表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/61

5話・見事に飼いならされています

 ハインツは寝転がって身じろぎしない。わたしは彼をあてにするのは諦めて、塀の上に上がろうとした。

「こら。どこに行く?」

 背後からやや不機嫌そうな声がかけられてわたしは身をすくめた。寝ていたはずのハインツが起き上がってきて塀に上ったわたしを掴んでいた。

『ハインツ。なにするの? いきなり。驚くじゃない』

「ああ。腹が空いて気が立ってるんだな? ヒメ」

『違うわ。放してよ』

「おやおや。仲が良いね。黒ちゃん。お腹すいてるんだって? ちょうど良かった」

 おかみさんが炊事場から戻って来た。

「ほら高級サラミだよ。今日は行商の人が来たからね。サービスにもらったんだ」

 購入先は先ほどの行商人かしら。と、考えた所ですでに彼らの姿は見えなくなっていた。詳しい話をもっと聞きたかったのに。と、恨めしい思いで、ハインツを仰ぎ見ると機嫌をとるかのように薄切りのサラミが乗った小皿の前に移動させられていた。

「良かったな。さあ。お食べ」

 大好きなサラミを前にしてわたしは断る事が出来なかった。ハインツは見事に餌付けされたよな。と、もの言いたげな視線を向けてくるが、こういう場合は無視するに限る。わたしは湧きあがる食欲のままに皿の中のご馳走を頬張った。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ