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最強平凡B級冒険者ヤドルのフィーラル王国魔物事典  作者: 滝川 海老郎


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40/54

40 X ユニコーン

 本当の一角獣、神獣「ユニコーン」だ。

 魔物辞典ではあるが、この種を魔物と分類する人はまず見たことがない。

 なぜなら神獣を解体したことがある人がいないからだが、ここでは紹介しておく。


 伝説の神獣、ユニコーンだが、今から約50年前、それは一人の少女クラリスの前に現れたことから、世界を巻き込んだ騒動に発展していく。

 それは紛れもない、フィーラル王国の辺境の地、トリアシアラ村での出来事だった。

 少女クラリスが裏の畑で病人のための薬草採取をしていたところ、やってきたのがユニコーンだったのだ。

 そのユニコーンは、ブリドとクラリスによって名づけられ、契約を交わしたとされる。

 これが歴史に残る実際のテイムの瞬間であった。

 ユニコーンは清純な乙女にのみ膝をつき、背に乗せるという。

 その時も、実際に目の前で膝をついて見せ、乗せると走り出して村を一周してみせた。


 その後、クラリスとブリドは村々と領都の間の交易に参加して、物資の輸送を担っていたという。

 最初はリュックサックだったというから、ユニコーンも可哀想なものだ。

 収益が増えやっとマジックバッグを購入して、それからは荷物の量も爆発的に増えていき、どんどんと交易が盛んになって、村々も繁栄していったという。

 そこへ、転機が訪れる。

 領の男爵様から、結婚の報告を王宮に送る使者をやってほしいと言われたのだ。

 乙女が務めるユニコーン便が結婚の報告など、ロマンチックの極みだ。

 これがバカ受け、貴族の間で話が広まり、あちこちの仕事が舞い込んでくる。

 領内の村々の仕事は、その後参入した新しい馬車にお願いをして、ユニコーン便は特別な使者として大活躍した。

 民衆は噂に噂を重ね、聖女クラリスと呼んだ。


 ユニコーン便はラミーニャに匹敵する速度で馬に匹敵する積載能力と航続距離がある。

 そして、ラミーニャはたびたび襲われやすいという問題があったが、ユニコーンはほぼすべての魔物が逃げるそうだ。

 彼女は過去にモンスターに襲われたことがないと証言している。

 そして、一度だけ襲われた時も盗賊だったのだが、その盗賊団もユニコーンを前に、全員が膝をついて許しを請うたそうだ。

 これが歌劇にもされる、伝説のユニコーン対盗賊団の発祥だそうだ。


 ところがここで教会が待ったをかける。

 そのように聖女に任命したことはないと発表してしまったのだ。

 ここで選択肢は二つ、野良聖女となるか、正式に聖女にしてしまうかだ。

 後者になれば彼女の管轄は教会預かりとなり、自由な身が制限されてしまう。

 今度はそれに王宮や貴族たちが反対意見をひそひそと言うという状態になる。

 ここで、重要だったのは彼女のユニコーン便が本人の登録によって冒険者ギルド管轄だったことだ。

 結局、教会は改革派と前例がないとして聖女認定を否定している伝統派に別れてしまい、どちらも過半数を超えずに、保留される。

 そうこうしているうちに民衆からの支持が膨らんでいった。

 そんなおり、東部のトリアディア侯爵の嫡男ルイド氏が、休日のクラリス嬢と森でばったり会い「運命の休日」と呼ばれる出来事があった。

 彼女は回想で、あれは電撃的な出来事だったと振り返っているが、何があったかは書かれていない。

 ここから二人は恋に落ち、ロマンチックにも結婚してしまう。

 恋は盲目というのだろうか。

 王宮も教会も出遅れ、冒険者ギルドは逆に楽しんでことを見守り、結婚式が開かれた。

 それはもう盛大で、パレードでは領都で民衆が道一杯に歓迎したというから、伝説的だったのだろう。

 これで、ユニコーン氏は契約を解除し、森へと戻っていき、以降見たものはいない。

 王宮は彼女の存在を危険視するのではという不安も一時広がっていた。

 しかしここで王宮がミラクルを発動、結婚を歓迎するという報告を出し、一躍、国を挙げての歓迎ムードになったという。

 そんな彼女も、今では孫もいる68歳であり、まだ現役の領主婦人を続けている。

 彼女の家系は、聖女適性が高いらしく、高位のヒール魔法を使うことで有名だ。

 ただし、女系であり、男子が生まれないことで、一種の聖女の呪いではないか、という噂もある。

 真実はさておき、高位のヒール使いは国でも重要視されるため、彼女の価値は高い。


 この話のほとんどは、俺の又聞きと、自伝『ユニコーンの背に乗って』に詳細に書かれている。

 多少のフェイクはあるだろうが、ほとんどが民間伝承と一致しており、信頼に足る自伝であることが窺える。


 こうして、ユニコーン氏は、またしても国の伝説の仲間入りをしたのだ。


 ユニコーンの角について、万寿の薬という噂があるが、真実かは判明していない。

 ユニコーンのブリド氏も、角を置き土産などにはしなかったことが分かっている。

 ただし民間療法としては信じられており、代替薬としてイッカクの角が使われたり、価値は圧倒的に落ちるが、ホーンラビットの角が薬として使われるのは、こうしたいきさつがある。


 また、白い毛皮が高貴として重宝される理由の一つに、この純白のユニコーンおよびペガサスがいることと関係があるのでは、という意見もある。

 実際のところは不明だが、可能性は高い。


 ユニコーンの肉について、酒場では、聖女以外が食べると毒で呪われて死ぬ、というのが今ではそれっぽい噂として定着している。

 しかし、酔っ払いの主張が元ネタという説が有力で、信憑性はない。


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