46 C スパイクガー
ワニのような淡水魚、それが「スパイクガー」だ。
正確に言えばスパイクはトゲという意味で、ワニ風の魚がガーという。
海外に「アリゲーターガー」というのがいるが、それの近縁種である。
魚ではあるが、硬い鱗を持ち、ワニに似ている。
口もワニのように上下に分かれていて、前に突き出ている。
全長は50セントメトルから、1メトルくらいと川魚としては比較的大きい。
そして大きい体にしては、動きが素早い。
面白いのが、普通ならトリの餌になるのが魚である。
しかし、この種はその捕食しようとした魚を取って逆に食べる。
関係性が完全に逆転しているところだ。
そしてワニと同じようにデスロールという回転技で、獲物をしとめる。
この行動が強烈で、しばしば漁師なども、腕を持っていかれることがある。
ランクはCだが、かなりBに近い。
それに反するように、身は白身魚で食べると美味しい。
新鮮なうちは刺身でも食べられるため、塩をちょっとつけて食べるのが通なのだとか。
白身魚のフライにすると、抜群に美味い。特にフィッシュバーガーにすると最高だろう。
俺も魚釣りをしていたら、魚が掛かったのだが、その魚にスパイクガーが食いついて、大変な目に遭ったことがある。
一度噛みつくとなかなか離さない習性があるらしく、引き上げるのも危険で、どうしようか迷ってしまった。
結果的に、他の釣り仲間の協力で引き揚げたが、かなりの大物だった。
川岸に不用意に近づくと、川から顔を出して襲ってくることがある。
子供などは特に危険で、毎年のように死亡例も報告されている。
痛ましい事件ではあるが、注意の看板を建てているにもかかわらず、被害は減る様子を見せない。
子供が看板をきにしていないというのもあるが、大人の被害も目に付くため、それだけではないことが分かる。
王宮や冒険者ギルドは警告を流しているものの、そのような地方の当事者まで情報が届いていないのだと思われる。
この魔魚は駆除指令が出たことがあったのだが、水中ということもあり駆除しきれなかった。
身は美味いものの、あまり高いわけでもなく、冒険者にうま味が少なかったことも影響した。
結局、餌の魚が増えた後、スパイクガーも生息数がすっかり回復して、現在では注意を促すだけになっている。
川で沐浴をする人も多いが、このような危険があることは承知しておくべきだろう。
国内の主要な川の下流域にはだいたい生息している。
具体的には、西部のカラシル川、中部のマタスニユ湖付近およびフィーラル川、東部のマッカラサン川と確認している。
特に中部のフィーラル川は王都につながっている川で、王都のすぐ横の川付近も生息域なので、王都民は、注意してほしい。
口酸っぱく言われているとは思うが、洗濯などといって川に近づくのは危険だ。
今でも平気だと言って洗濯をしている人も普通に見かけるが、安全とはいえないので、おすすめはしない。
幸いなのは、上流にはあまりいないことだが、人口比でいえば、人間は下流に多く住んでいるので、あまり慰めにはならない。
皮は加工されるかと言うと、結局魚であり、ワニ革とは特性が違うらしく、利用価値が低いとして捨てられている。
骨なども同様で、一部の店ではスープの出汁にするくらいで、注目度はあまりにも低い。
ついでにいえば、いいことと言えば、釣り愛好家にはその力強い「引き」が好評を博しているくらいだろうか。




