37 D フロッピー・モモンガ
森の夜空を舞う小さな影、それが「フロッピー・モモンガ」だ。
フロッピーとは旧帝国語で柔らかいという意味を言う。
モモンガまたはムササビといった種類をご存じだろうか。
リスやネズミに似ているが、腕と足の間には、皮がたるんでいて、広げるとマントのようになる。
顔はかわいらしく、一定のペット需要がある。
しかし、捕まえるのはかなり難しく、それほど人に懐かないことも含め、ほとんど飼われることはない。
マスコット的存在として、フィーラル王国ではウサギリスがいるので、そちらを飼うことが多い。
森に生息し、木から木に皮を広げて滑空して移動する。
オスとメスがいる哺乳類だ。
毛皮は色は背中側は茶色で腹側は白でできている。
尻尾も大きく、特徴的だ。
一時期、この皮がふわふわの毛が高級品とされ、乱獲されそうになったが、ブームは一過性だったため、難を逃れ現在でも生息している。
ただし、数は以前の半分以下だと老師は言っていたので、珍しさは上がっているのだろう。
確かに、あまり見たことがない。
まあ、そもそも鳴かないし、夜空を密かに飛び回るため、注意して見ていないと、そもそも見つけられない。
気配に敏感な中級冒険者以上であれば、近づいてきたら分かるかもしれない、くらいだろうか。
比較的小さいので、基本的に食用にはしないとされる。
特に意味があるわけではないが、なんとなく食べようと思わないようである。
飢餓でどうしても、というなら、食べてみるかもしれない。
魔物としては、あまり目立つ存在ではないが、一応、フィーラル王国に住んでいるモンスターの一種としてカウントされる。
現在では利用価値はあまりないが、毛皮の取引は原則禁止されており、闇取引が多いという話は聞く。
伝統ある貴族では、このフロッピー・モモンガのマフラーがステータスとされ、しばしばパーティーで注目されるのも、そのような原因の一つなのだろう。
貴族社会はあまり詳しくないものの、こうして冒険者にまで言われる程度ということは、その評判は広く知れ渡っていると考えられる。
現在、一般流通は禁止されているが、王宮では褒章として与えることを許可しており、少数が現在でも功績のあった貴族に配布されている。
また、王族もこのフロッピー・モモンガのマフラーを冬の期間、着用することが正装とされる。
格式高い衣装として、注目される理由だ。
このようにマスコット、ペット的な需要と、貴族のマフラーとしての需要があり、一部で暗い影を落としているが、これも王国のまた一面だといえる。




