少女の涙
––––おいおい、嘘だろ。な……何で……お前が––––
––––彼は今、信じられない光景を見て、目を大きく見開いている。
なぜなら、自分の前に立っている女の子は前に自分が死にかけているところを助けてくれたことや自分が落ち込んでいる時に側に来て励ましてくれたこともあった。
さらにこんな無力だった自分にいろいろと指導してくれていたり、側でずっと応援してくれたこともあった。
––––そして、何よりその娘がいつも流しているあの涙。
その娘はよく泣いてはいるけど、それは人を慈しませるかのような涙で肌に触れるだけでも温もりを感じさせてくれる。その涙を見るだけでも自分の心を癒してくれていた。
だが、それなのに……それなのに––––
––––なぜ、俺を殺そうとする––––
––––その娘が今、自分を殺そうとしている。
しかも彼女の表情はいつもと違って氷のように冷たい表情をしており、もう自分がよく知っている少女じゃないとはっきりと分かる。
そして、何より一番驚かされるのは––––
––––その少女の目から流している涙。
少女は今、冷たい表情で彼を殺そうとしているにも関わらず、なぜか目からぽろぽろと涙を流している。
さらに今、流れ出た涙が頬を伝ってそのまま地面に落ちて行くはずなのに、頬を伝った後、地面に落ちようともせずにそのまま宙に浮いていく。
さらに宙に浮いた涙が純白で丸い玉へと変わり、まるで真珠のように神秘的で全くの穢れがないというくらいに美しいけれど、なぜか逆に氷のように冷たく光る凶器のように見える。
「な……何で¬あんたが俺を殺そうとするんだ」
ミライは口を震わせながら理由を訊くと、少女は澄ました顔で彼にこう答える。
「ええ、なぜなら、私は……」
彼がその言葉を聞いた瞬間、やっとのことで思い出す。
「ま、まさか……、あんたは––––」
「––––ええ」
少女は不敵な笑みを浮かべながら答えた。




