38 E ウサギリス
フィーラル王国のマスコットそれが「ウサギリス」だ。
旧帝国語が多い中で、この名称は現代語のウサギとリスの合成語だ。
その通りで、ウサギのような耳を持つ、リスのような小型の魔物だ。
動物ではなく魔物であるのは、ちゃんと魔石を持っているからだ。
その昔、王国では伝説の神獣、カーバンクルが大量に出現したとして、ウサギリスを乱獲したことがある。
そのとき、いくつもの個体は、結局カーバンクルではないとして、人にそのまま飼われてペット化していった。
現代でも多くの個体がペットとして飼われているのは、このような過去があったからだ。
野生種はこの際に減少の一途をたどり、絶滅寸前で、今は森の奥で密かに暮らしているらしい。
実際、俺でさえ、その個体を確認したことがない。
ペットのものなら、王都にいけば、いくらでも見れる。
特に立派な商人の家や下級貴族などに人気だ。
上級貴族は、ウサギリスを下級貴族のものと思っていることで、飼うことはほとんどない。
しかし、たまに動物好きの令嬢などが飼うこともあり、この見栄っぱりなところは、有名無実となっている。
色は茶色からオレンジ色または白変種がいる。
白色は遺伝的に弱いらしく、個体数がとても少ない。
毛皮も取引されているが、小さいためあまり価値はないとみなされている。
そのことで、毛皮ビジネスの犠牲から逃れたという見方もできるため、かえってよかったのかもしれない。
野生種であっても人懐っこく、近づくと寄ってくるとされる。
攻撃的なことはほとんどせず、指先をかじられる程度で、特に被害もないそうだ。
ペットの個体は、特に主人個人に懐き、肩や頭に乗って行動を共にする。
王都でも、立派な身なりの少女がよく肩に乗せているので、見ていると微笑ましい。
一部でブリーダーがおり、繁殖させているらしい。
伝統的には、ペアで飼っている家から子供が生まれたら、それを貰ってくるものだ。
しかし、近年このブリーダー産が増えてきており、倫理観から問題として上がっている。
というのもブリーダーの家では、管理が行き届かず、衛生的でないなどの指摘がある。
教会は特に意見を表明しておらず、王宮も今のところ特に何もしていない。
冒険者ギルドだけが不満感を表明しているが、それだけで、罰則や規制の話にまでは発展していないようだ。
民間事業なので、介入されたくないという話もあるようだが、どうなるかは注目したい。




