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28ブレス<<< オレの胸にほっぺたすりすり!

「痛たたた……」


「クイン! だいじょぶか!」

「エアバッグが作動したから大丈夫。

それより女の子は!?」


「あー。女の子ね。

大丈夫だよ。

ていうかクインが大丈夫じゃないかも」


「わたしが?

どこも怪我してないよ?」

「これから怪我するかも」

「? どういう……

ひぃ!?」


両手に野菜の苗を持った美少女。

黒髪ウェーブな長髪が龍気にあおられてゆらゆらと蛇のように蠢いてる。

少しだけたぷたぷ少女のシャオちゃんの目が殺すって言ってる。


それもしょうがないよな?

だって激突したホバーバイクと四輪自動車ランドローバーがシャオちゃんのお家と納屋にめり込んでるから。


「す、すいません!

お怪我はないですか!?」

「うちよりうちが大怪我ね。

この落とし前どうつけてくれるね?」


「それならあいつらが弁償します!」


四輪自動車ランドローバーで気絶してる女軍人三人にビシッと指を伸ばすクイン。


「分かたね。

それでなにしにきたね。

小さいクイン」

「お久しぶりです。シャオ最高師範」


すくっと立ち上がるとピシッと背筋を整えてから胸の前で拳と手のひらを合わせて礼をするクイン。

武人がよくやる挨拶。

クインて武人?


「え!? 二人って知り合いなの!?」

「クインが小さい頃に短期間だけどヴァルキューレで格闘指南してたことがあるね。

最高師範じゃなくて臨時師範ね。

アナちゃん、お家でお留守番してたよ」


「あー。なんか長いこと戻ってこないことあったな?」


小さな頃を思い出す。

シャオちゃんてオレを一人きりにしてちょいちょい帰らないことがあった。

そん時は修行がさぼれてめっちゃ喜んだっけ。


「シャオ様とアナちゃんが知り合いなのもびっくりだよ」

「知り合いっていうか師匠なんだけど。

最高師範てなに?」


「それもびっくりだね♪

じゃあアナとわたしは姉妹弟子だね♪

シャオ様はどのカントリーでもその名が轟く高名な武術家なんだよ?」


「昔の話ね。

それにクインを弟子にした覚えはないね。

違う流派の達人を呼んで武術指南を願うことは珍しくないね」


シャオちゃんてほんとに歳はいくつなの?

そっけない言葉にクインがほっぺたをふくらましてる。

かわいい。


「アナと姉妹弟子は嬉しいから弟子で♪

前女帝である母クインと戦友であったシャオ様にお尋ねします。

母の行方をご存知ではないでしょうか?

ぜひお教えください」


戦友?

それってどういうこと?

それにクインてばずいぶん丁寧に話してる。

シャオちゃんて偉いの?


「戦友ていうか妹分ね。

大きいクインに会てどうするね?」


「皇女として立ちます。

戦争をしないでヴァルキューレの政権を取り戻しルミナを解放します」


「戦争しないでどうやてか?

力なき正義は役に立たないね」


「おっしゃる通りです。

わたしは力を求めます。

そのために母に会いたいのです。

古代兵器ノアより以前に建造されたという大量破壊兵器。

アビスを生み出すケイオスを我が力にするために」


「古代兵器も大量破壊兵器もあるわけないね。

そんなあるかも分からないものは力にならないね」


「ここにいるアナが古代兵器ノアを見つけました。

ヴァルキューレの現女帝イーラもケイオスを求めてルミナを侵略しました。

わたしの母を探しているとも伝え聞いてます。

わたしはイーラよりも先に我が力と成したいのです。

その力を抑止力としてヴァルキューレに降伏を求めます」


「おバカさんのアナちゃんが!?

なにかの間違いでないか!?」

「ばばあがバカって言ったあ。

くすん。

ぐみゃ!?」


オレのおなかに頭突き!

いちいちばばあに反応すんな!

オレ泣いちゃうよ!?


「ぐみゃ!?」

「なにか言たね?」

「心の声に反応しないで!?」


「まったくの偶然のようですが間違いなく。

わたしも驚いてます。

航行システムノアと接触しました。

機能はすべて正常に働いてますがケイオスの記録はなく」


「あいや〜。

動いちゃたか〜。

しかもアナちゃんが見つけただなんて驚きね……」


開いた口が開いたまんま。

そんなにびっくりすること?


「母もその行方を追っていました。

母を追えばケイオスにたどり着くのではないでしょうか?」


「いきすぎた力はよくないね。

それにイーラにしてみたら……

そんなことで止まるとは思わないね。

あの子にも色々あるね」


「シャオ様はイーラとも懇意にされてましたね。

なにかご存知でしょうか?」

「うちの口はカチカチね。

自分の耳で本人から聞くといいね」


「分かりました。

ですがやはり古代兵器ケイオスが実在するとの確信を得ました。

感謝を申し上げます。

母の居場所はお教えくださいますか?」


「ほんとに知らないよ?

余計なこと言ちゃたけど、教えることはなにもないね」

「残念です」


ツンとそっぽを向くシャオちゃんの返事に肩を落とすクインがかわいそう。

シャオちゃんを頼ってここにきたのに薄情じゃない?


「えー。

シャオちゃんてば教えてあげればいいじゃん!

オレ、そんなシャオちゃんだと嫌いになっちゃうぞ!」


無意識に大きな胸をぷるんと腕を組んでほっぺたをぱんぱんに膨らます。


「ふわ!?

怒たアナちゃんがかわいいね!

食べちゃいたいね!

添い寝したいよ!」


怒ったオレにお構いなしにひっついてくるし。


「いじわる言うシャオちゃんとは添い寝なんてしない!」

「ふわ!?

でもでもケイオスは危険がおぱいよ!

じゃない危険がいぱいね!

世に知られたらカントリー同士の争いが激化するかもしれないね。

そんなことは許せないね!」


「すっごい真剣な声と表情でオレの胸にほっぺたすりすりしないでくれる!?」


目をキランとドヤ顔するシャオちゃんをべりっと引き剥がす。

ぷるんとするオレの胸を涙目で見てるし。

かわいいけど表情の変化が激しすぎない?


「姫様!

皇女としてお立ちになるのでしたらわたしたちの元でお願いいたします!」


女軍人の一人が目を覚まして土下座してる。


「嫌に決まってるでしょ!

あなたたちは軍事クーデターを起こしたイーラと同じ!

わたしを旗印に武力で政権を奪い返そうとしてるだけじゃない!

そしたらまた犠牲者が出る!

しかも奴隷となっているルミナの市民もよ!

そんなのはわたしは嫌なの!

そのためのケイオスなの!

元宰相にもちゃんと伝えといて!」


「残念です!」


「あのさあクイン。

どうにかしたいのは分かるけど世界を滅ぼしちゃうようなもの見つけない方がいいんじゃないの?」


「ほんとはアナの言う通りなんだけど……

母はもう探し始めてる。

それにこのままじゃ力のないヒトたちを助けることができないし……」


「強いものが弱いものを支配する。

そして弱いものは強いものに守れられることで平穏を手に入れる。

それは当然の理だと思うわよ?

虐げられた奴隷は可哀想だけれども♪」


のんびりした口調、ゆったりとした歩調。

クインの言葉をさえぎって、シャオちゃんの小屋から現れる一人のお姉様。


「あなたは!? なんでここに!?」

「貴様は!? まさか!? 覚悟!」


驚く女軍人がジャケットの下から銃を抜いてる!


「ぐあっ!?」


畑でぴょんぴょんと跳んでいた小鳥が一斉に羽ばたいていった。

おでこに直撃する輝く丸い宝石。


「おおう。すっげぇ氣に早技。

指弾てやつか」


氣をまとわせたピアスの飾りを親指で弾いて飛ばしてた。

暗器がわりにするなんてすっげぇ。

女軍人はおでこにくっきりあとをつけて気絶してる。


「あいや〜。

出てくるなて言たのになんで出てくるね」

「だって♪

聞き捨てならないことを言ってるんですもの♪」


手甲を口元に当てて優雅に微笑んでる。

なんだかすごい迫力を感じる。


見事に編み上げられたオレンジの長髪に白い肌が滑らかそう。

水着のようにぴっちりしたワンピース。

前ががばっと開いて丸見えなひらひらレースのスカート。

大きく開いた両袖のひらひらレース。

まあなんてスタイル抜群で綺麗なお姉様♪


「誰このどちゃくそ美人なお姉様は!

オレの女にならないか!」


「ふふ♪

いきなりわたしを口説くなんて元気なお嬢さんね♪

美人だなんて嬉しいわ♪

初めまして♪

カントリー、ヴァルキューレの皇帝イーラよ♪」


「ん? ヴァルキューレの皇帝?

この物腰柔らかいとっても優しそうなお姉様が?」


「そうね。普段はね。

怒ると豹変するわよ。

それはもう鬼か悪魔のような殺戮者に」


「あら♪ 当然だわ♪

シャオお姉様、小さいクインに大きいクインのことを教えると思ったけど教えないのね?

できればわたしに教えてほしいのだけれども」


「知てたとしてもどっちにも教えないね。

あんなものが世に知られたらそれこそひどい争奪戦が始まるね」


「残念だわ♪

小さいクイン、元気そうね?

ちゃんと修行してるかしら?

小さい頃からあなたに修行をつけてあげたことを覚えてる?

あなたのことも行方不明になった大きいクインのこともずっと心配しているのよ?

大きいクインはわたしの姉のようなヒトですもの♪」


「白々しいことを!

なぜ母を探す!

なぜケイオスを欲しがる!

貴様たちが増強した軍事力があれば古代兵器なんて必要ないだろう!

そこまでして領有地を増やしたいのか!?」


口調も変わってクインが激しく声を荒げてる。

そりゃそうか。

このお姉様のせいでなにもかも変わっちゃったんだもんな。

だけどオレの頭ん中はそろそろぐちゃぐちゃで追いつけないぞ?


「知りたい?

別に世界征服なんて考えてないわよ?

まあその方が平和な世の中になるならそれも悪くはないけれど。

わたしはね……

世の中すべてのあたたかい家庭がうらやましいの♪

大きなクインがうらやましいの♪」


「家庭がうらやましい?」


戦争なんて話が家庭だなんて言葉になってクインが戸惑ってる。


「だってあなたっていう娘がすくすくと成長しているんですもの♪

わたしも我が子に会いたい……

あの子に会いたい……

きっといまごろ小さいクインみたいに美しく成長してるわ♪

だからケイオスが欲しいのよ♪」


「? あなたのお子は生まれて間もなく戦中に病でこの世を去ったのでは?」


「いいえ♪

いまも生きてるわ♪

必ず……異世界で♪」



☆次回<<< オレはぷるんと胸を張る!

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