人民の導き手、祖国の担い手。
男爵と向かい合う。正直、日本の一般的な短大生である自分が、このオッサンを指揮する側であるという実感はない。つーかこえーよ、この眼光。何、恨みでもあんの?理不尽な恨みは許しませんよっと。特に理由もない静かな睨み合いが続く。先に目を離したら負けだと思う、うん。
そんな時間がいったいどれほど流れたであろうか。沈黙に次ぐ沈黙。今なら針の落ちた音でも聞き取れるかもしらん。先ほどから、動いていた扇風機もすでに動力が切れて止まっている。体感的には1時間も経ったろうか。ふと彼の眼力が弱まったように感じた。いったい何だってんだ。このオッサン。
「流石は帝国の指導者たらんとする方ですな。この私の眼力を受けても揺らぐことがないとは。」
「揺らぐようなものに指導される国家ほどもろいものはない、違うかね?」
と、適当に格好つけた言葉を交わす。良いだろう、自棄じゃ。筆髭おじさんとか内閣総理大臣兼陸軍大臣兼参謀総長の某陸軍大将とかを意識して話すまでだ。俺、いや、余ならばできる(狂気)。
「その心がけは、お見事。しかして、我々魔のものが尊ぶのは武勇ぞ。我らを従えるにはそれ相応の武勇を見せて頂きたい。」
「いいだろう、やってやろうじゃないか。」
出来るわけねーよ、という本音、アレは沈んだ。内閣総理大臣兼陸軍大臣兼参謀総長の某大将は言った。「飛行機は機関銃や高射砲で落とすのではなく,気迫で落とすものだ」と。即ち気迫で何とかできるのだ!飛行機がどうにかなるならば、まして騎兵を恐れる由はなし。来い。今短剣すら持っては居らんがな!!竹があれば多分大丈夫だ。竹は兵器にも罠にもなる、日用品、工芸品。万能だよ、竹は。この辺に無さそうだけどな。
「我らの中でも最も手練れである我が息子と勝負していただこう。」
「良いだろう。何時でも構わぬ。なんなら今からでも良い。」
武器はなくとも気迫は金剛山の如くなり。必死必中見敵必殺の気概は奮起状態の手榴弾に等しい。だから勝てる。骨を斬らせて骨を斬る、此しかない。
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手に馴染まない刃渡り二尺の剣を借りて、だだっ広いところに立つ。 向こうは槍を持っている。されど気迫は勝る。必ず勝つ、この信念が勝利を引き寄せん!!
向き合う二人へ課せられた制約はただ一つ死んだら負け。ただそれだけだ。不思議と力がみなぎるが、これを人はヤケクソパワーと呼ぶ。目の前の相手はケンタウルスのイケメンで、こっちはうだつの上がらない、某短大生徒だ。
そのイケメンが一挙に此方に突っ込んで来た。剣をしかと握りしめ、ふっと息を吐く。疾く突っ込んで来る彼は槍先に重さを乗せて正に胸を突かんとしている。それを気迫でもって剣先で我が左体側に逸らしつつその槍に我が左腕を預けながら体重をかけ、右足を一挙に踏み込み、右手を槍沿いに延ばす。鈍い、何かを突き刺したようなズルッとした感触を一瞬感じたかと思ったら、気が付けば自分は宙に投げ出されて居た。そしてそのまま意識を手放した
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目を覚ましたのは先程の決闘の場から僅かの所だった身体中泥まみれであったが、不思議と体が軽い。ふと目線を移せば男爵が近くに居った。
「君の息子はどうした。」
「野末の糧と」
「そうか」
「閣下、我等ケンタウルス族は全て閣下に従い、命を捧げます。その証として娘のクリステルを献ずる積もりです。クリステルなら、閣下の護衛にも適するかと。」
「そうか、善きに計らえ」
「閣下、閣下は今から我等にとってやっと、真の帝国指導者と認めるべき存在になったのです。閣下は今や人民の導き手であり、祖国の担い手なのです。閣下のご命令あらば我等は地獄にでも進軍致しましょうぞ。
今回主人公がやったのは実は旧軍の短剣術がモチーフです。
つーか八月にこの内容は洒落に成らぬ。何だか戦陣訓の作者にとりつかれた様にこんな文章を書いていた私は何なんだ。確かにこの前市ヶ谷に行ったけどもさ
2018.4.14
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反動中共粉砕、民主化‼不忘六四天安門同志‼習近平黄熊殴殺‼