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30ブレス<<< オレはみんなの顔を見ながら話したい!

「サクラコ久しぶりね。

元気にしてたか?」


「シャオちゃん久しぶりね!

もちろん元気よ!」


「龍気と天翔蹴脚術ウイングレッグアーツの修行はしてるか?」


「……帰っていいかしら!?」


シャオちゃんの質問にサクラコが汗をたらたらしてる。

サクラコが強い理由はシャオちゃんに稽古をつけてもらっていたことがあるから。

でも弟子じゃないらしい。

習ったのはオレと違う蹴りが主体の古武術エンシェントアーツだ。

シャオちゃんもオレもサクラコの手はヒトを癒すためにあると思ってる。


「アナちゃんもサクラコもうちがいないとダメね?」


「目が怖いんだけど!?

シャオちゃんごめんなさい!

修行はちゃんとやるから!

それよりクインは!」


「ここで寝てるよ」


ベッドを指差すとクインのだらしない寝顔がかわいい。


「あら?

かわいい寝息を立ててるじゃない。

無事なら良かったわ。

ってそうじゃないの!

たったいまオフィから連絡があったんだけど今度はレイナがいなくなったの!

わたしはアナがいつまでも帰ってこないから心配できちゃったの!」


「あれ? そうなの?」

「あれ? じゃない!

レイナったら管制応答装置トランスポンダーを切っちゃって居場所が分からないのよ!

食材もそろそろなくなるし買い物したものを運ばないといけないの!

トレーラー乗り捨ててあったけどどういうこと!

それに聞いていたよりも荷物が少なそうだったけど!」


なんだかいっぺんにあれこれ言われると目が回っちゃうんですけど?


「え? そんなことはないと思うけどなあ?」

「ともかく暗くなる前に帰るわよ!」


外を見ると少し明るさが弱くなってる。

カントリードームは朝昼晩で明かりが調光されるようになってる。


クインを起こしてシャオちゃんのいる小屋をあとにする。

シャオちゃんが涙ながらに見送ってくれた。


ホバーバイク2台でトレーラーへ向かう。

はい。荷物が少なくなってました。

めっちゃ怒られました。


そんなわけでフレイムクリスタルキャニオン、みんなが待っているオレたちのホームとなった古代兵器ノアへ帰った。




「「「ただいま!」」」


すっかり外が暗くなって腹もすいたオレたち。

飯を食べるために夕食時を終えたノアの食堂に足を運んだらオフィリアが抱きついてきた。


「お帰りなさいですよ!

クインが戻ってきて良かったんですよ!」

「心配かけてごめんなさい」


「無事ならいいんですよ。

それより大変なんですよ!」


「よしよし。

レイナがいなくなって心配だよな?

でもどこにいるか分かんないんだろ?」


「レイナも心配ですけどテルースが大変なんですよ!」

「テルースが?

なにがあったの?」


「ヴァルキューレがテルースに開戦宣言したんですよ!

録画してあるからこれを見てくださいよ!

ノアちゃん再生してほしいんですよ!」

『かしこまりましたですにゃん♪』


食堂のモニターに映るヴァルキューレの女帝イーラの姿。


『カントリーテルースは我がヴァルキューレの領有地ユグドラシルフォレストを侵害しております。

度重なる領有地への侵犯、不当な資源の搾取、主権の侵害。

悲しい現実に憤りを隠すことはできません。

独立自治を営むカントリーの一員として主権を脅かすテルースの暴挙をこれ以上許すわけにはまいりません。

我がヴァルキューレはカントリー法に則り、カントリーテルースに対して宣戦を布告いたします』


涙をこぼしそうな物憂げな瞳に眉尻を下げて話す姿がいかにもあざとい。

口元にかざした扇はなにを隠したんだろう。

画面が切り替わると細かい話がモニターの中で続いてる。


「はあ!? ユグドラシルフォレストはテルースの領有地って誰もが知ってることじゃない!」

「ううん……あそこはヴァルキューレもずっと前から領有地を主張してる場所なのよ。

イーラのやつテルースを支配してケイオスの情報を手にいれるつもりなんだよ!

テルースもルミナみたいになっちゃう!

そんなの許せない!」


クインがとっても悔しそうにしてる。


「マジか!

そんな話をしたばっかじゃん。

行動早すぎ。

ほんとに戦争すんのかあ」


「のんきなこと言ってる場合じゃないんですよ!

開戦は明日の正午から、テルースは徹底抗戦するらしいんですよ!

テルースにはジャンク屋もシャオちゃんもいるし、戦争が始まったら周囲のシェルターも巻き込まれるんですよ!」


「シェルターも?

マジか!?

シルヴィアたちがやばいじゃん!」


ばばあは世界が滅んでも大丈夫な気がするけど。

オフィリアもサクラコとおんなじように師匠から戦い方を学んでるからよく知ってる。


「市民権のないアウトサイダーを受け入れてくれるカントリーはないんですよ!

どこにも逃げ場がないんですよ!」


「すぐにでも助けに行かないとだな!

もしかしてレイナってこの話のせいでいなくなったんじゃないのか?」


「そうかも知れないんですよ!」


『アナ艦長、よろしいですにゃ?』


突然、航行支援オペレーションシステム、にゃんこ美少女のノアちゃんがオレたちと同じ等身大で現れる。


「うわ!? びっくりしたあ!」


にゃんこ耳をぴょこぴょこ、もふもふしっぽをゆらゆらかわいい。


「ああ、大きいサイズをアナはまだ見てなかったわね。

ノアちゃんて戦艦の中なら何体でもこうやって現れてお話しできるのよ。

この数日、女の子たちみんながノアのあれこれを教えてもらったのよ?

おかげでずいぶん快適に過ごせるようになったわ」


『どういたしまてにゃ。

アナ艦長、ノアの通信記録にレイナ副艦長とルミナ一派のやり取りが残っていますにゃ。

開戦を機にルミナ市民の解放が可能ではと、お話してましたにゃ』


「マジか!

あっちもこっちもやばいな!

オレ、いまから行ってくる!」


「待ちなさい!

あんた一人で行ってどうするのよ!

シルヴィアんところだっていっぱい子どもたちがいるんでしょ!

それにレイナがどこにいるかは分からないじゃないの!」


「それじゃあトレーラー2台で迎えに行くのはどうだ?」

「いまは夜ですよ?

開戦で緊張状態の荒野をライトをつけて行くのは危険ですよ?」


「そっかあ。それはやばいよな?

んー? どうしよう?

って、悩んでる場合じゃないんだよ!

オレ、いますぐ助けに行く!」


「でも戦争よ!?

そんなこと言ってもどうしようもないわよね!?

アナの気持ちはとっても分かる!

わたしもなんとかしたいと思う!

ていうか腹立つ!

なんでいつもいつもわたしたちはひどい目に遭わなきゃいけないのよ!

アナ! どうなってもいいじゃない!

助けに行きたいんでしょ!

わたしも行く!」


「さすがサクラコ!」

「そしたらオフィも行くんですよ!」


「それなら空挺艦エアボーンで行こうよ!」

「2挺あれば3往復くらいすれば全員運べるんじゃないかな〜」


運転大好きな双子からの提案。


「マジか!

キャリー、ネシティ、いつの間に操縦できるようになったん!

よろしくな!」


「「へへ〜♪ これから覚える♪」」


「「「ダメだった!」」」


「待って!」


「どしたんクイン?

危ないからクインは残ってていいぞ?」


「わたしも行く。

こうなったら反乱軍の仲間たちと合流するしかない。

ヴァルキューレの元皇女としてなにかができるかも知れない。

ううん、やらなきゃいけないの」


「いちかばちか、さっそく格納庫に行くぞ!」


「アナ、行くなら格納庫じゃないわ。

行くなら艦橋ブリッジよ。

ノア、飛べるわよね?」


『はいですにゃ♪』


クインの問いかけにしっぽをピシッと自信たっぷりに返事を返すノア。


乗組員クルーのみにゃさんすべて生体検査および適正試験が完了しておりますのにゃ。

脳波リンクおよび脳波インストールを行えば直ちに航行のための起動シーケンスに移行しますにゃ』


「マジか!

このシェルターっていうか戦艦て飛ぶの!?」


『もちろんですにゃ、アナ艦長』


「分かった!

それじゃあみんなにも話をしないとな!」


『艦内放送を行いますにゃ?』


「うんにゃ。

食堂にみんなを集めよう。

みんなの顔を見ながら話したい!

サクラコ、オフィリア、クイン、それでいいかな?」


「「「もちろん」」」


『それでは招集いたしますにゃ』


ノアが艦内放送で呼びかけるとみんなすぐに集まってくれた。




「みんなも聞いてると思うけどテルースで戦争が起こる。

それも明日の昼からだ。

相手はヴァルキューレ。

戦い好きの女たちで強い。

たぶんだけどテルースは負ける。

たくさんのヒトたちを巻き込んで。

ここにいるクインはヴァルキューレの元お姫様で戦争を止めたいと思ってる。

ルミナのお姫様レイナはルミナのヒトたちを助けるために戦場に行くかも知れない。

みんなの中にはテルース出身もいるよな。

元々はルミナが故郷ってやつも少しいるよな。

そうじゃなくてもみんないろんな理由でここにいるよな。

オレはみんなみたいに悲しい思いをしてきた女たちを増やしたくない。

男もだけど。

戦争はしないけど助けが必要なところに行きたいんだ。

みんなどうかな?」


食堂に座るみんなをぐるりと見渡す。


「アーレもテルースだよ!」

「ルミナってかわいそう」

「アナはシルヴィアを助けたいだけだよね〜♪」

「あたしはうまいオートミールの食べ方を教えてくれたレイナにお返ししたい!」

「ついでにジャンク屋のおっちゃんも助ければいいんじゃない?」

「いつもお世話になってるもんね♪」

「戦艦の操縦ってわたしたちにもできるかな?」

「「運転なら双子におまかせ!」」


ほんとはきっと怖いだろうに笑顔で答えてくれるみんな。


「アナに助けられたみんなは同じ気持ちなんですよ」

「アナが言うことならみんな賛成よね♪」

「ほんとにみんなしてアナのことが好きなんだね♪」


「みんな! ありがとう!

オレ、泣いちゃう!」


ぷるんと胸をゆらして頭を下げる。

目が熱い!



☆次回<<< オレ恥ずかしいんだけど!

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