く。すると、そこに光る矢が現れた。鑑定通り、空気中の魔力から作られたんだな。
「風属性混合弓術武技、【貫く突風】!」
ティリは弓を放つ。するとその弓は壁に突き刺さり、そこで高速回転を始めた。そして、横向きの竜巻を作り出し、壁に穴を空ける。
「このように、武技に追加効果を持たせるようなこともできます。」
ティリはどや顔で胸を張る。俺は素直に感心した。
「こんなこともできるのか……あ、この混合武技っていうのは名前が決まってるのか?」
「いえ。混合武技には名前がついていません。1人1人が混成して作り出すものですから。私は技の効果を言葉で普通に表してますけど、人によっては訳分からない名前を付ける人もいます。【トッケルテルサルスバリル】とか。」
「本当に意味不明だな。」
「剣術武技Lv5スキルの【衝撃刃】に水属性魔術を混ぜて水を一点集中させ、上昇した圧力によって対象を貫く技なんですけど、何でこんな名前を付けたのかは不明です。名付けた本人も由来は忘れていたそうです。」
「まあ、分かりやすい名前をつければ問題ないだろ。」
俺はそう言うと、ドラゴンスレイヤーを取り出して炎属性魔法を付与し、剣術武技Lv7スキルの【メテオブーストスラッシュ】を発動させる。そして、
「炎属性混合剣術武技、【豪炎の激情】!」
と叫んで縦横に振り回した。本来、メテオブーストスラッシュは振るった剣筋と同じ軌道で隕石を飛ばして敵を攻撃し、最後に連続でその隕石を爆発させることによって相手を爆散させる、という技だ。だが、今回は……
――ボオオオオオオオオオー! ゴオオオオオオオオー!
まずドラゴンスレイヤーから飛び出した炎が俺の剣筋に沿って動き、その後飛び出した隕石が俺の剣筋の逆を辿るように動く。そして、炎と隕石が激突した瞬間、それは巨大な火炎弾となり、大爆発を起こした。勿論、無詠唱で【エアガード】を発動しておいたので俺たちは無傷だが、爆発が起きた火炎弾があった部分にはクレーターのような穴が空いていた。
「……これは威力が高すぎる。」
火や炎系の魔術は殺傷能力や攻撃力が高いものが多いのだが、これは高すぎるだろう。ダンジョン内で使ったらまず確実に天井が崩落するな。
「んー、威力高い分には問題ないと思いますけど?」
「こんなもん、街中でぶっ放したら犯罪者だし、山で使ったら山火事が起きる。ダンジョン通路で使えば天井が崩落して生き埋めになるし、せいぜい地形に変化を与えてもさほど問題が無い峡谷とか岩山でしか使えないだろ。」
「岩山にはゴーレムっていう岩族のモンスターがいっぱいいます。そういうのに使えばいいんじゃないですか?」
「まあ、結局そういうのとか、あとはドラゴンとか神獣系とかに使うしかないか。」
俺はそう呟き、今度は烈火の神槍を取り出す。そして、相反する水の魔力を込めると、槍術武技Lv6スキルの【貫通突き】を発動させ、
「水属性混合槍術武技、【水流の乱舞】!」
と叫んで突き出した。穂先から周囲を水がグルグル回っている炎が飛び出し、レーザーのように突き進んでいく。そして、壁に当たると炎が当たった部分は焦げ、水が当たった部分は深く抉れた。威力は高いし、ネーミングにも適合してはいる。良い技だ。良い技なのだが……
「俺は炎から離れられないのか……?」
思えば、俺が最初に使用していた武器は炎属性魔術の威力を上げるルビーの杖。その後に融合したヒールフレイムの杖も炎属性魔術の威力は上がる。今の七星の宝石杖も同様だ。更に、俺が覚えている技能も炎剣と炎槍で、共に炎系。そして今の混合武技でも、水主体で使ったはずなのに炎が出た。もっと言うと、俺が最初に得た耐性スキルは【炎耐性】と【毒耐性】だし、最強の無効スキルも【火炎無効】。これも炎だ。ついでに、ベアゴローと戦ったとき決め手になった魔法は【フレイムウォールコーティング】と【フレイムトルネード】。スターライトと戦った時最初に撃った魔法は【ファイアレーザー】。レッディルと戦った時だって【フレイムスラッシュ】や【フライファイア】を使い、トドメは【インフェルノ】だった。炎、炎、炎。炎に呪われてるだろ。
「ご主人様、ご主人様はきっと炎が好きなんですよ。」
ティリが俺を慰めるように言ってくれるが、納得できない。
「でも結局俺は炎バカなんじゃないのか?」
「大丈夫です!」
ティリはそう言うと、俺の腕に抱き付いてきた。
「ご主人様が炎を燃え上がらせてしまった場合は、私が得意の水魔法で全て消して差し上げます。逆に勢いが必要な時は風魔法で燃え盛らせて差し上げます。それに、ご主人様は全属性が使えるんですから、色々なことができるんです。これからもっと色々使えばいいじゃないですか。ちょっと炎に偏ったからって、そんなに悩む必要はありません!」
沁みる声だった。俺の中のネガティブな気持ちが消えていく。
「そうだな。今のも烈火の神槍の効果で炎が出ただけかもしれないし。」
俺はそう思い直すと、更に混合武技の訓練を続けるのだった。
「ふう、こんな所でいいか。」
2時間後、俺は5種類の混合武技を覚えていた。炎属性では火炎と隕石で相手を惑わし、最後に火炎弾で大ダメージを与える剣術、【豪炎の激情】。水属性では炎と水の相反する攻撃で中心を焦がし周囲を貫く槍術、【水流の乱舞】。風属性では敵に当たったところから暴風を発生させ、当たった部分を吹き飛ばす体術、【荒れ狂う疾風】。毒属性では弾丸が当たった相手を毒の霧で包み込む狙撃、【猛毒の抱擁】。そして、光属性では攻撃モーションと同時に強力な光を辺り一帯に放ち、相手に一定時間【盲目】のバッドステータスを与える杖術、【浄化の閃光】。
「さすがはご主人様! この短時間でこんなに覚えて、Lvも上げるなんて!」
「いや、Lvは1しか上がってないし、この位で満足はできないよ。Lv500とかの冒険者だってザラにいるってルキナスさんから聞いたし。」
「そんなのは世界に名が知られてるスーパービクトリーな冒険者だけですよ。そもそも、Lv17の段階から1年もかけずにLv200に到達するなんてぶっちぎりの世界新記録ですよ!」
「そうなのか。結構簡単にサクサク上がるからLv上げってそんなに難しくないのかと思ってたけど、結構苦労するんだな。」
「そうですよ。だからご主人様は凄いんです! ネガティブな考えはやめてくださいね?」
「ああ、分かってるよ。気遣いありがとう、ティリ。しかし今日はモンスターの強化もできたし、DPカンストの件も片付いたし、新しい防衛法も見つかったし、控えめに言っても完璧だな!」
俺はティリの頭を撫でてそう言うと、訓練場を後にするのだった。
【ダンジョンステータス】
ダンジョン名:友好獣のダンジョン
深さ:170
階層数:17
モンスター数:443
内訳:キングモール 10体
メタルモール 9体
コマンダーモール 1体
ハードモール 29体
エンペラーモール 1体
ソイルウルフ 12体
ファイアウルフ 15体
ウォーターウルフ 15体
ウィンドウルフ 11体
クロウウルフ 2体
アースウルフ 15体
フレイムウルフ 13体
アクアウルフ 12体
ヒールウルフ 1体
トキシンウルフ 1体
シックウルフ 1体
ディズルウルフ 1体
ウィングウルフ 1体
マッドウルフ 20体
バーンウルフ 20体
アイシクルウルフ 20体
トルネードバッファロー 5体
アタックアルマジロ 5体
ハンターラビット 2体
センジュベアー 1体
メイジバット 10体
ジャイアントワーム 25体
ビッガースネイク 25体
ポイズンサーペント 30体
レッドイーグル 12体
バーンイーグル 4体
ヴォルカニックイーグル 1体
ハンターシャドウ 2体
シノビシャドウ 3体
アサシンシャドウ 2体
トラップシャドウ 3体
スナイパーシャドウ 1体
サムライシャドウ 2体
キラーシャドウ 2体
クレバーゴースト 1体
ムクロノショーグン 1体
フリーズスパイダー 5体
ソルジャースコルピ 5体
ドラゴンフライ 30体
ブルースワロー 25体
ウォーターホーク 3体
ウォーターホーンオウル 2体
ウォータークジャク 2体
ウォーターファルコン 3体
アイシクルホーク 1体
アイシクルオウル 2体
アクアクジャク 3体
ダートヌート 10体
友好条約締結者
リック・トルディ・フェイン(農業都市アサンドル領主)
レオナルド・モンテュ・フォーカス(工業都市ヤスパース領主)
住人
リチャード・ルドルフ・イクスティンク(人間、ダンジョンマスター)
ティリウレス・ウェルタリア・フィリカルト(妖精)
ルキナス・クロムウェル・モンテリュー(人間、魔術師)
ルーア・シェル・アリネ(獣人、軽戦士)
キャトル・エレイン・フィラー(吸血鬼、従業員)
セントグリフ・クレイティブ・カール(幽霊)
【リチャードのステータス】
リチャード・ルドルフ・イクスティンク
種族:人間
職業:ダンジョンマスター、魔術師
レベル:199→200
スキル:鑑定眼(Lv6)
剣術(Lv7→Lv8)
鎌術(Lv6)
槍術(Lv15→Lv16)
杖術(Lv33→Lv34)
体術(Lv5→Lv6)
狙撃(Lv4→Lv5)
話術(Lv2)
幸運(Lv6)
疾走(Lv7)
壁走(Lv7)
隠蔽(Lv2)
非表示(Lv2)
罠解除(Lv4)
武器造形(Lv3)
全属性魔法(上級)
念話
降霊
影潜
無詠唱
全言語理解
毒属性無効
呪属性無効
聖属性無効
邪属性無効
地属性無効
闇属性無効
火炎無効
技能:炎剣(魔法剣)
炎槍(槍)
混合武技:豪炎の激情(炎)
水流の乱舞(水)
荒れ狂う疾風(風)
猛毒の抱擁(毒)
浄化の閃光(光)
称号:妖精の寵愛(全魔術の威力上昇)
大魔術師(適性ある魔術の威力大上昇)
スキル収集家見習い(スキル獲得率小上昇)
龍を討伐せし者(物理耐久力、回復力大上昇)
破壊神の破砕腕(物理攻撃力大上昇)
称号収集家見習い(称号獲得率小上昇)
氷炎の支配者(氷、炎属性の攻撃力大上昇)
霊の天敵(霊族モンスターへの攻撃力小上昇)
瘴気喰らう者(瘴気系の悪影響中減少)
気高き守護者(防御魔術の威力小上昇)
称号収集家助手(称号獲得率中上昇)
ウェポンメイカー(武器造形成功率中上昇)
影の支配者(闇属性魔術の威力中上昇)
嵐神の加護(風、嵐属性の威力大上昇)
強奪者の素質(倒した相手のスキル、称号奪取率小上昇)
邪を祓いし者(浄化属性魔術の威力中上昇)
神獣との契約者(戦闘勝率大上昇)
スキル収集家助手(スキル獲得率中上昇)
栄誉の強奪者(倒した相手のスキル、称号奪取率中上昇)
トラップブレイカー(罠解除成功率中上昇)
称号収集家(称号レア変化率小上昇)
魅惑の微笑み(異性の魅了率小上昇)
主の上に立つ者(配下の命令遵守率中上昇)
ダンジョンを攻略せし者(ダンジョン攻略成功率小上昇)
名付け親見習い(ネームモンスター強化率小上昇)
微笑みの紳士(異性魅了率中上昇)
所持武器:アイアンナイフ(N、鉄製のナイフ)
ウィンドナックル(R、風属性物理攻撃可能)
ソウル・ウォーサイズ(SSR、死霊系に特効)
ドラゴンスレイヤー(SSR、全属性対応)
神秘の破砕銃(UR、神秘の聖銃の上級武器)
烈火の神槍(LR、黒迅の魔槍の炎属性特化上級武器)
七星の宝石杖(GX、七属性の威力大上昇)




