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11話・わたしの紹介

 ここでわたしの紹介をざっくりとしておこうと思う。わたしは神無月(かんなづき)茉莉(まり)()。ブラバルト大公国公女マリカになったのは十一年前のこと。

 それまではここの世界とは無縁の世界の日本という国で、大手企業の営業マンでバリバリのカッコいい父と、お料理上手な専業主婦で綺麗で優しいママに、一人っ子のわたしは大変甘やかされて育った。

 ずい分と我がままを言ってきた気もする。両親の愛情をたっぷり受けて、自分の望むままに毎日を送っていた日々。そんな日々が当たり前のように続くと思っていた。

 それなのにある日突然、その生活が一転するなんて思いもしなかった…

 六歳の誕生日を迎えた日。ご馳走が並んだテ―ブルの上で、お誕生日ケーキで祝ってもらいその晩お腹が膨れて、お気に入りとなった誕生日プレゼントの大きなウサギのぬいぐるみを抱いて眠った後のこと。気がついたらわたしはパジャマ姿で見知らぬ場所に立っていた。腕には自分と同じ背丈くらいの、ウサギのぬいぐるみを抱えたまま。

「ここはどこ? 夢の中?」

 そこは絵本のなかでしかお目にかかったことがない立派な宮殿のなか。金銀で飾られた支柱や天井画のきらびやかさに目を奪われて辺りをきょろきょろ見回してると唐突に不機嫌な声が前方から投げつけられた。

「これはどうしたことだ。ナイル」

 気がつけば目の前に豪華な宝飾品で飾り付けられた椅子と、その上に腰を下ろし優雅に足を組む綺羅綺羅しい衣服に身を包んだ銀髪に紫色の瞳の綺麗な王子さまがいた。

 彼は肩まで伸びた銀髪を苛々と掻きあげた。頭には自分の身分を象徴するように金細工の輪が乗っていた。

 その脇に控えるようにいたのが王子さまと同じ銀髪に青い目をした、こちらも王子さまに負けず劣らず綺麗な顔立ちをしたお兄さんで、そのお兄さんと目が合った時わたしは息を飲んだ。

 ものすごく綺麗な宝石のような瞳に吸い込まれそうでドキドキした。お兄さんは王子さまと違って白い長衣を着ていて、手には先端が丸い杖を持ち長い髪を紐で一つに束ねて花嫁さんのように長い衣服の裾を引きずっていた。


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