10 E リクウミウシ
這う巨大ナメクジ、それが「リクウミウシ」だ。帝国語では「ランド・シーカウ」という。
そもそもまず、陸生の比較的大きい動物の家畜に「ウシ」がいる。ウシと容姿は全く似ていないが、海にいるウシで「ウミウシ」である。
さらに陸生のウミウシという意味が、リクウミウシだ。
カメ、ウミガメ、リクガメみたいなモノだと思えばよい。
大きくて体長40セントメトルくらいだろうか。
ナメクジのような見た目だが背中に肺があり、それが花のようについているのが特徴的だ。
目と触覚も出ていて、カタツムリにもその部分は似ている。
ナメクジやカタツムリ同様に軟体動物系であり、背中の中には、貝の名残の骨がある。
その骨は白くて平べったい丸い形をしている。
体色は青、紫、黄色、トラ柄など、警戒色が多く派手だが、中には茶色い地味なのも確認されている。
一方の下側はだいたい白い。
体の表面はナメクジのように粘液に包まれヌメヌメしている。
体もフニャフニャ柔らかいので、一部の人は触るのも気持ち悪いそうだ。
雨を好み、草原や森林に多く生息する。
他国の乾燥した荒野や砂漠では見られないそうだ。
このように、乾燥には弱いようだ。
フィーラル王国では、あちこちというか、ほとんどの土地に生息しており、ホーンラビットもいない王都周辺でも見かける。
一日中探せば、二、三匹は見つかるだろう。
雑食性で死骸から葉っぱ、木の皮、何でも食べる。
食事風景は一般的には地味すぎてよく分からないほどだ。
ナメクジのように這って移動するので、比較的のろい。
一部に愛好家がいて、このゆっくり移動するのが好きでたまらないのだという。
雌雄同体であり、すべての個体が卵を産む。
卵は1セントメトルくらいで、千個あまり一度に産むと言われている。
産み落とされた卵は、一週間もすれば孵化し、次のリクウミウシになる。
幼生体はなく、生まれたときから同じ形をしている。
モンスターとしては、最弱のスライムよりもさらに弱い。
一見、矛盾しているようだが、スライムより生息数が少なく、マイナーなため最弱はスライムと呼ばれているらしい。
さて味であるが、焼いたり蒸したりして、味をつけると、コリコリとした弾力のある歯ごたえで、美味い。
アワビという貝に似ているが、漁師曰く、アワビのほうが美味く、その下位互換なのだそうだ。
アワビは高級品なので、そういうモノなのだろう。
肉といえばホーンラビットなので、リクウミウシはそれほど注目されずに、現代まで生き残っているにすぎない。
何かのブームなどで乱獲されれば姿を消す可能性があると、警告しておこう。
代表的な料理に「リクウミウシの薬草焼き」がある。リクウミウシを一口大にカットし、同じくカットした薬草と共に塩胡椒で炒める料理だ。
新鮮な生の肝を使った「リクウミウシの肝の酢漬け」はそのまま意味で、珍味として知られる。
露店では、リクウミウシの切り身を串に刺して焼いたものがよく売られている。
あまり知能が高くなく、そもそも人に懐いたりするレベルではない。
いわゆる、キモカワ枠として人気があり、愛好家自体は多い。




