26ブレス<<< オレ、大人になる?
「シルヴィアもシルヴィアの子どもたちもオレが守る。
シルヴィア大好きだ」
まっすぐ瞳を見つめて力強く伝える。
「まだ言ったことなかったわね?
わたしもアナのことが……」
オレの首に手を回すシルヴィアの唇が近づいてくる。
のんびり待ってるオレじゃない。
自分から唇を迎えに行く。
甘い香りに柔らかい想いが伝わる。
シルヴィアが身につけている全身タイツタイプのアーマードスーツ越しに優しい感触がオレの心を包み込む。
「大好きよ」
離れた唇から聞きたかった言葉がしっとりと心に響く。
「へへ♪ 両想いだな♪
……いいか?」
「ええ」
シルヴィアの瞳が優しくオレを迎えてくれる。
柔らかいほほに触れると口元が微笑んでる。
かわいい。
もう食べちゃいたい。
……
……
……
……どうやって?
そういやオレってキスしたり抱きついたりするけどその先をしたことがない。
続きってあるの?
サクラコに聞いた気がするけど恥ずかしくて頭がパンクしたしよく分かんない。
どうしよう?
えーと。
うーんと。
悩んじゃう。
「きゃ!?」
うっかりかわいい悲鳴をあげちゃった。
あれ?
ひっくり返された?
シルヴィアに力強く押し倒されて、恥ずかしくて顔が熱くなる。
オレだって女だからな。
シルヴィアが舌なめずりしてる。
シルヴィアさん?
なんでそんなに美味しそうなものを見るような目をしてるの?
え?
ちょっと?
ふわ!?
「あ、あの……」
「まかせて」
シルヴィアの重みが心地いい。
桃色の髪がオレのほほをくすぐるようになでると熱い想いが唇に絡みつく。
時間をかけて柔らかく激しく。
ふみゃあ。
なんだか心と体が溶けるぅ。
「ん……
あれ? 朝?」
隣に寝ているシルヴィアの瞳にオレがいる。
昨晩はどうしたんだっけ?
なんだかとっても幸せな気持ちのまま寝ちゃったんだよな?
あれ?
「おはようアナ」
「おはよ〜」
オレの腕の中に寄り添うシルヴィア。
おでこにちゅ〜すると優しく微笑んでる。
「アナはまだまだお子様ね?」
「ん? そんなことないと思うけど?」
「ふふ♪ 大人になるにはまだ早いみたいよ?
おバカさんね?」
「シルヴィアが朝からバカって言ったあ。
オレ泣いちゃう。
くすん」
「わたしもおバカさんね?
そのうち一緒に大人になりましょうね♪」
「シルヴィアはバカじゃないと思うけど?
でも一緒はいいな♪」
ということは?
あれ?
とってももったいないことになったわけか?
マジかあ。
いまからダメかなあ?
でもどうしたらいいか分かんないんだよなあ?
サクラコに今度こそしっかり教えてもらおう。
ていうか実践してもらおう。
「汗かいたわね?
……一緒にシャワー浴びるかしら?」
起き上がって全身タイツタイプのアーマードスーツを脱ぎはじめるシルヴィア。
「え!? シャワー!?
水使っていいの!?」
「いいわよ。
あなた寝てる間にすっぽんぽんになったのね。
ほんとに綺麗なカラダ……」
「オレ、寝る時はいつの間にか脱いじゃうんだ。
ビキニだから簡単に脱げるし。
シルヴィアもキレイだ!」
生まれたままの姿がほんとに素敵♪
アーマードスーツに締め付けられた跡がなんだかえっち。
部屋に備え付けのシャワールームに入る。
「おお! お湯が出る!
シャワーって気持ちいいな!」
「ほら、流してあげるわよ」
あったかい水流が胸をぷるんと弾く。
汗ばんだ体にシャワーの飛沫が気持ちいい。
甘い香りのボディソープであわあわ全身を洗いっこ。
きゃあきゃあ言いながらほんとに楽しい♪
水流を感じながら触れ合う唇。
シルヴィアの触れる指先にドキドキする。
柔らかい泡がすみずみまで包み込む。
初体験のシャワータイム。
きっと一生の思い出になる。
幸せ♪
オレたちの大事なところはベッドだったりシャワーホースだったりでぎりぎり隠れてたからな♪
「タオルがふかふかだ♪
うちが使ってるボロのタオルと大違い!
サクラコやオフィリアたち、こんなの絶対うらやましがるぞ!
金があったらみんなに買ってやりたいなあ♪
そしたらサクラコ喜ぶよなあ♪」
体に触れるタオルががさがさしなくて気持ちいい。
水気をしっかり吸い込んでくれるからあっという間にさっぱりする。
「あら。
わたしといるのにほかの女の話?」
「ん?
そりゃオレの女たちだからな♪」
「そうね。
アナはみんなのアナだものね。
(ちょっと焼けるけど大丈夫)
すぐに出発するかしら?
朝食くらいうちの子たちと食べてく?」
「そうだな!
シルヴィアの子どもたちと話してくよ!
朝飯もうまそうだしな!」
いつもの装備を装着。
シルヴィアが可愛くツーサイドアップに整えてくれた。
オレ、自分じゃうまくできないから。
食堂には子どもたちが集まっていて朝食を始めてた。
ちょっとのんびりしちゃってたからな。
分厚いベーコンエッグ。
オニオンコンソメスープ。
厚くスライスしたパン。
テーブルに並ぶうまそうな飯にオレの瞳がキラキラ輝いちゃう。
食事を終えた子どもたちがオレとシルヴィアの周りに群がってくる。
改めて見るとうちに比べて小さい子どもが多めかな?
ドラゴンどころか戦えるようなやつは一人もいないみたい。
シルヴィアが一人で資源採集をがんばるわけだ。
いろんな話をした。
子どもたちが元々過ごしていた環境はうちにいる女の子たちとそう変わらなかった。
やっぱり貧民街なりで身寄りがないか居場所がないところを拾われてる。
いまはシルヴィアの研究を手伝いながらシェルター暮らしの日々を送っているとか。
話が盛り上がって地下の研究室に手を引っ張られて移動した。
みんなキラキラした笑顔でそれぞれが取り組んでいることを力説してくれる。
研究のことを嬉しそうに話してくれるんだけどオレにはさっぱり分からなくて逃げ出したくなる。
難しい話は好きじゃない。
最初は子どもたちに簡単なことだけ手伝ってもらっていたみたいだけど、子どもたち自身がどんどん新しい実験に取り組んでシルヴィアもびっくりすることがあるらしい。
よっぽど楽しいんだな。
オレはそんな難しそうなことはやる気も起きないんだけど。
ソウルの無毒化。
死んじゃう危険のないワクチン開発。
できたらすごい。
きっといまより平和な世界がくる。
そんな夢みたいなことを小さなシェルターで小さな子どもたちが大人顔負けの研究をがんばってる。
みんなすごいなあ。
この子たちに比べればオレは大人だ。
オレが大人になる?
それってどういうことだろう。
オレもなにかをがんばらなきゃいけないと思う。
みんなにお別れをして帰ることにした。
「それじゃあシルヴィア。
いろいろ考えてみるから!
それまで待っててな!
またな!」
「ええ。待ってるわ。
行ってらっしゃい」
トレーラーの運転席から手を振る。
シェルターのエアロックで外気をしっかり遮断してから発進する。
シルヴィアの研究がうまくいけばこんなことする必要がなくなる。
外気が危険じゃなくなる。
陽が高くなってる。
いまからだとみんなのところにたどり着くのは夕方前か?
守るとは言ったけどどうしたらいいんだろう?
オレはバカだからよく分かんない。
オレたちのシェルターはなくなった。
シルヴィアもそんな未来を心配してる。
サクラコもレイナもクインもアーレもみんなも元いた場所を失くしてる。
最初からない子もいる。
オレはオレの女たちを守りたい。
「おっと。
修行修行っと」
丹田に龍気を集中して体内に内転させる。
しっかりとは整備されていない道を眺めながらトレーラーを走らせる。
荒野はどこまでも続いてる。
☆次回<<< オレはぷるんとコロコロ転がす!




