表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

32/38

32ブレス<<< オレは逃げたいんだけど!

「もうすぐテルースだ!

正午までもうちょっと時間があるぞ!」


「ここまで見つからずにこれて良かったんですよ」


フレイムクリスタルキャニオンからここまでヴァルキューレに発見されることなく移動することができた。

速度があまり出せなくてそれなりに時間がかかっちゃったけど。


「ステルス光学迷彩すごすぎよね?」


『ノアの標準装備ですにゃ。

肉眼、レーダー、ソナーにゃど高速飛行や戦闘行為をしなければ発見されることはにゃいですにゃ』


「こんなに大きい戦艦が透明になってるんでしょ?

さすがロストテクノロジーだわ」


全長がどんだけあるんだっけ?

忘れた。

流線形のデザインにカタパルトが前側左右についてる。

オレたちが最初に探索したエリアは中央格納庫だったらしい。


「キャリー、そろそろだよ〜」

「そうだねネシティ。

コノちゃん、モニターに映らないかなあ?」


「あ、はい!

モニターに望遠出しま〜す!」


情報担当のコノちゃんがコンソールを操作する。

モニターに映る戦場。


「マジか!

まだ正午じゃないぞ!

時間よりも早くに始まってるじゃん!」


空に浮かぶ大中小の空挺艦エアボーンの大軍。

地上で激しく戦うパワードギアを装備した軍人や傭兵たち。

おっさん傭兵集団のスクラッパーにじじばばギャングの老霊会もいる。

戦ってる感じからするとテルースに雇われてるみたい。


そしてテルースのカントリードーム全体を包むように張られたソウルバリアシールドと戦場に振るミサイルの雨。


あんまりな様子に目を奪われて声も出ない艦橋ブリッジのみんな。

カントリー同士やシェルター同士の小競り合いは見たことがあるけど、ここまで本格的な戦場は見たことがないから。


「シルヴィアのシェルターは!?

ミサイルにやられてないか!?」


「モニターに出しま〜す!」


情報担当のコノちゃんがコンソールを操作するとシェルターが映った。

ソウルバリアシールドが張られてる。


「シルヴィアってあんなものまで用意してたの!」

「さすが稼いでるだけあるんですよ」

「きっと研究施設も破壊されたくないんだと思う」

「なんのことよ?」

「なんでもない。

作戦通りみんなは戦線に巻き込まれないように待機してくれ!

回避行動優先!

向こうから見えてないはずだけど気をつけろよ!

オレは空挺艦エアボーンで迎えにいく!」

「わたしもいく!」


「了解!」


みんなの返事を待たずに艦長席を飛び出す。





「シルヴィア!

無事で良かった!

ほんとに良かった!」


こんな状況なのに格納庫でたくさんの荷物を運んでいたシルヴィアに飛びついて抱きしめる。

ヘルメットをしてなければ唇にちゅ〜してた。

ていうかヘルメットにした。


「連絡をくれた時はびっくりしたわ。

助けにきてくれてほんとに嬉しい。

心からありがとう。

礼は言わないわ」


「安定のシルヴィア!

へへ♪

みんな! すぐに乗ってくれ!

逃げるぞ!」


一緒にきたサクラコの先導で3機の空挺艦エアボーンに次々乗り込む子どもたち。

適性のある女の子とサクラコが運転してくれた。

オフィリアはなにかあった時のためにお留守番。


「シルヴィア。

その荷物は載せられないよ」


荷物の中身は聞かなくても分かる。

シルヴィアが必死に取り組んでるソウルの無毒化と安全なワクチン開発に関わるものだろう。


「分かってるわ。

わたしはトレーラーで逃げるから大丈夫よ。

アナはみんなをよろしくね」


「トレーラーで逃げられるわけないじゃん!」

「絶対に大丈夫よ。

わたしこれでも運はいい方だから。

危険な目にあったことなんてないもの」


「あいまくってるよな!?

何回助けたと思ってんだ!?

嘘もへっぽこすぎない!?」


「子どもたち、みんな乗ったわよ!

早く!」


「ふふ。いっぱい助けてもらったわね。

でも今回は子どもたちを助けてくれる?

わたしはもう行くわ。

大好きよアナ」


重なる唇が離れて荷物を抱えるシルヴィア。


「オレも大好きだ。

シルヴィア……ごめんよ」

「え?」


最後の荷物をトレーラーの荷台に載せるシルヴィアを抱きかかえる。


「こら! アナ!

降ろしなさい!」

「やだ!」


シルヴィアがオレの頭をポカポカ殴るけど気にしない。

大して痛くもないし。


シルヴィアを乗せて軽く縛り上げて座らせる。

わあわあ言ってるけど文句は聞かない。

空挺艦エアボーンのハッチを閉める。


「サクラコ、発進してくれ」

『了解』


インカムから聞こえる声。

オレは一緒には乗り込まない。

ここにくるまでと同じく空挺艦エアボーンの屋根に飛び乗る


格納庫から急加速で飛び立つ3機の空挺艦エアボーン

シェルターのソウルバリアシールドにミサイルが直撃して爆炎をあげている。

このまま放っておくとシルヴィアのシェルターは持たないかもしれないけどどうしようもない。


「ドラゴンソウルリベレイション!

ドラゴンギアカグツチ! コネクト!

ふみゃん!」


クリムゾンレッドの長髪の間から金色のつのがメキメキと2本伸びていく。

金色の瞳も変質して銀河のように輝く。

胸がぷるんとでかくなる。

同時にギアポーチから各部の装甲が変形して腕や脚、オレのサイズに合わせて稼働していく。

オレと繋がる感じがやっぱり気持ちいい。


「うりゃあ!」


編隊を組む3機の先頭にさっそく飛んできたミサイル。

未来予測でしっかり見える。

真ん中にいたオレは屋根を跳び走って殴る。

軌道を変えて飛んだ先で爆発した。

きた時もこんな感じ。

空挺艦エアボーンは絶対に守る。


ノアに戻る途中、地上での戦闘が目に入る。

パワードギア姿のやつらが戦ってる。それぞれカントリー仕様のパワードギアを身につけてる。

明らかにテルースが押されてる。


そして目に飛び込んできた光景。

テルースのメインエアロックがもうすぐってところ。

ここを突破されると勝負は決まったも同然な場所。


「シャオちゃん!?

なにやってんだよ!?」


一番激しい戦場にいる数人の姿が見えた。

シャオちゃんとイーラが向かい合って椅子に座ってる。

あれ?

テーブルでシャオちゃんがお茶を淹れてる。

いつもの高級お茶セット。

なんでお茶をすすめてるの?

なんで受け取って口にしてるの?

戦場だよ?

おかしくない?

異様な雰囲気のこの二人の周りだけ誰も近寄らない。


レイナとレイナの仲間と思われる軍人にテルース軍。

そしてヴァルキューレの女軍人たちが戦ってる。

一人の女軍人がとにかく強くて苦戦してる。


むちむちした色気のある筋肉質な肉体美。

銀灰色の長髪が炎が起こす風になびいてる。

輝く銀灰色の金属が鎧状に四肢や首肩腰を覆ってる。

おっきいおっぱいやおしりの一部もドラゴン化(リベレイション)してる戦闘特化タイプ。

あの女軍人は……


「フラムとかってやつ!

タングステンのマテリアルドラゴン!」


「きゃあああ!?」

「レイナ!」


レイナが殴られて吹っ飛ばされた!

硬くて重い重量級の攻撃が技巧派のレイナと相性悪すぎ!

ほかにもヴァルキューレのドラゴンが大勢いるし!

テルース軍にもそこそこいるけど、レイナの仲間たちはドラゴンがいなくて防戦一方!


「なんでシャオちゃん戦わないんだよ!」


シャオちゃんとイーラはずっと茶を飲んでる。


オレたちに飛んできたミサイル2発を殴って軌道を変える。


レイナたちを取り囲むヴァルキューレのドラゴンたち。


「ちくしょう!

サクラコ! 急げ!」


『もうすぐよ!』


たしかにもうすぐ!

肉眼では見えないノアの艦影をドラゴンギアが脳波を通して見せてくれる。

ここまでくれば大丈夫!


「オレはレイナを助けに行く!

シルヴィアを、みんなを頼む!

戦ったりしないで逃げるんだぞ!」


『無茶しないでよ!』


「分かってる!

深紅の翼(クリムゾンウイング)!」


ノアに収容される直前で空挺艦エアボーンから飛び降りる。




「ルミナのお姫様は弱いねぇ。

そんなんじゃ大事なもんは守れないよ」

「弱いものは強いものに支配されて当然だな♪」

「それでも戦う哀れな女子の姿がそそる♡」

「戦場で死ねる戦士の悦びがうらやましい!」


「くっ!」


タングステンドラゴンのフラムを先頭に、はいつくばるレイナを見下ろす女ドラゴンたち。

見た感じ鉄系が多い。

どいつも鉱物系のマテリアルドラゴン。


「気持ちよく逝っとく?」

「世迷言を!」


レイナの首をわしづかみにして持ち上げる鉄女が腹を殴る。

カウンターで鉄女の頭を蹴るレイナ。


「「ぐは!?」」


「あはは♪

やられてるし♪」

「最後のあがきもそそる♡」

「この! 気持ちよく逝っとけや!

寸鉄拳アイアンニードル!」

「っ!」


鉄女が振り上げる拳に鋭い鉄の針が伸びてレイナの首に!


「させるかあああ!」


鉄女の頭上から垂直落下してドロップキック!

鉄針の攻撃と拘束から逃れて地面に足をつくとすかさず後方に飛び退るレイナ。


炎翼の放出を止めて鉄女の頭から足をどける。

地面に頭をめり込ませて白目むいてる。

まあ鉄だから死なないんじゃない?

容赦はしないけど殺したくはないし。

こいつだってかわいい女だし。


「アナ! た、助かりました!」

「レイナ逃げるぞ!」

「逃げません!

テルースには逃げたルミナの民がいます!

なによりヴァルキューレの奴隷となった我が民を救いたいのです!」


よろよろとしながら拳をかまえるレイナが弱々しい。


「そんなこと言ったってやられたらダメじゃん!」


「赤髪龍女の言う通りだねぇ」

「弱いのは罪♪」

「悲壮な姿もいい♡」

「なんだい? かわいい敵が増えたね?」


一人倒したけどまたドラゴンが増えたし。

戦場だから当たり前か。

師匠に連れられてあっちこっちの戦場に行ったことを思い出す。

だけどヴァルキューレってのは乱戦が得意みたいだな?

上空から見てた限り、指揮系統がめちゃくちゃに見えて戦況に応じての個々の動きが素早い。


ここからじゃ分からないけどテルース軍勢はさらに押され始めてるように感じる。


「赤髪龍女」

「アナだ!」

「アナ、またやりたかったんだよねえ。

楽しい戦場でね。

さあ、始めるよ!」


うわあ。やる気満々の笑顔が怖い。

オレ、戦闘狂じゃないし。

オレの女を助けたいだけで戦争したくないし。

レイナを連れて逃げたいんだけど!



☆次回<<< オレは炎を燃え上がらせる!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ