15 C ハーピー
空の住民それが翼をもつ女性型魔物、「ハーピー」だ。
帝国語でも現代語でもハーピーという名前がそのまま残っている。
見た目は、上半身の頭部とボディは驚くほど人族の女性に似ている。
しかし手は鳥の翼だし、下半身も鳥のソレだ。
翼や羽毛は茶色と白で、タカ、ワシ、ハトなどを思わせる色をしている。
女性に似ているが、亜人ではなく、収斂進化の結果だと研究者の間では合意があると聞いた。
収斂進化というのは、要するに似た状況になると、全然関係ない種が同じように進化することをいう。
ハーピーは何かと人間とかかわりが深いモンスターでもあるので、そうなったのだろうと言われているということだ。
女性型であっても卵を産む卵生であるのも特徴だ。
木の上に巣を作り、そこで子育てをする。
集団で森に縄張りを作って集まるので、けっこう目立つ。
初心者冒険者は巣の集落を見つけたら、近寄らずに距離を取って行動するように。
さもなければ警戒されたところまではよくても、敵だと認定された瞬間、一斉に上空からの攻撃に晒される。
ハーピーはわりあい害獣に近いが、町から離れたところを好んで住むので、被害自体はそれほど多くなく、特定害獣ではない。
羽根は布団や髪飾り、帽子飾りなどに利用されるため、付加価値がある。
特に貴族の女性の帽子には、ワンポイントでつけることが多く、綺麗な羽根ほど価値が上がる。
その羽根はハトなどよりも大きいので、見ればすぐに分かる。
ハーピーは「ピィピィ」と鳴くが、人語はしゃべらない。
ただし、知能は比較的高く、油断はならない。
肉食とされるが、葉っぱなど草も食べないわけではないようだ。
昔は腐肉を食べるとされ、嫌われていた過去もあるが、現在ではその風説は否定されて久しい。
人型、特に女性型であるため、食べる人はいない。
美味しいかも伝わっていないが、美味しいなら噂ぐらい残るはずなので、不味いのではないだろうか。
教会もハーピーを食べることを禁忌扱いしているので、腹が減っていても、素直にやめたほうがいいと警告しておく。
神罰が下る可能性まで考えると、ハーピーを食べるのはとても割に合わない。
ちゃんとリスクヘッジができるのがいい冒険者になるための一歩だ。
実は見た目は女性でもメスオスに分かれていて、メスだけが卵を産むという主張と、全員がメスであるいわゆる雌雄同体説があるが、研究はあまりされていないようで、確認はされていない。
冒険者的には、どちらでも構わない、割とどうでもいいという理由が大きい。
予算は有限なので、もっと有用な課題の解決に使うべきだろう。
王都や主要都市は城塞都市になっており壁があるが、ハーピーは空を飛んでくるので、それを普通に超えてくることが可能だ。
近年は少なくなって久しいが、昔はしばしば、ハーピーの群れが巣替えをするときに、都市に襲来することがあり、衛兵や騎士団を総動員しての戦闘になったこともある。
冒険者ももちろん協力はするが、あまり対空戦を得意とする人が少ないので、苦戦したそうだ。
ハーピーは足の爪が鋭く、これで攻撃してくる。
しかし槍などの距離では、一方的に人間側が攻撃できる。
ところが、実際には石などを足でつかみ、上空から落としてくるという、航空攻撃を得意とするので、非常にやっかいである。
飛んでいるところは弓矢や魔法で攻撃するしかできないし、動いているので命中精度も悪い。
それほど苦労しても、あくまで「空の住民」である理由は、ワイバーンやドラゴンなど、もっと上位で空を飛んでくる魔物が何種類もいるので、あくまでハーピーは一般住民扱いなのだ。
天使族をはじめ、少数民族には翼をもつ者がいるが、ハーピーとはあまり関係が深くない。それぞれ別として扱われている。
ただし、天使に「ハーピー野郎」などと喧嘩を売ったら、生きて帰れないと思え、という格言があるので、注意をするように。
天使は善性であるが、敵対者に対しては容赦しない事でも有名だ。
翼人族もいるが、こちらは田舎で静かに暮らすことが多いので、あまり見かけないだろう。
テイムについて、ハーピーはよくテイムされやすい種類だ。
ただし、テイムの難易度が高めなので、その数はあまり多くはない。
長距離便として、手紙や軽い物資を高速で運ぶのに非常に適している。
各国は政府専用のハーピーを有していて、緊急時に連絡し合えるように調整している。
冒険者ギルドも王都ギルドと主要なギルド支部間でハーピー便による連絡を取れるようにしている。




