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進化の系譜  作者: 数貴
一章 はじめて神様に願う時
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行くならお土産よろしくね

 僕は今日も夢も見た。

 ぼんやりと移る場所には二人がいた。一人は両膝をついて地面に座り込んでいるように見える、もう一人はただ何もしないで座り込んだ人を見下ろしている。

 何かの話し声が聞こえるもっと大きな声で言ってくれ。二人は見方によっては男女のもつれと答えるような重い雰囲気を漂わせている。

 君らは仲が悪いのか?こちらが喋っても何も答えてはくれない、僕はただ見ているだけだった。

 ずっと彼らは言い合っている。でも何を言っているのかは判らないどうすれば聞こえるようになるのかも判らない。

 投げかける言葉が尽きたのか何も喋らなくなった。なんとなくわかった事は座り込んだ人は怒っている、立ってる人は冷たい態度だ。相性が悪いのなら話さなければ良いのに。けれど一言だけははっきりと聞こえた言葉がある。


「やだよバーカ」


 すると冷たい態度の人はただ一突きの剣を座っている人の胸に一突き刺した。

 何でこんな結末だったのか…何か駄目だったの?でもこれがやるべきことなのを知ってる。そして僕はまた―――。




 良い天気だ日差しは人を活性化させる様な気がする。と言うか朝から外に出でるのは久しぶりだなんせこの二週間近くは平時は部屋に篭もって地図作成、深夜になればシャインと飲みに行く、おかげ様でなのか朝日を今日の今日までまったく拝んでいる気がしない。

 大きく体を伸ばしながら朝市露店をゆっくりと眺め見たことのない楕円の果物をかじりつく渋みのある甘すっぱさは私の脳を活性化させるのには丁度良くこれは何か?と訊ねたらこの形が囚われてがないのがキープの実だよと答えてくれた隣を見たら四角や三角や星形など奇妙な形をした薄く透明色に紫色を足した色をしていた。ちょっと気に入ってしまったので四つほど再度購入をした。

 時間はすぐに過ぎるものだ朝は歩いて昼は早歩きで夜は走しるけれど過ぎる時間はみな同じと吟遊詩人いわくこの街には三つの顔があるとの事だが今日やっと判った気がした。

 

「それでこの人らは何だ?」


 宿屋に帰りついた私を一階でシャインに呼び止められ他に三人が座っている円卓の席へと案内された。


「ペンター侯爵が調査するなら徹底的に宜しくだそうです」


 必要最低限のことをシャインから告げられた。三人の方へと向くとその中でも年配の大き目の剣と片腕には小盾を装着している筋肉質体格の人間が椅子から立ち上がりこちらに話しかけた。


「宜しく頼みますイルミス・ロックさん私はグロス・セインと申しますこちらはアルロンとフェルミナです。地図のイルミスって噂は聞いておりますよ」


 握手を求められて迷いながら手に応じたが私の顔は複雑そうな顔をしている。


「同行するのは構いませんけど徹底的とは?私は調査を半日程度で街に危険がないのならば早々に終わらせてしまおうと軽装なんですけど」

「こちらで長期準備はしております追加の報酬もペンター侯爵から認めてもらってます」

「いえ視察で着いて来るってだったらもっともですから良いんですけどね…ただこれは遺跡で何か発掘しろと?」


 一人でやったほうが地質調査だけならすぐに終わるが、価値があるものを見つけろとなると早々は見つからない。元々遺跡は誰かが作ったから在る訳で貴重な物となるとその時の宝物庫の役割であった物を探すことになるのがだ大抵が隠してあるか解析不明の鍵など知らなければならない事が出てきてしまう。ただし道端に落ちている宝物の類はその場で亡くなった人が所持していた可能性が高く周囲に罠などの危険性も同時に高くなる。


「そうです一財産見つけましょう」

「結構広いですよこの遺跡」

「いやー身元がわからない冒険者に荒らされるよりも信頼がある貴方に頼みたいじゃないですか。広さは気合とお金でカバーしましょう」


 お金で何でも解決できるとはあながち間違いではないが私は金銭よりも休暇がほしいな。


「では条件として一先ずは数日は調査をしてその後から本格的な探索を二週間の期間までは同行しましょう。その後はほかの人手を増やして探索をしてくださいじゃあないと数ヶ月たっても終わりませんからね」


 他の二人もそれで良いかと訊ねて二人は首を立てに振った。グロス・セインと名乗った人もそれで納得をしてコクリと頷いた。


「しかしながらよくそんな空間がこの街の地下にありましたなあ、しかも誰も気がつかないで」

「人払い的なのがあったのかもしれません街が出来る前ですら入った形跡と言いますか入り口すらないですからね」

「どこから入るつもりだったんですか?」

「一人なら転移だったけどこの人数で後々人が増えることを考えるとなるとノームに頼むか誰かギフトで土操作系のを何人か連れてきてもらいたいかな」

「転移とは珍しいですな、さすがとしか言い様がありませんよ」

「まあ長距離移動じゃないですからエーテル量だけ気にしてれば大丈夫だったんですけど」

「お任せください地下と聞いていたのでこのアルロンを連れて来ました。土系統ならこの街ではかなりの使い手ですよ」


 私から見て右手座っている男性の蛇の尻尾を生やしている魔族の青年はニコッとこちらに笑顔を見せた。なるほどこちらがアルロンかすると左に居るフード付きマントで偉そうな態度の若い少女がフェルミナか。


「助かるなさすがに四人の転移は体力的にきついから、じゃあ準備があるし昼頃また集合しようか」

「行くならお土産よろしくね」


 話も終わったので部屋に帰って準備をしようという気分になっていたがシャインのことをすっかり忘れていた


「お任せください」


そんな事を気がついてる様子もなくセインはいち早く反応を示した。おい任されるなよ…。




「ここから深く掘ってもらって良いかな?アルロン」


 イルミス、セイン、アルロン、フェルミナこの四人が時間を置いて再度集合をした後に地面を街中に空ける訳にもいかないので多少離れた郊外へと場所を移した。


「わかったどれくらいまで?」

「百メートルほどかな」

「…深いんだけど」

「努力だ」


 アルロンは右手を地面について黄金色と焦げ茶色が混じった大地を一握りした。


「土精霊ノーム穴を開けるの手伝って」


 精霊魔法に関しては決まった詠唱、構築式などはなくその場にある物に対して祈りを捧げ願う。そしてお願いする側は言わば指揮者であり、される側はゆえに演奏者とも例えられる。


「へえギフトかとおもったら精霊魔法か」


 手のひらほどの小さな帽子をかぶった小人達が彼の右手周辺の大地から溢れかえるように沸いてで来る。大地を裂いて出てくる奴や握った土からこぼれるように出てくる物などどの土からもどんどん出てきている。

 穴を開けてと指示をされた小人達は地面に触れたとおもったらまったくの乱れのないサイコロ程度の大きさの立方体を大地を切り取るように穴以外の場所へと放り投げている。ポロポロとどんどんそれが積み重なっていき次第に穴をどんどん深く掘り切り取っている。

 順調に穴が開いているのを確認してから気分よく返事をした。


「今から探索するのに疲れたら勿体無いでしょう」


 精霊が動いているので指揮をする分には疲れなどはほぼ皆無であるのは大きな利点ではあるがそれぞれの精霊自身にも感情があり気に食わないのならば対話にも応じる事がなくより大きい演奏をしたいのならばより好かれる才能が必要にもあるがアルロンは以前言われた通りに土系統には大きな自信がありそうだ。

 すると小さい土の精霊達は仕事が終わったのか「わー」と騒ぎ立ててそのまま土へ潜り帰っていった。穴の大きさは縦と横それぞれ五メートルほどの大きさで降りるだけなら十分な広さを確保ができていた。


「空洞まで開け終わったよ」

「よしじゃあロープ固定してそのまま降下して行こう…と言いたいけども先に作戦会議です」


 さすがに何も考えないで突っ込んでいくほど遺跡探検は楽ではない。


「いつになったら言い出すのか不安だったよ」


 冗談交じりでセインは答えてアルロンとフェルミナも見直す。


「他の二人も良いかな」


二人ともコクコクと頷いてから私から会話を始める。


「まずこの未開遺跡先遣調査冒険者ギルドの依頼で出すのなら難易度は恐らく六、通常なら五でもいいが一切情報がない点では六もしく七はでも通じるだろう君らもそのつもりで挑んでくれ。それと暫定で構わないが今回の探索でのリーダーは私だ指示には従ってもらう。従わない場合は正直どうなっても知らないし興味がない。下でのはぐれた場合の集合場所はこのロープが垂れ下がっている地点だ、ここまでは質問はあるか?」

「隊列はどうしますか?」


 アルロンが問いは当然聞くべきことだ。けれどその前に聞かなければならない事がある。


「それもこれから決める。ただ決める前に君らの能力を知りたい、隠したい能力は隠してくれても良いが何が出来るかぐらいは把握したい」


 まずは多少知られてもいるが私自身のことを確認のために出来ることを思い出しながら話出す。


「それでは私の能力からギフトは都市の守護で指定した街の全てを見通すことができる、精霊魔法は得意ではないが原祖魔法は転移、身体強化、解読、解呪、罠解除、治癒など補助系統が得意かな」


 フェルミナがこちらをじっと睨んでいる、視線をこちらから外さないのが気にはなる。そしてセイン、アルロンと順にはこちらの意図に則ってか続けざまこちらに行為能力について発言していった。


「ギフトは二閃で剣撃が一回で二発分ってことだ。魔法全般が得意ではないが身体強化ぐらいは扱える。ギフトに合わせて武器は剣にしている基本近接だと思ってくれ」

「ギフトは言いたくない、土系統闇系統が得意です土による守護、攻撃今回の遺跡では役に立つとおもいます」


 何かずっと難しい顔をしていたフェルミナは一言だけしゃべった。


「治癒が使える」


 治癒自体は各国の一部教会が教育を施している原祖魔術ではあるのだがそれを使えるのは一般的には女性が多く男性で使えるイルミスが珍しいのかもしれない。それで怪しく感じているのかこちらを警戒している。たぶん…そのことだよね?


「判った先頭は私で後方はグロスさんお願いします他の二人は間に挟まれてくれフェルミナは治癒以外の魔法は使わなくて良い身体強化もこちらでかけるアルロンも防衛に徹してくれ」

「いざとなったら私に全員掴まればいい帰り分のだけの転移ならエーテル量も十分足りるはずだしでそのまま地上に逃げるから早々危険すぎるって事はない」

「でも真上ってどこに出るかわからなくなるんじゃ」


 アルロンが簡単な疑問に引っかかった。


「これでも一応地図って言われてるからな位置把握ぐらいは簡単に出来る」

「なるほど」


 私の腰に装着しているポーチから白色の液体が入っている魔法瓶を取り出してからセインさんに手渡した。


「それとセインさん降りる前にこれを小盾か何かに塗って置いてください」

「効果は?」

「光の精霊をより易くなる液体です。半日ほどですがに塗ったものに定住します、明かり代わりに使ってください降下先は光が一切ないので」

「わかった後方の確認は俺に任せておけ」

「後は目的は財宝を見つけることではない、別に財宝を見つけるのは構わないが今回はあくまで調査であり今後探索するさえの指針にもなる地図の作成、罠の解除、地形調査、生態調査が目的だ。なので無理な事はしないってことを頭に入れといてください。質問がないならそろそろ行くけど」

「了解っ」

「はい」

「えぇ」


 三者三様の返事であった。セインとアルロンは少し興奮しているようにも見えたが大きい仕事を得てやる気が出ているのだろうと感じた。ただフェルミナに関しては今朝と変わらず会話に参加もする事がほとんどなくぶっきら棒で偉そうな態度がずっと続いている。


「じゃあ探索開始だ」

(不安だ…)


 周囲の木に昨日買ったばかりの魔法のロープを固定して真っ暗な百メートル近い底の穴にロープをスルスルっと下ろしていく、別に降下して行く事が不安と言う訳ではない。

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