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37ブレス<<< オレ、いまにもあふれそう!

「この龍気は!?

やらせはいたしません!

青い天照翼ブループロミネンスウイング!」


クインの拳と脚から生まれた何本ものアーチ状の青い炎が鞭のようにしなる。

拳打と蹴撃に加わる変幻自在の攻撃。


これ以上やられてたまるか!

魔装龍甲術ドラクーンアーツの体捌きで避けるけど、青い炎の動きをとらえきれずにあちこち焼き切れる。


腕が焼き切られた時より痛い!

痛みが大きすぎないと痛覚遮断されないみたい。

痛みを感じないとそれはそれで危険なんだろうけどいいんだか悪いんだか。


だけど痛みを通り越して込み上げる快感がもう止められない。

残ったしっぽが太く膨張してずるんと再生する。

気持ちいい。

トカゲのしっぽ?

いつも通りなら銀河のように輝いてる瞳、瞳孔が開く感じ。

脳天から足下としっぽの先端に向かって衝撃が疾る。

ごつごつした鱗の装甲がガンガンと開いて上に昇って体中に快感が突き抜ける。


電流が流れるみたいにビリビリして目がチカチカする。

頭が真っ白になって思わず意識を失いそうになりながらクインと繰り広げる攻防。


しっかりしろ!

オレの体で起きてる変化に直感する。


「サクラコ! オフィ! 逃げろ!」


癒し終えたか分からないオフィリアを抱えたまま|サクラコの一角獣の背面蹴ユニコーンスピンシュートで衛星を蹴り離れる二人。


狙うはケイオスの衛星兵器!

だけど正面には攻撃の手を緩めないクイン!

クインごとやるわけにはいかない!

クインも守る!


激しい攻撃を気にせずクインの頭を抱えて抱きしめる。

抱きつきざまに青い天照翼ブループロミネンスウイングがオレの体を焼き切っていた。

左脚が宇宙ソラに舞う。


熱い想いが高まっていまにもあふれそう。

どくんと体が跳ね上がる。

オレの胸が大きく震える。

もういっちゃう!


炎龍の焔撃流(バーニングブレス)!」


体を大きくそらしつつ、かっと口をひろげて頭を振り出す。

口内に生まれた炎の塊から灼熱の奔流があふれてとめどなく吐き出される。

クインのサイドポニーテールを少し焦がしながら衛星を灼く赤い炎。

これなら腕がなくても関係ないだろ!

すっごいすっきりした!


爆発炎上する衛星兵器。

黒い光の放出が止まった。

きっと地上のアビスも消えてなくなる。


「やった!」


衛星から爆炎が噴き上がって至近距離にいるオレたちを巻き込む。

これってさすがにやばくね?


青い天照翼ブループロミネンスウイング!」


クインの脚から青い炎の翼が羽ばたく。

クインを抱きしめたままのオレと高速飛行で爆炎から離脱する。


「やられましたね……

腕と脚を犠牲にしても貫くあなたの強い意志には参りました。

ふふ。わたしの娘だけでなく、どんな女の子も惚れ込むわけです。

こうなっては争う意味もなく。

クインのお友達を失うのは本意ではありません。

あの二人も回収いたしましょう」


「マジか! 一緒に探してくれるの!

あんがと〜〜〜!」


クインを片手でぎゅぎゅっとしてほっぺやおでこにちゅっちゅする。


「あ! こら! おやめなさい!

こそばい!

はや! はう〜〜〜!」


「そうだ! クインママなんだよな!

反応の仕方がクインとおんなじ♪

やっぱ母娘だな♪」

「母娘をたぶらかすおつもりですか!?

おとなをからかうなんて悪い子ですね!?

さて、見渡す限りあの二人が見つかりませんね?」


二人で炎の翼を羽ばたかせてきょろきょろするけれど見当たらない。

代わりにオレの右腕と左脚を見つけて回収した。


「サクラコ! オフィリア!」


オレとクインのインカムに返答がない。


「バトルで壊れちゃったんだ!

蹴りで速度がついてたし!

どっちに流された!?

サクラコ! オフィリア! どこだ!?」


だだっ広くて暗い宇宙ソラ

こんなところでどうやって探す!?


「オレのせいで二人が死んじゃう!」


「アナスタシア。

二人の脳波をとらえなさい」

「脳波? そんなことできるのか!?」


やっぱりオレの名前ってアナスタシアなの?

なんでクインママも知ってるの?

いまはそんなことどうでもいいや。


「ええ。きっとあなたの助けを待ってますわ。

あなたと二人はずっとともにいたのでしょう?

わたくしが娘を感じられるように、きっと近くに感じられるはず。

あなたの女二人くらい見つけてごらんなさい」


「分かった!

やってみる!」


脳波か……

よく分かんないけどきっと龍気やソウルを感じるのと同じなのかもしれない。


目を閉じる。

宇宙ソラを感じる。

天も地もない。

地上と違ってオレたち以外に誰もいない。

なにもない不自由で自由な空間。


二人を想う。

ツンツンして情にアツいサクラコ。

素直でいつもサポートしてくれるオフィリア。

オレの一人目と二人目の大事な女。


「絶対に見つける!

感じろ!」


……

……

……


「ぶはっ! 分かんない!

やったことがないことなんてすぐにできないし!

んー!

オレの炎でなんとかなんないかな!」


「炎で?

広範囲に炎を燃やすということでしょうか?

二人が燃えてしまいませんか?」


「そうだよなあ?

そしたら二人もクインも燃えちゃうか!」

「娘の体も炎です。

なにか考えがあるなら気にしないでやってごらんなさい」

「やってみる!」


360度、全部の方向を探さないといけない。

それに熱い炎じゃだめだ。

二人もクインも燃えちゃう。


てことは?

燃えない炎を燃やせば良くない?

ソウルに龍気を混ぜてアンテナだか触手だかみたいにすれば見つけられない?

体内でソウルと龍気を内転する修行はいつもやってる。

それを体外でもできないかな?

宇宙ソラにもソウルがあふれてる。

なんとかする!


炎を出してみる。

熱すぎる。

これじゃ燃えちゃう。

熱くてもいい。

火傷しないくらいの熱さ。

一瞬でいい。

炎が触れればきっと分かる。

感じたらすぐに消せばいい。


静かに冷たく燃やせ。

オレならできる!


赤い炎がしだいに白く光り輝いていく。

そんなに熱くない。

龍気がしっかり混ざってる。

これならいける。

全身から白い炎を燃やして広げていく。

大きく大きく輝く太陽のように。


「サクラコ…… オフィリア……」






………………





…………



……アナ!



「見つけた! あっち!」


白い炎の先端に二人を感じた。

指を指し示す。


「よくできました」


微笑むクイン。

赤と青の炎を羽ばたせて宇宙ソラを飛ぶ。





サクラコとオフィリアが抱き合って宇宙空間を流されていた。

眼下にアーステルスが見える。

青く輝いている。


「サクラコ! オフィリア!」


片手に抱えたオレの腕と脚を放って二人を抱きしめる。

炎の翼をやめると勢いでくるくる回る。

手放した手脚はクインがキャッチしてくれてた。


「「アナ!」」

「見つけてくれたんですよ!」

「くるのが遅いのよ!」


頭をくっつけてるせいかインカムが壊れててもドラゴンギアモードユニバースのおかげで会話ができる。


「へへ。ごめんな。

二人と会えてオレうれしい!」


「わたしもうれしいわ!」

「オフィもなんですよ!」


オレの涙があふれると二人も涙をこぼしてた。


「オレの炎で火傷してないか?」

「びっくりしたけど大丈夫よ。

ドラゴンギアのモードユニバースで張られたソウルの膜が守ってくれたし」


「あれ? わたしは?

あれ? ケイオスの衛星兵器は?」


クインがきょとんとしてる。

クインママがいなくなったのか?

クインの手を引っ張って四人でくっつく。


「もう大丈夫! 終わったんだ!」


「ええ!? これってアナの手と脚!?」

「「大変なんですよ!」」


ごつごつした鱗のままの焼き切れた手脚を手に驚くクインと二人。

そりゃそうだ。

クインがどうなったかは言わないようにしよう。

オレの手脚を焼き切ったなんて知ったら泣いちゃうだろうからな。


「アナ! すぐに癒やすわよ!

手脚をくっつけて!」


クインとオフィリアがそれぞれの断面を合わせてくれる。

うまく焼かれたおかげで出血は全然してない。

もしかしてクインママがいい感じの焼き加減にしてくれてた?


「こんな状態で痛くないんですよ?」

「ん? そういえば……

痛たたたた!?」


痛覚遮断が切れたの!?

めちゃくちゃ痛い!


「あんたはほんとにバカなんだから!

一角獣の息吹(ユニコーンブレス)!」

「サクラコがバカって言ったあ。

ふぇ〜ん」


「だけどよくやったわね。

きっと地上のみんなも助かってるわ」

「さすがアナなんですよ!」


痛くて涙が出ちゃうけどあったかい。

光の粒が傷を癒やし始める。

気持ちいい。


「みんなのところに帰ろう!」


「まだ治してる途中!」

「わたしが運ぶよ!

青い天照翼ブループロミネンスウイング


クインが青い炎を羽ばたかせる。

ノアがいる方角は大体わかってるのかな?


大気圏突入の衝撃はなんだかよく分かんないけどドラゴンギアからもらっていた情報でうまいことクリアできた。

細かいことが多くてオレはよく覚えてなかったけど。

突入の速度をゆっくりにすることで燃えないようにするとかなんとか?

オレとクインの炎がここでも役に立った。

けっこう高温にはなったけどモードユニバースで張られたソウルの膜が保護してくれた。

普通のヒトには有毒だけどソウルのおかげだ。


しばらくしてノアを見つけた。

これまたよく分かんないけどオレたちを管制応答装置トランスポンダーの識別信号で居場所を特定して追いかけてくれてたみたい。


艦体の上部に移動していた艦橋ブリッジの外から手を振ると分厚いガラス越しにみんなが手を振り返してくれる。


二重構造のエアロックから入る。


「お帰り!」


重なるたくさんの声があったかくて嬉しい。


「アナ、よかったわ!

無事でいてくれてありがとう!

礼は言わないわ!」


「へへ♪」


泣いて喜ぶシルヴィアを先頭に集まっていたオレの女たちが出迎えてくれた。

オレの傷も完治してる。

幸せだ♪


そして。

地上に降りた。



☆次回<<< オレ、みんなのことが大好きだ!

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