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25ブレス<<< オレの心もウキウキしちゃう♪

「シルヴィア!

おかげでけっこう稼げたよ!

あんがとな!」


ジャンク屋のおっちゃんからもらった札束に大満足なオレ!

買い物した金額とローンを差し引いてもこんなに残ってる!

もう嬉しくってにこにこにんまり笑いが止まらない♪


「いいのよ。

助けてもらったお礼なんだから。

もうすぐ夕方だけどアナはどうするの?」


「そうだなあ。

暗闇でライトは目立つし荒れた道を運転するのは怖いしなあ。

また師匠んとこに泊めてもらうかな?」


昔馴染みのおっちゃんと顔を合わせるのを嫌がったシャオちゃんは先に小屋に帰ってる。


「それならうちのシェルターにくる?」

「ほんとに!?

オレが行ってもいいのか!」

「嫌ならいいのよ?」

「いいに決まってる!

絶対に行く!

いますぐ行く!」


「はいはい。

トレーラーに荷物を積んだら行きましょうか?」

「やたっ!

おっちゃん! さっき注文したやつ運んでいいか!」


「もちろんだ。

配達場所はほんとにいいのか?」


「んー。

そのうちな!」


オレたちのホームがフレイムクリスタルキャニオンの底にある戦艦だなんて言えないしな。


「そうか。

ヴァルキューレに目をつけられてるわけだし、しばらくは誰にも場所を教えないほうがいいかもな」


おっちゃんが少しさみしそうな顔してる。


「オレたちのこと心配してくれてるの?」


無意識に上目遣いできゃるんと聞いてた。


「……心配くらいするさ。

アビスの件だがどうにも胡散臭い話があるんだが聞くか?」

「あん? なんの話?」

「お前らが見つけたユグドラシルフォレストのアビスの前にも少し離れた場所にアビスが発生しててな。

さらにその前にも並ぶように数件発生してるんだってよ」


「そうなの?」

「それはおかしな話ね?

そもそもアビスの発生に規則性はないはずよ?」

「だから胡散臭いって話さ。

まあ偶然かもしれんが。

アビスの情報量として食材多めにしといたからな」

「マジか! いつもあんがと!」


あんまり嬉しくってうっかりおっちゃんのほっぺにちゅ〜しちゃった。


「ぬお!?

お前なあ。気軽に男にそんなことすんじゃねぇよ。

男ってのはすぐに勘違いする生き物だからよ?」


「あん?

おっちゃんはうちのばばあが好きなんだろ?

じゃあ大丈夫じゃん。

地下道の工事だってオレたちとのやりとりだってばばあがいるからしてくれるんだもんな♪」


「お前!?

俺はそんなんじゃねぇ!

まったく一丁前に生意気言うようになりやがって。

あんなチビだったガキがこんなに……」


オレのでかい胸に思いっきり視線を下ろすおっちゃん。


「えっち!」

「違う! おとなをからかうな!」

「まあ、シャオちゃんを好きになるようなおっちゃんだもんな?」

「うるさい!

とっとと荷物運んで行きやがれ!」

「へ〜い」


おっちゃんの機嫌が悪くなってきたからとっとと行こう。


シルヴィアはいつものオフロード三輪バギー。

オレはトレーラーに乗って後を追いかける。


「シルヴィアのシェルターかあ♪

すっごい楽しみ♪」






「シルヴィアお帰り!」

「大丈夫だった!?」

「おいしいご飯できてるから持ってくるね!」

「このデカ乳誰?」


食堂に入るなり大勢の子どもたちが一斉に声をかけてくる。

みんな小さな子どもたちで大人はいない。

うちのシェルターと違うところは男の子が多いってところかな。


「この子はアナ。

わたしの大事な友だちよ。

みんな仲良くしてね」


集まってくる子どもの頭を順番になでるシルヴィア。

みんな笑顔で嬉しそう。


「もしかしてシルヴィアも?」

「そうね。子どもを保護してるわ」


「そっか。

シルヴィアってば何度聞いても全然教えてくれないんだもんな?

なんで急にオレを連れてきたんだ?」


偶然だけどオレが女の子ばかり見つける代わりに男の子ばっかり拾ってるのかな?


「とりあえず食事にしましょう。

うちの子たちが作るご飯はおいしいわよ?」


子どもたちに手を引かれて椅子に座る。

トレイに乗った飯が目の前に並べられた。


「なにこのうまそうなの!

食べて良いのか!?」

「もちろんよ。

いただきます」

「遠慮なくいただきます!」


うちのもちゃもちゃオートミールと全然違う!

バターが香るやわらかいパン!

塊肉のステーキ!

たっぷり野菜のトマトスープ!


「シルヴィアんとこすげぇ!

さすがレア物ハンター!

食い物も違いすぎる!

いつもこんなの食べてるのか!」


「そうね。

子どもたちになるべく良いものを、食べれるうちに食べてほしいの。

片付けが終わったら話を聞いてほしいの」

「? もちろん!」


なんだか真面目な表情のシルヴィアの雰囲気がいつもと違う?


食事の間、子どもたちにいろんなことを聞かれてバトルの話なんかしたら喜んでた。

食器の片付けを一緒に手伝ってワイワイと楽しかったなあ。

貴重な水をたくさん使って食器をきれいにできるなんてすごくてびっくり。

それに食器やタオル、着ているものなんかもボロじゃない。


うちじゃ顔を洗うのだってボロのタオルを濡らして使うくらいなのに。

うまいものを食べて生活が便利でみんなと楽しく過ごせる。

きっとこんなのが普通の生活ってやつなのかもしれない。

破壊されちゃったうちのシェルターでもこんな風にできたらよかったなあ。


「みんな明日も大変だからよく休んでね。

おやすみなさい」


シルヴィアの挨拶に口々に返事をする笑顔の子どもたち。

好かれてるシルヴィアを見てるとオレの心もウキウキしちゃう♪


「ついてきて」


廊下を歩いて地下へ移動する。

シルヴィアの後をついていく。

いま気づいた。

オレたちのシェルターと違ってオンボロじゃない。

腐食してるところが全然ない。

そういえば外観もきれいだった。


少し長い廊下。

ガラス張りの壁が続いてる。

右も左もなにかを研究するような部屋。

薬品がたくさん並んでいる棚に器具。

電源のついていない機械がたくさん。

並んでいるベッド。


ここはなんだか見覚えがある。

子どもの頃に師匠と一緒にぶっ潰したドラゴン研究所と似てる。

サクラコや子どもたちにひどいことをしていた場所。

吐きそうになる。


「ここがどんなとこか分かるかしら?」

「えーとー。サクラコの話はしたことあるよな?」

「ええ。聞いたわ」

「シルヴィアは子どもたちにひどいことしないよな?」

「どうかしら?

わたしは子どもたちを食い物にするおかしなヒトかもよ?」


シルヴィアがまっすぐオレの瞳を見つめてる。


「だってみんなシルヴィアのこと好きじゃん!

うまいものだって食べてるし!

みんな楽しそうだし!

オレの大好きなシルヴィアがおかしなことなんて絶対にしてないに決まってる!」


オレの目が熱くなる。

思い出す。

師匠と一緒にドラゴン研究所にわざと捕まって見たことを。

子どもにしていたひどい人体実験を。

さっき食べたものが逆流しそうになるほどの。


無意識に息をフーフーとしてた。

呼吸が荒くなってる。

胸がドキドキしてゆれる。

もしもオレの信じてることが違ったら……

オレはシルヴィアをどうする?


「オレはシルヴィアを信じる!

絶対に!」


「そう。

……ありがとう。

信じてくれて嬉しいわ。

アナならそう言ってくれると思った。

礼は言わないわ。

ありがとう」


「へへ♪ 言ってるじゃん♪」


こぼれる涙がなんだか嬉しいものに変わった。

オレって単純かな?


「突然こんなこと言ってごめんなさい。

アナにここを守ってほしいの。

わたしにもしものことがあったらここを引き継いでほしいの。

今日はそれをお願いしたくてきてもらったのよ」


「もしもなんてない!」


「……ヴァルキューレに破壊されたアナたちのシェルターを見たわ。

強い力に対抗できるような力をわたしは持ってない。

それにわたしって有名になりすぎたでしょ?

オアシスで狙われることも多くなってる。

いままで通りじゃ子どもたちを守れないのよ。

わたしの知ってるヒトで一番頼れるのはアナしかいない。

無理なら言って?」


「分かった!

オレが守る!

シルヴィアはオレの女だ!

シルヴィアの守りたいものは全部オレが守る!」


「アナはおバカさんね?」

「シルヴィアがバカって言ったあ。

一生懸命なのに!

くすん」

「ふふ♪ 褒めてるのよ♪

ありがとう、アナ」


「へへ♪ どういたしまして♪

そんで? ここでなにしてんの?」


シルヴィアが歩みを進めるからついていく。

振り返って次の部屋を指し示すシルヴィア。

ガラス張りの部屋の中には植物が植えられていて小動物が放し飼いになってた。

屋内なのにまるでオアシスみたい。


「ソウルの無毒化研究と命の危険のない安全なワクチン開発よ」


「ええ!? そんなことできるの!?」

「どうかしらね?

わたしは救われない子どもたちの未来を守りたい。

どのカントリーに行ってもシェルターに行っても不幸な子どもは増えるばかり。

知ってる?

ルミナが併合された時、奴隷にされまいと外に逃げ出した市民の多くは逃げる場所もなくて死んでしまったそうよ。

生き残ったヒトたちの多くはテルースに逃げ込んだそうだけど。

毒のソウルに怯えないでシェルターの外でも生きていけるようになればきっと世界は変わる。

ソウルが満ちた植物や鉱物はヒトに良いものが多い。

きっとわたしの力で見つけた素材でなんとかできる。

わたしの学んだ知識でなんとしても実験を成功させたい」


「学んだ? どこで?

シルヴィアって何者なの?」


ここの設備はすごいし特別な知識がないとできないことだよな?


「わたしは……言いたくない。

ごめんなさい」

「分かった!

オレはシルヴィアを信じる!」


無意識にむふーっと鼻息を吹き出す。

がばっとシルヴィアに抱きつく。

よく分からないけどシルヴィアの心が泣いてる気がした。


「シルヴィア!

難しいことはまた今度教えて!

今日はもう寝よう!」

「へ? そ、そうね。

じゃあ部屋は上だから……」

「分かった!」

「きゃっ!?」


シルヴィアをお姫様抱っこして指示された通りに進む。

教えてもらった部屋に入ると柔らかいベッドにシルヴィアを放り込む。

シルヴィア専用の部屋みたいだ。


「わ!? ア、アナ?」


ベッドに手をついてシルヴィアを上からのぞき込む。


「シルヴィア、オレの女になれ」

「すっごいストレートね?」



☆次回<<< オレ、大人になる?

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