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進化の系譜  作者: 数貴
一章 はじめて神様に願う時
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そろそろ面白い事が始まりますよ

 昼間と比べて食べ物以外の露店は減りはしたが代わりにテーブルと椅子と灯りが見渡した全てのところに設置がしてある。

 全てのテーブルには人々が囲みぶどう酒と食事を取っていた。その中に混ざって私は誰か知らない奴らと景気よく飲んでいた。


「「「ドン!ドン!ドン!ドン!さぁ始まりましてお二方♪」」」


 テーブルにとある二名がきつめのぶどう酒を入れているコップを4回軽快に叩きリズムを取ってそれ以外の人々が手拍子を送ったり歌っている。


「「「どちらの勇気が凄いのか♪」」」


 コップを持っている二人は耳に尖がっている特徴があり背が高くまた肌が白く見えるおそらくはエルフであろう、もう一人はくるりと丸まっている羊のような角が生えて肌が薄く青黒く腰辺りからは蛇のような尻尾が生えているこちらは魔族であろう。

 一般的に彼らの種族は仲はよくはないはずなのだがおでこが当たるぐらいの距離で二人ともに白い歯を見せて笑っていた。


「「「どちらがお酒が強いのか♪」」」

 

 最後の台詞は周囲の人々と二人も合わせて一斉に答えた。


「「「「どちらがお金を払うのか!」」」」 


 二人は乾杯をした後に上を向いて一気にぶどう酒を飲み干していった。

 周囲にはギャラリーに混じる人達や、音楽を聴きながらみなと食事を楽しんだり、商人は商売にいそしんだりと過し方は様々であった。


「お待たせしましたジャガイモのバターのせとたまねぎスープと羊の香草焼きとぶどう酒です」


 昼間にペンター宅へと案内をしてくれた少年が注文をしていた料理をテーブルへと運んできてくれた。


「早かったな!にしても凄い熱気だなこれは」


 青銅貨を三枚渡してから手で少年にそのまま席に座るように促した。お金を貰ってから嬉しいような顔をしてその場に空いていた椅子へと座った。


「量は多めに頼んでたはずだから摘みながら教えてくれ、この街の貨幣価値についてだいくらかは露店を覗いたけど予想外だったのでな」


 納得したように少年は頷いて遠慮しながら肉を一切れ手に持っている。


「そうですね…まず簡単に説明しますけど一食がだいたい銅貨が五枚ほどですね一日で青銅貨で二枚いらないぐらいでしょうね、今お出しした食事は羊が少し割高ですけど合計で青銅貨二枚ほどだと思います。あと銀貨、金貨の交換所で交換する場合では青銅貨幣十枚ほどで銀貨一枚で銀貨が五十枚で金貨が一枚となります。手数料は額にもよりますがおおよそ銅貨十枚もしくは青銅貨一枚ですね」

「うん、やっぱり他の街とそう変わらないな。そうなってくるとこの街の経済状況が気になってくるな…」


 じゃがいもに濃厚に溶けているバターをホクホクと私は摘み、少年はどこから持ってきたのかリンゴをかじりながら自信満々に答えてきた。


「それはですね大量消費する事によって利益を出しているわけですよ。つまりは商品が他の街より多く売れると言うのを目玉にしてるのです」

「なるほどこの街に来れば商品は売れる、そして商品が売れるなら商人が集まる物が余剰なほどに更に集まるけれど毎日が祭りならばがいつでも特需の状態になっている…そしていつでも祭りの観光場所みたいなものにしてお客を集めているんだな」

「えぇ大まかにそういう事ですけどここまでの状態にするのはやはり先人達の知恵が大きかったですね」


 確かに人種が違う物も集めて平和の状態を維持をしているそれだけでこの街は他とは比べ物にならないぐらい異常な雰囲気であるのは私にも理解ができた。

 どの様な思惑があったのかなどと考えていると少年が少し声を抑え気味に話しかけてきた。


「そろそろ面白い事が始まりますよ」


 やぐらの様なものが高く設置してありそれの壇上を見るように少年は手で指を刺し示した。

 すると幾分かは距離があり遠目からは踊り子のような露出が多目の服装の着た人物が暗いながらも見えたような気がした。


 周囲はざわざわと何かを待ち構えるように騒ぎ出しみな上を見上げていた。

 踊り子の女性から遠いはずの声は透き通って頭の中に聞こえ始めた。

 

『私は幸福の烈花である

  創造するのは私の叙景、構成するのは見上げる空を

   私と優美な輪舞を披露しよう、神々の心も楽しませよう

    作りし炎は傷つけず、夜の花は可憐に咲く

     私は対価を求めない、なぜなら私は輝いているから』


 語りだした言葉に一拍を置いてこう答えた。


「アグライア・グロリオサ」


 そして踊り子の”ギフト”は発動した。


 灯りとしていた火が踊り子の中心に集まり千にも万にもなるほどのゆらぐ火の塊が螺旋を描き動いていた。


 彼女の舞についていく様に右に左にとまた真下の観客に触れるぐらいに火の玉が廻るしく動いていく。

 全ての火の灯りが彼女を中心に浮かび近づく私にも近づいていた火には熱さなどまったく無かった。


 百ほどの火が一つになりその一つの火がさらに百ほど出来上がり踊り子を中心として円を描き動いていたのが急停止をしてから真上にいくつかが上昇していく。

 軌跡を描き上へ上へと上昇し星のように見えた炎の塊が盆のように真ん丸に百にもなる星を散らした。

 星の色が火の色から水の色そして土の色また木の色に一斉に変化をしてそして一斉に消えていった。

 消えたと思ったらまた点いて点いたと思ったらまた消えて。それを繰り返しながら一つの街を丸ごと太鼓にしたような音も点くと同時に大地に揺れ響いている。


 彼女の踊りがまた変化をした。彼女の下方周辺に火が並び一斉に上がったのちに端から一つ一つが水のように零れ落ちている。火のはずなのにそれはまるで水の滝のようにも見える。


 この世界を表現するには言葉足らずだったが火の花が空に咲いているようであった。

 

「凄い……」


 私は感嘆の声を呟いた。歓喜の街にいる私達には常に星が地上へと輝いていた。


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