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中編


 凪国宰相--明睡。

 凪国の椿姫と呼ばれる麗しき美貌の麗神にして、優秀と名高い王の右腕。


 しかし、そんな彼でも見誤る事があった。


 彼は心底後悔していた。

 五分前の自分を。


「果竪が可愛すぎたんです」


 夜--自分達が呼ばれ、そして何も出来なかったあの大喧嘩の理由を仕事の合間に問い質せば、萩波は執務机に両肘をついて腕を組みながらそう真面目な顔で呟いた。


 惚気?惚気か?


 俺は惚気を言えと言ったか?


「ちょっと待て陛下。状況を整理しよう。まず、陛下は仕事を終えて部屋に入ったな。そこで果竪と何かあって果竪が怒ったと」

「ええ。私が部屋に入った時です。果竪が寝台の上で乱れたシーツをちょこまかと直していたんですよ。で、こちらに小さなお尻を向けて、そのお尻の動きがそれはそれは妖艶で、まるで誘うように動いて」


 待て、それはお前の妄想だ--



 明睡は心の中で突っ込んだ。

 あと、隣に居た朱詩も、同じ様な顔をしている。



 果竪が萩波を誘うなんて事


「ありえません! 果竪が萩波を誘うなんてっ」

「貴方は私に喧嘩を売ってるんですか?」


 宰相にあるまじき台詞だ。王を侮辱する台詞だ。

 ただ、こんな台詞で逮捕されたら余りにも恥だ。むしろ、その部署自体が関わりたくないだろう。


「貴方だって、部屋に帰って涼雪がこちらにお尻を誘うように振っていたら飛びかかるでしょう!」

「んな状況がそもそも有りえんわっ」


 明睡は血の涙を流しながら叫んだ。いや、実際には血の涙なんて流していないが、朱詩からはそうとしか見えなかった。


「あ、あのさ、萩波」

「何ですか? 朱詩」


 朱詩は何と言おうか迷ったけど、頑張ってそれを言う事にした。


「あのさ、萩波は果竪に飛びかかったの?」

「飛びかかるなど--後ろから押し倒しはしましたけど」


 果竪が可哀想だと思った。

 本神は頑張ってシーツを直している所に、気配を消した夫がいきなり後ろから押し倒してくるのだ。むしろ恐怖に怯えただろう。


「そしたら、果竪に『こんな時にやめて』と言われて……」

「正しいよ。果竪が正しいよ」

「夫婦が夜に二神っきりというシチュエーションで押し倒して何が悪いのですか」

「夫婦間にだって、暴力行為は成立するんだからねっ」

「私は果竪に暴力行為なんて」

「幼児に性犯」


 明睡の麗しい顔に、萩波は机の上にあった書物をぶつけた。国宝級の顔に容赦なくそんな事が出来る萩波は『漢』だ。朱詩は震える程の感動を覚えた。


「とにかく、果竪が怒った理由は分かった。それでも強引に行こうとしたんだろう」

「あまりにも果竪が愛らしくて自分を止められませんでした」


 自制心に富む凪国国王は、妻に対する愛情には何のストッパーも持ち合わせていないらしい。妻からすれば、とんだ災難だ。


「はぁ……果竪を怒らせてしまいました。どうすれば良いのでしょうか」

「とりあえず謝れ」

「分かってます。必要とあらば土下座も厭いません」

「いや、土下座はやめておけ。された果竪が可哀想だ」


 これで果竪はまた、凪国国王を惑わせる『悪女』の呼び名が高くなってしまう。誤解だ。勝手に萩波がおかしくなるだけで、果竪は何もしていないと言うのに。いや、むしろ何もしてないのに勝手に周囲が惑うから『悪女』と呼ばれてしまうのか。


 果竪の不幸の大半は周囲のせいだ--と明睡は思った。あと、そこに自分も含まれている事を反省した。


「でも、果竪もかなり頭に血が上っていたし、少しの間距離を置いた方が良いんじゃない?」

「朱詩、それはなんと無体な」

「いや、そもそも萩波が果竪に無体な事を強いたのが原因じゃん。それに、少し時間と距離を置いた方が愛が深まるというか」


 むしろこれ幸いと、萩波のいない時間を満喫しそうだったけど、朱詩は気にせずそう言った。でないと、また萩波が果竪に襲いかかるかもしれない。

 兄貴分として、妹分を守らなければ。


「……そうですかね」

「そうだよ。それに、少し離れていったからなんだって言うのさ? 果竪がどこかに行っちゃうわけじゃないんだし」

「確かにそうだな。『奥宮』--それか『後宮内』には絶対に居るんだし」


 そう言って笑う明睡と朱詩に、萩波は頷いた。


「そうですね。少し距離を置くとしますか。私も、もし今果竪の顔を見たら、そのまま服をはぎ取り襲いかかってしまいそうですし」

「「絶対にやめろ」」


 幼児体型に欲情する男。

 いや、自分達の永遠の主君が性犯罪者になる事はもう止められないけれど、とりあえず妹分の平穏を守る為に彼等は必死になって萩波を止めたのだった。





 果竪は、王宮から出て行く事に決めた。

 そのまま姿を消して、ある程度経てば自分は死んだものと判断されるだろう。そうすれば、煉国の王女様が新たな王妃になる。


 全てが万々歳。上手くいく。みんな幸せになれる。


 ただ、果竪は長く『後宮』から出られないで居る為、外の様子についてはあまりにも無知だった。


 とりあえず、煉国王女が来るまでに、ここから離れなければ。

 ただ、一番警備に隙が出来るのは、煉国王女が凪国王都に入った時だろう。


 果竪はその日までに、幾つかやる事を決めた。



「ねぇ、明燐」

「何でしょう? 果竪」

「えっとね」


 果竪は、『奥宮』や『後宮』の警備の配置は知っている。

 けれど、隠し通路などは知らなかった。


「あのさ、『奥宮』や『後宮』内って隠し通路とかあるの?」

「……ありますけど、それが?」


 明燐の笑顔に何か恐いものを感じたが、果竪はグッと堪えて質問した。


「いや、その、逃げる時に」

「逃げる時に?」

「萩波から襲われた時」


 明燐が止まった。

 他の侍女達も笑顔のまま固まった。


 彼女達は、昨日の夜、果竪が萩波と喧嘩した原因について知っていた。


「--ああっ」


 侍女の一神が崩れ落ちる。果竪は仰天して駆け寄った。


「ああ、王妃様! なんとお労しいっ! 幾ら陛下と言えど、後ろから襲いかかられるなどという無体をされ、本当に恐ろしかった筈っ」

「え、いや、その」

「そ、そうね、いくら陛下とは夫婦関係とはいえ、後ろから襲われてそのままなんて余りにも女を馬鹿にしているわっ」

「え、うん、その」

「その時には私達を呼んで下さいっ」

「いや、うん、え」


 なんだか泣かれた。

 明燐に至っては、「ああ、私達の力が足りないばかりにっ」と大いに嘆かれた。


 で、結果はというと



 とりあえず、宮殿内から外に出る隠し通路は聞き出せた。

 あと、『後宮内』から外に出る隠し通路も聞き出せた。


「あ、ありがとう--使わないでいられる様に祈っておいて」

「果竪--」


 使う気満々だけど、とりあえず果竪はそう言った。明燐は感動にむせび泣いていた。


 その後、果竪は明燐に頼み込み大図書庫に行きたいとねだった。

 普段ならダメだと言われるし、読みたい本があれば持ってくるからと言われるが、今回は何とか了承を貰う事が出来た。


「こ、今回だけ特別ですからね」


 昨日の事で元気の無い果竪を気にしていたのだろう。

 気分転換も兼ねて、オッケーを貰えた。


 それに、煉国王女の事で明燐達も忙しくて、それどころでは無い事も理由の一つだと思う。どうやら、煉国王女は『後宮』入りの方向で進んでいるらしい。


 果竪にも何もその件については入ってこないが。


 それは、馬鹿にされているのか、それを聞かせる程の価値がないと思われているのか、それとも哀れまれているのか。


 王妃でありながら、果竪には重要な情報は何一つとして入って来ない。


 果竪は大図書庫に行くと、お付きの侍女達を置いてまず恋愛系の小説を見に行った。侍女達は侍女達でこの機会にと仕事に必要な書物を取りに行かせている。


「本当に一神で大丈夫ですか?」

「大丈夫。外に出るわけじゃないし、それに入り口にはきちんと警備も居るしね」


 そう言うと、果竪はあちこちを回って、幾つかの本を借りる。その際に、果竪は王都とその近隣の地図、そして国全土の地図も借りた。


 それは貸し出しには特に制限はついていなかった。

 まあ、流石に王宮の外に持ち出しする事は出来ない使用にはなっていたけれど、王宮内では問題無く読む事が出来る。


 地図関係は果竪が隠し持ち、他の本は全て王妃の私室へと運んで貰った。


「……また沢山借りてきましたね」

「久しぶりに大図書庫に行けたから、ついつい」


 果竪の言葉に明燐は苦笑する。しかし、確かにその通りだった。自分も新しい店などではついつい買いすぎる傾向がある。


「ですが、この量を読むとなるとかなり時間がかかりますね」

「うん。だから、今週は読書週間にしようかなって」


 もちろん、勉強の本も持ってきたのだと果竪は胸を張る。


「そうですか……それも良いかもしれませんわね」


 そう言う明燐に、果竪は心の中で謝った。


 その後、食事を済ませた果竪は室内についている浴室へと向かう。

 本来、高貴な女性であれば侍女達に身体を洗わせるなど色々とあるが、果竪はそれが嫌だった。自分の事は自分でしたいとお風呂は自分で入るし、着付けだって自分でする。


 だからこそ、果竪は自分が男になった事はまだ誰にもバレていなかった。


 まあ、匂いに敏感な相手も居るが、虫除けとばかりに柑橘系の匂いをつけて誤魔化しているので、今の所はまだバレないで済むだろう。


「さてと--」


 果竪は誰も居なくなった室内を見渡すと、寝室のテーブルに大図書庫から隠し持ってきた地図を広げた。

 王宮内の地図、王都内の地図、そして近隣の街の地図に、王国全土の地図。


「まずは、王宮から出る所からだけど……」


 王宮は広い。

 そこから出るだけでも、かなり時間を要するだろう。

 となれば、煉国王女が凪国王都に入ってからでは遅すぎるかもしれない。

 下手したら、煉国王女の出迎えに凪国王妃も行かなければならないかもしれない。


 そうなると、逃げだせないどころか、タイムリミットまで動けなくなってしまう。


「遅くとも、前日……」


 いや、前々日までには出た方が良いだろう。

 そして、王都にから外に出てしまわなければ。


 王都は、午後八時で城門が閉められてしまう。

 その前に出てしまえば、少なくとも次の朝まで大がかりな追っ手はかからない筈だ。たとえ王妃の捜索とはいえ、王都の民達を危険にさらすなどという愚行は上層部も陛下もとらないだろうから。


「ルートは、ここをこう通って」


 果竪は、簡単に地図を別の紙に書き写していく。絵もへたくそだけど、大戦時代に軍で生活していた時に、地図作りを手伝っていた事もあり、果竪は地図を読めるし、書くことも出来た。こういう風に短時間で必要な部分を書き写す事も出来た。


 他の本を返す時に戻しておかなければならないから、予備の分も書いておく。


 そうして、ようやく地図の分を終わらせた所で果竪は寝台に潜り込む事にした。焦ってはいけない。焦ると、ボロが出てしまうから。




 そして次の日の夜、果竪はまた王宮を出る為の準備を始めた。



「必要な荷物は……うん」


 荷物は、少なくが基本である。

 ただ問題は、果竪は金銭を持ち合わせていないという事だった。


 金銭が無くても、果竪は欲しいものは手に入れられた。それが余程とんでもないものでなければ、たいていのものは手に入った。


 まあ、装飾品を金銭に換えれば良いが、下手なものでは足が着く。国宝級なんてとんでもない。


 それに、国宝級じゃない装飾品でも、問題がある。

 果竪は装飾品に詳しくない。詳しい価値なんて余計に分からない。だから、売ったは良いけど、とんでもなく高価なものだったら、相手に怪しまれてしまうかもしれない。


 誰が見ても貴族の娘ならばまだしも、誰が見ても庶民の娘がそんな高級品を持っていたら、どこかから盗んだと思われたっておかしくないのだから。


「……どうしようか」


 旅は長くなるだろう。

 となれば、旅費は必要となる。


 稼ぐとしても果竪の手には職は無いし、そうなるとある程度の資金が必要である。



 果竪は、真っ向勝負に出る事にした。



「ねぇ」

「何でしょうか?」


 侍女の一神が今日の果竪付きである。

 他の侍女達は、別の仕事が忙しく、出たり入ったりしている。


「王妃の勉強をしていたんだけど」


 そう言って、果竪は最初は別の話から、そして次第に自分の持っている装飾品についての話へと移す。


「これとこれの価値なんだけど」

「ああ、これは民間ではそれほど価値はありませんね」

「そうなの?」

「ええ、これはこの位で。これはこの程度の値段です。むしろこっちの方が値段が高いですね」


 侍女の好意に、果竪は心苦しく思った。自分は彼女を騙して情報を得ている。けれど、果竪は今更計画を止めるつもりは無かった。


「でも、どうして突然価値を聞かれたんですか?」

「あ--その、寿那に贈り物をしようと思って」


 果竪は卑怯だ。

 寿那の名を出せば、彼女が--皆が困るという事を分かって言っている。

 寿那は果竪の従姉妹だ。

 そして、凪国と一、二を争う津国の現王妃である。


 津国と凪国、それぞれが果竪と寿那を引き離した。

 果竪達は被害者だった。

 そして今も、二国それぞれの上層部と王達は罪悪感を抱いている。


 そこにつけ込んだのだ。


「けど、寿那は王妃だから、下手なものを贈ったら大変でしょう?」

「そうですねぇ……」

「本当だったら、私が王都のお店かどこかで選びたいんだけど」

「それは……」

「わ、わかってる! 外は危険なんでしょう? だから、誰かに頼むとしても、どういうのが良いか知っていた方が良いし……あ、でも、私、自分で稼いだお金が無いんだよね」

「それは、凪国王妃様から津国王妃様への贈り物とすれば」


 侍女の提案は最もだった。


「うん、それだと良いね。でも、それとは別に……果竪個神から寿那個神にも贈りたいって言うか……そういうの、あんまりした事がないし」

「王妃様……」

「こう、お金を稼いで、自分のお金を持って商品を選んでって言うの、やってみたいなって……無理だよね」

「そ、そんな事ありませんっ!」


 侍女が一生懸命に言う。頬を赤らめ、真剣な眼差しを浮かべる侍女はとても美しく、そして綺麗だった。


「明燐様にご相談して、何か良い策を授けて貰いましょう」

「そ、そう?」

「ええ、お任せ下さいな」


 果竪は嬉しいと言って微笑んだ。そしてその裏で、侍女に対して謝った。


 事情を聞いた明燐は策を授けてくれた。

 とりあえず、買い物は王都に出入りする行商から。

 そして、金銭は稼ぐ事は無理だけど、果竪が持っている装飾品をいくつか売って金銭に換えれば良いという事になった。


「それって、いいの?」

「いいんですの」


 果竪がもらったものなんだからと、明燐が言う。

 果竪が貰ったものは、上層部からもらったお土産の類いだ。それらを金銭に換えるのは心が痛むと言えば、彼等はにっこりと笑って果竪の背中を押してくれた。


 果竪はやっぱり、その日の夜、布団の中で泣いた。


 彼等の好意を、果竪は裏切っている。


 なんて酷い存在なのだろう。


「えっと、これにする」

「それだけで良いのですか?」


 明燐に相談してくれた侍女が言う。

 行商はにこにこと笑っていた。


 行商は買い取りもしてくれた。


 果竪は最低限の装飾品をお金に換えた。それでも結構な額になった。そして、他に果竪は自分が改良した大根の種を売った。痩せた土地でも簡単に栽培出来ると、これも結構なお金になった。むしろ行商の方が儲けたぐらいだ。


 ただ、換えた金銭に比べて買った物が少なく、お金がかなり余った。


「残りはとっておく。また行商は来るんでしょう?」

 果竪はこんなのが欲しいと告げる。それは王宮の女性達にも神気があるものだから、無駄にはならないだろう。


 果竪は、自分用に買った大きな貯金箱に残りのお金を入れた。


 ホクホクとしながらの果竪の様子に、侍女達は微笑ましく思っているようだ。


 これで旅費が出来た。

 果竪は心の中で謝った。





 凪国王宮は広い。

 幾つもの施設が次々と出来ていく。

 そんな中、今から一年半前にその施設は彼等に与えられた。


 煉国の元寵姫達とその関係者達の保護区域。


 医療機関の部署に隣接し、幾つもの宮殿や建物があるそこは、元寵姫達とその関係者達の居住区及び治療場所となっていた。


 その広さは、一つの街にも匹敵する規模である。

 だが、七百名を超える元寵姫達、そしてその関係者達を合わせれば軽く千名を超える神数だ。大神も居れば、子どもも居る。そんな彼等がのびのびと暮らせるように--その願いも込めて、その場所は保護区域とされた。


 およそ生活に必要な物も多い。また、中枢に近く、外の無遠慮な視線や噂も聞こえない場所でもあり、治療は比較的順調に進んでいた。


 中でも、一際早く治療が進んでいる者達が居る。

 そんな中、彼等は王の訪れに麗しい笑みを浮かべて喜んだ。


 元寵姫--玲珠(れいしゅ)

 元寵姫--(りゅう)

 元寵姫--来雅(らいが)


 彼等は、他の者達の中でも、回復の進みが早かった。

 それは、彼等の努力だけではなく、彼等を支える者達が居るからでもある。


 そう--神質として捕らえられた者達が側に居る者達全員の回復が早いわけではないけれど、全体的な回復を見ると、神質が居る者達の方が回復が早い傾向にあった。

 中でも、彼らは回復が早いグループに入っていた。


 三神とも、あの変態国王と上層部達のお気に入りとして、地獄の中の地獄を経験した者達だ。


 麗しき元寵姫達。

 彼等は全員男だった、性別的にも、中身的にも。

 むしろ、男だからこそ--いや、違う。

 多種多様、様々なタイプの絶世級の男の娘達だったからこそ。

 その美貌ゆえに、彼等は地獄を見せられた。


 あの、男の娘好きの変態煉国国王と上層部達によって。


 元寵姫達は、誰もが麗しく性別を超越した美しさを有していた。見た目、美女、美少女--年齢は様々だが、それこそ本来の女性すら足元に及ばぬ美しさと麗しさ、そして色香を匂わせていた。


 それが全ての不幸の始まり。


 故郷を滅ぼされ、大切な者達を奪われ--大切な者が神質として連れ去られたならばまだ良い方だった。


 地獄の中の地獄。


 変態達の玩具にされてきた彼等は、本神達の意思に反して徹底的に『女』として調教された。


 仕草、口調、雰囲気--全てが女のそれ。


 余りにも完璧な女性のそれに、本物の女性の方が恥じ入ってしまう程。むしろ、彼等の神質とされた女性達はより彼等に近いからこそ受ける影響は大きすぎた。


 とはいえ、神質と引き離す事は出来ない。

 引き離せば、もう何が起きるか分からない。


 『女』にされた身と心。

 『男』にしか反応しない『身体』。


 それでも、求めるのは彼等が愛する者達。


 だから--凪国上層部も王も、現状維持という状況をとるしかなかった。



「ようこそ、お越し下さいました」


 傾国の美姫も真っ青な麗しさと優雅さで挨拶をする玲珠。

 着ている衣装は男物だが、地味で簡素な装いでも隠しきれない美貌と高貴さ、そして匂い立つ色香の前には、どう見ても女のそれにしか見えない。

 麗しく優美な美女--。


 柳と来雅も、玲珠に負けない麗しさと美しさを称え、全身から高貴さと気品が滴り落ちているかのようだった。そして、何とも色っぽい。一つ一つの仕草が余りにも色香に溢れていた。


 朱詩と明睡は、それぞれ挨拶をする。


 普通なら、玲珠達の姿を見た瞬間、普通の男なら--いや、女でも絶対に襲いかかるか攫おうとするが、あいにく朱詩と明睡はそれ以上の美貌と色香の持ち主達だった。

 そして、凪国上層部を見れば、やはり玲珠達以上の美貌揃いだし、凪国国王に関してはそれを更に上回る。


 玲珠達は、朱詩達の美しさに知らず知らずのうちに頬を赤らめていた。むしろ、彼等の『男』に身体が反応している自分達に気付き、恥じ入ってさえ見せる。


 が、ある一方向を見つめる萩波に気付き、玲珠は口を開いた。


「あの、どうかしましたか?」


 元寵姫達は、凪国国王と凪国上層部に多大なる恩義を感じている。と同時に、彼等自身を敬愛し、心酔すらしていた。


 彼等に仕えたい--そう思う者達のなんと多い事か。


 今はまだ治療中だけど、もし、治療が終わって自分達が自立出来たなら、この方達に、この国に仕えよう--そう思う者達も大多数を占めていた。


 玲珠は黙ったままの凪国国王に、何か自分達がやらかしてしまったのかと青ざめる。しかし、萩波と言うと。


「ムラムラしませんね」

「は?」

「いえ、周りがあまりにもロリコンロリコンと五月蠅くて」

「は? ロリ、コン?」


 明睡と朱詩はあんぐりと口を開けた。

 そして、我に返るやいなや慌てて萩波の口を塞ごうとする。しかし、それより早くに萩波は口を開いた。


「で、幼児体型にしか興味がないなんておかしいと言われたので、それなら熟した女性を見てムラムラするかと思いましたが--しませんね、美琳(みりん)煌恋(こうれん)矢衣(しい)を見ても全く」


 明睡と朱詩は、吹き出した。


「誰を見てんだよっ!」

「どこ見てんのさっ! しかも、なんでその三神をチョイスするのさっ」


 独身ならまだしも、彼女達は。


 ザァァァァァと青ざめた玲珠達に、朱詩は慌てた。


 美琳--玲珠の妻だ。

 煌恋--柳の許嫁だ。

 矢衣--来雅の妻だ、そして一児(元寵姫)の母だ。


 可哀想なほどに狼狽える彼等。

 そりゃそうだ。

 自分達の敬愛する主が、自分達が愛して止まない存在をそんな風に見ていると直に聞かされたのだから。


「しかも失礼だぞ陛下! そこはムラムラするって言うもんだろっ」

「馬鹿は君だよっ!」


 朱詩は明睡の背中を蹴りつけた。


「ムラムラしたらどうすんのさっ! 『後宮』行きになっちゃうだろっ」


 『後宮』--という言葉に、故郷を焼かれ、親しい者達を殺され、煉国『後宮』に拉致監禁されて寵姫として地獄を見せられた玲珠達はガタガタと震え出す。


「あ、大丈夫ですよ。私はムラムラしませんが、一般的な普通の男性はかなりムラムラするそうですよ、美琳達に対して」


 明睡は『有能な王』という言葉の定義を問い質したかった。

 朱詩は『賢王』という言葉の定義を問い質したかった。


 とりあえず、二神揃って叫んだ。


「「火に油を注ぐなっ」」


 泣き崩れる玲珠達。

 そんな彼等もまたとても美しく麗しかった。


 そして酷く痛ましかった。


「どうしたのでしょう? とても魅力的だとお伝えしたんですけど」

「あのね! 普通、自分の奥さんや許嫁が他の男達にムラムラする対象って言われて喜べる男が居ると思うの?! 馬鹿?! 馬鹿なのっ?! 政務で疲れすぎてるのっ?!」

「そういえば、陛下も結構ずれてるよな--元々」

「失礼ですね、貴方達は」

「玲珠達に何倍も失礼な発言をした奴の台詞かっ」


 萩波にとってはきちんとフォローした筈だった。

 自分はムラムラしないけど、普通の一般的な男性からはとても魅力的だから心配しないでくれ、彼女達は十分魅力的だ--と言う様に。


 思いやりが伝わらないって、悲しい。


「そういうデリカシーがない所が果竪に嫌われるんだよっ」


 その言葉に、泣き伏していた玲珠達が顔を上げた。泣いて真っ赤になった瞳は酷く色っぽく、赤らんだ頬すらも美しい。


「お、王妃様と、何かあったのですか?」


 彼等は--元寵姫達とその関係者達は王妃様も大好きだった。

 特に、元寵姫達にとっては、危うく殺される所だった自分達の大切な者達を寸での所で助け出してくれた恩神である。


 そんな彼等にとっては、凪国王妃様に何かあったとなればそれは由々しき事態。


 心配そうにする玲珠達に、朱詩は力強く言った。


「ちょっと聞いてよ! 萩波ってばね!果竪がシーツを直してる姿にムラムラして、後ろから襲いかかったの! 獣だよ獣っ」

「男は皆、獣なんですよ」

「開きなおらないでよっ! ボクだって小梅(しゃおめい)にそんな事した事ないのに」

「そりゃあ、自分の恋心を最後まで相手に伝えられずに居たヘタレには難しい」


 朱詩は自分の武器を取り出した。

 それを振り上げようとして、明睡に止められた。


「落ち着け!」

「そうですよ、ヘタレの先輩の明睡が止めているんですから」

「誰がヘタレの先輩だっ」

「涼雪に自分の恋心一つ伝えられないですからね」

「五月蠅い!」


 ここに、もし他の上層部が居ればこう言っただろう。


 お前ら、何しに来たんだ--と。


「最近私も仕事疲れで貧血気味ではあるんですが、果竪を見ると『私を食べて』と言われているようで、もう上にも下にも血が巡って更に貧血気味になるんですよね」

「だから、それ陛下の妄想だからっ」

「あの果竪が、陛下に食べてなんて誘うわけないだろっ! 無い、無いったら無いっ」


 ある意味機密事項の情報。

 けれど、玲珠達にとってはどうしらた良いか分からない情報だった。


 たぶん、他の凪国上層部が居たらこう言っただろう。


「うん、めっちゃ無駄な情報だな、それ」


 で、それから十五分ほどで報せを受けた数神の上層部によって朱詩と明睡は回収された。萩波?彼は上層部ですら回収出来なかった。



 そうして一神残った萩波に、玲珠達が恐る恐る口を開いた。


「あの、陛下」

「何ですか?」

「……実は、『後宮』に新たな姫が入ると聞きました」


 ここは、五月蠅い噂話などは届かない場所。そう--元寵姫達やその関係者達に関する噂話は。


「……煉国の王女様だとか」

「ええ、そうですね」


 彼等は煉国の王女を知っている。

 彼女が自分達、そして自分達の愛する者達の解放を願い出て、そして塔に幽閉された事も知っている。


 生きてはいまいと思った。

 でも、生きていた。


 あの地獄の中、彼女だけが自分達の為に自らの身を危機に晒してくれた。


 自分達は救われた。

 この国によって。


 彼女は生きていた。

 だから、彼女もまた救われて欲しい。

 幸せに、なって欲しい。



 彼女の母は愛する夫を殺され、そして憎い男の側室にされ、好きでもない男の娘を産んで、その娘を愛し育て--そしてゴミの様に殺された。


 元寵姫達を虐げていた者達が、笑い話の様に彼女について話をしていた。


 塔に入れられてもなお、元寵姫達とその関係者達を解放する様に叫ぶ狂神と嘲笑われていた。



 生きていた。

 生きていてくれた。


 それは、自分達にとって救いの一つだった。



 だから……彼女が、凪国国王の『後宮』に入るらしいと聞いた時、とても複雑な思いを抱いた。


 これが別の全く見知らぬ国の王女ならば、凪国王妃様から夫を奪う相手を純粋に憎めた。けれど、彼女を知る元寵姫達にはそれが出来なかった。

 よりにもよって、どうして。


 確かに、煉国を立て直すには大きな力が必要となる。

 そして、煉国の未来を考えれば、凪国の王との婚姻はこれ以上ない良縁だし、二国間を繋げる絆としては最高のものだろう。

 凪国からしても、煉国の王女が『後宮』入りする事は、煉国の服従を意味する事となる。


 けれど、だからといって。


 彼等は凪国王妃様を思う。


 他の姫が『後宮』入りするとなれば、彼女はどう思うだろう。

 夫が他の妻--妃を迎え、凪国王妃様はその妃と夫を共有し、その寵愛を巡って争わなければならない。


 しかも、煉国の王女は父親は腐りきっているが、それでもれっきとした王族の血を引く娘である。元が田舎出身の村娘なんかより、よっぽど由緒正しい血筋である。


 憎めれば良かった。

 でも、彼女に対してはそれが出来ない。


 あの地獄の中での、たった一つの優しさ、光。


 全てに裏切られ、絶望していた中で。



 自分達の為に、立ち向かったその王女を。



 玲珠達は憎む事なんて出来ない。



 涙ながらに、謝りながら、そう告げる玲珠達に萩波は優しい口調で告げた。



「大丈夫ですよ」

「へ、陛下」

「煉国王女は、煉国における唯一の良心。そんな女性を不当に扱う事はしません」

「で、でも、凪国王妃様が……煉国王女様が『後宮』入りされるとなると……」


 しないという選択肢は、無い。

 自分達の王を見て、玲珠達は確信していた。


「ええ、彼女には私の『後宮』に入って貰います」

「……」

「そして、立派に『煉国王女』としての役目を果たして頂きましょう」


 その言葉に、玲珠達三神は不安そうに顔を見合わせたのだった。






 夜が明ける。

 とうとう、果竪が王宮を抜け出す時が来た。


 お金はできる限り紙幣に替えた。


 貯金箱が重いからと両替して入れて貰ったお金を全て取り出す。

 自分でチマチマと縫い上げたリュックにお金の入った袋を入れる。

 袋の生地、リュックの生地は古びたものを使った。


 その他にも、これまで集めたものを入れた。

 軍時代の経験が役に立った。


 軍に居た時には野宿だってした。

 いくつものサバイバル技術を実践で学んだ。


 そう--十年前は土の上で寝ていたのだ。



 だから大丈夫。



 果竪は、その日の昼食後に外に出る事にした。


「果竪、今日は散歩に行きますか?」


 もうすぐ、煉国の王女が来る。

 だからその迎えで王宮全体が忙しく、特に明燐達果竪付きの侍女達も忙しかった。


 神手不足と言うのは本当に辛い。


「ううん、行かない。なんかあるの?」


 果竪が聞くと、明燐は「別の仕事が忙しくて」と言う。


 ここまで来ても、煉国王女の事は言わないのだ。まあ、果竪に言った所で何かが変わるわけもない。そう--煉国王女の『後宮』入りが変わるわけも無い。


 煉国王女は、元寵姫達とその関係者達を救おうとした女性でもあると言う。

 きっと、彼等にとっても煉国王女は大切な姫君で、その再会を心待ちにしている事だろう。絶対に、嬉しくて泣いてしまうと思う。


 そう--強くて優しくて、由緒正しいれっきとした一国の姫君。


 果竪とは全然違う。


「それで、暫くの間、別の仕事でバタバタしてしまうので果竪に迷惑をかけてしまうと思いますの」

「ふぅ~ん」


 果竪はしばし考える振りをした。


「別に構わないよ。というか、明燐達もずっと私の世話ばかりだと身体もなまっちゃうでしょう」

「そんな事はありませんわっ」


 そんな事は有り得ないと叫ぶ明燐に、果竪はクスクスと笑った。


「私なら一神でも大丈夫だよ」

「いえ、一神には」


 流石に一神にはさせられないと言う明燐。確かにその通りだろう。


「良いから良いから。ってか、私って何も出来ないお姫様じゃないんだよ?」

「か、果竪?」

「確かに無能で役立たずとは言われているけど、食事を作ったり、部屋の掃除をしたり、自分で服を着たりお風呂に入ったり、そういうのは出来るよ? だって、私も軍に居たんだから」


 大戦時代、軍での生活は基本的に自分の事は自分でやるのが普通だった。まあ、その美貌と色香から、色々と貢ぎ物が多い者達も居たけれど、果竪はそんなのは無いから、自分で掃除洗濯、料理もした。


「王妃になってからは全然だけど--そういう生活も懐かしいなぁって。あ、せっかくだから食事も自分で作ろうかな」

「か、果竪っ?!」

「一時的なものなら良いでしょう? 大根とか、大根とか、大根とか」


 果竪は言った。


 食事の大根が少ない。


「……」

「自分で作るなら、大根沢山食べられるし」

「果竪、大根は」

「愛してますっ」


 愛してるのに食べるの?というツッコミを明燐は口にはしなかった。


「お風呂だって自分で入れるし、洗濯だって自分で出来るもの。というか、何でもかんでも周りがやってくれる生活って、それも結構ストレスなんだけど」


 果竪の言い分は、明燐達にも理解出来た。

 彼等も地位と身分を持つようになったが、そういうのは煩わしいと常日頃から思っていた。自分で出来る事は自分でしたい。


「で、どのぐらいバタバタするの?」

「え? あ--その、十日、ぐらいは」

「十日か--その位なら、自分で生活出来るかなあ」

「いや、自分でって」

「その十日間、萩波に後ろから襲われないかなあ……」

「……」


 明燐は固まった。

 他の侍女達は顔を見合わせた。


「いや、きっと普通の夫婦は後ろからなんだよ。旦那さんが後ろから襲いかかるんだよ。だから絶対におかしい事じゃないんだよ」

「か、果竪、それを普通のごく一般的なご夫婦の前で口にしないで下さいね」


 頭がおかしいと思われるから。


 というか、それは一種のプレイだ、プレイ。


「その、陛下も忙しくなられるようですから、きっと安眠出来ると思います」

「そっか~……出来ると良いなぁ」


 か、果竪が荒んでる--。


 明燐達は愕然とした。

 だが、納得も出来た。


 果竪は十二歳で強引に萩波に妻にされてから、常に夜の夫婦生活を強いられてきた。犯罪だ、ロリコンだ、一度逮捕されてしまえ--と明燐達は何度思っただろう。


「……そもそも、私って、独身時代を優雅に過ごすとかって、無かったよね--いいね、みんなは」


 この場に居る者達は皆、まだ独身だった。

 そろそろ彼氏とか欲しいな~とは思っては居る者達も居るが。


「あ、あと読みたい本とかもまだ沢山あるし、大神しく過ごしてるよ」

「そ、そうですか?」

「うん。ご飯作って掃除して、全部自分でやりながら」

「……」

「あ、体力作りもしないと」


 悲壮感さえ漂わす、果竪。

 こんな十四歳が居て良いのか--いや、良くない。


 そんな感じで、果竪は彼女達が忙しい間、部屋での仮初め優雅な独身生活を謳歌する事になった。


 まあ、萩波の忙しいのが終わったら、果竪は夜でさえ満足に寝られないだろう--という明燐達なりの同情もあった。


 果竪はそれが分かっていた。

 そういう風に誘導したからだ。


 その同情心を利用する。



 きっと嫌われる。

 怒られるなんてもんじゃない。


 憎まれるだろう。


 でも、明燐達だって分かる筈だ。


 由緒正しい美しく高貴で強く優しい姫君に仕える方が幸せだと言う事を--。


 というか、明燐がそもそも王妃をやれば良かったような気もする。

 ただそうなると、煉国の王女様はどう頑張っても側室止まりになってしまうが。


 明燐を超える女性と言うのは、たぶんなかなか居ないだろうし。

 しかも宰相閣下の妹姫だし。





 果竪が与えられた部屋の一つに、実は簡易の台所がある。

 果竪は数日分の食料をその台所のある場所に保存する。

 そこから料理するのだ。


 そうすれば--きっと、数日は見つからない。


 果竪は、一神部屋の中を見まわす。

 王妃となり、この部屋で過ごしてきた日々を思い出す。


 今の所、全ての流れが良い方向に向かっている事を果竪は実感していた。


 と同時に、自分がこの王宮から追い出される感覚を覚えていた。外に、外に出そうとしている、そんな感覚。


 ここには居られない。

 居てはならない。


「そりゃそうか……今の私、男の子だもん」


 王妃が男。

 異性愛者の王の正妃が男。


 そりゃあ、追い出されるに決まっている。


 この王宮は、萩波を守る『モノ』だ。

 だから、萩波にとって害のある存在は『排除』される。


「……さようなら」


 果竪は、小さな声で呟いた。


 彼女を今まで守ってきてくれた、この『空間』に対して。


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