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K大漫研物語  作者: 北村 功至郎
始まりの日
6/21

買い出し紀行

「ご馳走様でした!」

「有難うございました!」

数分後、食べ終わったメンバーは、奢ってもらった諸先輩方へ一礼した。

「いや、今回だけだよ…我々も裕福では無いし…」

豊田さんら先輩方は、少し淋しい笑顔でかぶりを振った。

「さて…この後どうする?」

伸びをしながら、豊田さんが言う。

「飲みにでも行くんですか?」

キイチローが訊ねる。

「いやいや、店に飲みに行くのは金がかかるからね。うちにウイスキーがあるから、飲みたければそれ飲んでもいいよ。」

ウイスキー。ビールとかカクテルをすっ飛ばして。いきなり大人の響きだ。

「まあ飲み食いしたいものは途中で買えばいいさ。普段は、飲みメインじゃなく、ただ集まってだべって、漫画読んだり描いたり遊んだりしてるんだけどね。」

「面白そう…行きます!」

「私も!」

即答するキイチローとヨーコ。酒でも入ったかのようなテンションだ。とは言え、鈴木も行きたい気持ちは同じだった。

「僕も行きます…エミッチは?」

「まあみんな行くなら、私も行こうかな…」

結局、みんなで行くことになった。


 少し離れた豊田さんの家まで歩く途中、皆でコンビニに寄る。すぐに酒を買いに走るキイチロー。飲みに行くんじゃないんだぞ、とたしなめる豊田さん。とりあえずどの菓子にするかとはしゃぐ女子たち。鈴木は静かに350ミリ缶のビールとチューハイを一本ずつとポテチを一袋カゴに入れた。

「あれ、鈴木っち、それで終わり?」

500ミリ缶6本パックとサラミとのしイカを手にしたキイチローが言った。

「あのな、まだそんな飲んだことないんだから…」

「そっか…鈴木っち、真面目だなあ…」

変な感心の仕方をする。

「そうなんだ、意外だねえ。」

言いながら、ヨーコがカクテルの瓶とチョコ系菓子を幾つか入れる。

「そうねえ、飲みそうに見えるけどねえ。」

今度はエミッチが赤ワインを一本とチーズを入れる。

「…やるねえ、エミッチ…」

ワインなど飲んだことのない鈴木が言うと、

「いや、私ワイン以外苦手なのよね。ビールって苦いし、チューハイとかカクテルはジュースとしか思えないし…」

あっけらかんと語った。

「こらこら君達、飲むのはほどほどにね。」

言いながら、豊田さんがお茶を一本とウイスキーを追加する。…何だか、みんな凄いな…。鈴木は少し遠い目をしてたたずんだ。



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