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最強平凡B級冒険者ヤドルのフィーラル王国魔物事典  作者: 滝川 海老郎


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37/54

37 D フロッピー・モモンガ

 森の夜空を舞う小さな影、それが「フロッピー・モモンガ」だ。

 フロッピーとは旧帝国語で柔らかいという意味を言う。


 モモンガまたはムササビといった種類をご存じだろうか。

 リスやネズミに似ているが、腕と足の間には、皮がたるんでいて、広げるとマントのようになる。

 顔はかわいらしく、一定のペット需要がある。

 しかし、捕まえるのはかなり難しく、それほど人に懐かないことも含め、ほとんど飼われることはない。

 マスコット的存在として、フィーラル王国ではウサギリスがいるので、そちらを飼うことが多い。


 森に生息し、木から木に皮を広げて滑空して移動する。

 オスとメスがいる哺乳類だ。

 毛皮は色は背中側は茶色で腹側は白でできている。

 尻尾も大きく、特徴的だ。


 一時期、この皮がふわふわの毛が高級品とされ、乱獲されそうになったが、ブームは一過性だったため、難を逃れ現在でも生息している。

 ただし、数は以前の半分以下だと老師は言っていたので、珍しさは上がっているのだろう。

 確かに、あまり見たことがない。

 まあ、そもそも鳴かないし、夜空を密かに飛び回るため、注意して見ていないと、そもそも見つけられない。

 気配に敏感な中級冒険者以上であれば、近づいてきたら分かるかもしれない、くらいだろうか。


 比較的小さいので、基本的に食用にはしないとされる。

 特に意味があるわけではないが、なんとなく食べようと思わないようである。

 飢餓でどうしても、というなら、食べてみるかもしれない。


 魔物としては、あまり目立つ存在ではないが、一応、フィーラル王国に住んでいるモンスターの一種としてカウントされる。

 現在では利用価値はあまりないが、毛皮の取引は原則禁止されており、闇取引が多いという話は聞く。

 伝統ある貴族では、このフロッピー・モモンガのマフラーがステータスとされ、しばしばパーティーで注目されるのも、そのような原因の一つなのだろう。

 貴族社会はあまり詳しくないものの、こうして冒険者にまで言われる程度ということは、その評判は広く知れ渡っていると考えられる。

 現在、一般流通は禁止されているが、王宮では褒章として与えることを許可しており、少数が現在でも功績のあった貴族に配布されている。

 また、王族もこのフロッピー・モモンガのマフラーを冬の期間、着用することが正装とされる。

 格式高い衣装として、注目される理由だ。


 このようにマスコット、ペット的な需要と、貴族のマフラーとしての需要があり、一部で暗い影を落としているが、これも王国のまた一面だといえる。


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