23ブレス<<< オレはこちょこちょもみもみする!
「あの〜〜〜、た、だたいま〜」
畑に囲まれた一軒家。
井戸に浄水装置。
気性が荒い地鶏が数羽、オレを睨んでる。
ぼろっちい小屋の入り口の扉が開いたままだった。
片目だけ中を覗き込む。
ソファに小さなテーブルにキッチン。
少し大きめのベッド。
外側はぼろなのに屋内はきちんと綺麗。
「……いない。
いないんじゃしょうがないな!
よし! 帰ろう!」
180度反転!
「ふみゃあ!?」
いた!
買い物帰りなのか袋を抱えて、黒い瞳が怪しく光り輝いてる!
「うちのアナちゃん……
やと帰てきたね!
お帰りなさいね!」
あふれる涙をこぼす小柄な女の子。
黒髪ウェーブな長髪に白い肌のコントラストが輝いてる。
上半身花柄黒地の着物にリボン襟。
フリルの着物スカート。
「ずと会いたかたのになんで帰てこなかたね!
うわ〜〜〜ん!」
「ぐみゃ!?」
20メートルは離れていたのに一足跳びに瞬間移動してオレの腹に頭突きを喰らわしてくれた。
そのまま倒れて魂が抜けちゃいそう。
「アナちゃんだいじょぶか!?
は!?
ひさしぶりのアナちゃん……
意識がないうちにお布団に連れ込んで……
うへへ♪」
「起きてるから!
会って早々殺す気か!」
「え? やだなあ。
それならとくに死んでるね?」
「そうでした」
オレに魔装龍甲術を教えてくれた師匠で元軍人だったり、じゃなかったり。
目の前にいる少したぷたぷ少女がオレの胸にほおずりしてすりすりぷるぷるしてる。
小さな頃からずっと一緒にいるのに全然見た目が変わってない。
絶対ヒトじゃないと思う。
「相変わらずチビのまんまなのな。
ばばあのくせに。
ぐみゃ!?」
今度は脳天におでこの頭突きを喰らった。
「いまなんて言たね?」
あ、目が殺すって言ってる。
「うちのことはなんて呼ぶか覚えてるか?
かわいいおバカのアナちゃんは?」
「シャオちゃんがバカって言ったあ。
ぐすん」
「よろしね」
にっこり微笑んでぎゅっと抱きついてくる。
笑顔はほんとに天使なんだけどなあ。
スカートをめくり上げてパンツがずりっと、おしりの上から生えてるごつごつ鱗状のしっぽが地面をビタンビタンとえぐってて怖い。
しっぽだけ生やしてるし。
一応喜んでくれてる証拠っちゃ証拠なんだよな。
「しっぽをしまったら?」
「そね。そうするね!
やっとうちと暮らすつもりになたか!」
「えーとー」
しゅるっとしっぽがなくなってパンツを直してる。
なにしにきたか言いづらい。
「負けました」
「は?」
ひぃ!?
龍気が!?
眉間が怖い!
ゆらりと立ち上がるシャオちゃん。
上半身花柄黒地の着物のリボン襟を正してフリルの着物スカートをカーテシーするシャオちゃん。
黒髪ウェーブな長髪が龍気にあおられてゆらゆらと蛇のように蠢いてる。
すっごい怒ってるよう。
「うちの弟子でありながら負けたね?
その罪、万死に値するね」
目が怖い!
「ふみゃあああ!?
正確には勝負がつく前に終わったの!
やっぱり負けてない!
オレの攻撃が効かなかったんだよ!」
「ん? 効かなかたね?」
恐ろしい龍気の渦がシュルシュルっと消えていく。
「そうなんだよ。
銀色の金属、マテリアル系のドラゴンだったんだけどさ。
硬くて硬くてノーダメージ。
炎も反射されちゃってさ?
全然だった」
「あー。レアアース系ね?
やりあたの初めてか?
アナちゃん、修行の途中だたもんね。
龍気功の基本修行ちゃんとしてるか?」
「……してないです。
うみゃ!?」
また頭突きをもらった。
痛くて涙が出ちゃう。
「だってそんなヒマないんだも〜ん」
「才能だけであぐらかいてるからそうなるね!
まあでも龍気功は基本修行までしか教えてないからしょうがないね。
魔装龍甲術は極めれば無敵ね!
いまからみっちり毎日休む間もなく死ぬまで修行するね!」
その基本がしんどいんじゃん!
ほんとに死にかねなかった修行の日々を思い出すと涙が出そう。
「ダメダメ!
そんなヒマはないの!
オレの女たちがみんな待ってるんだから!
だけどこないだみたいに負けたら困るんだ!
きっとまたあの女軍人と戦うことになる!
だから手っ取り早く教えてくんない!」
「アナちゃんだて地道な修行が重要なことは知てるね。
基礎なくして積み上げてもやがては崩れるね。
それ分かてるよ」
「もちろん!
だけどほんとに時間がないんだ!」
シャオちゃんの両肩をがっしりつかんで頭がガックンガックンするくらいに思いっきりゆする。
「おおう。目が回るよ〜。
事情は聞かないけど分かたね。
女の子たちを守りたいね?
うちもアナちゃんが殺されるのは嫌ね。
知らない女に殺されるくらいならいま殺っとくね?」
「殺っとくって!?」
「いいからそこに立つね?
呼吸法!」
有無を言わさない恐ろしい龍気がまたにじみ出てる。
「はい!」
足を肩幅に開いてしっかり腰を落とす。
両掌を前に突き出して人差し指だけ立てる。
右手は下向き、左手は左向き。
目を半目にして下丹田、かわいいヘソの下に意識を集中。
肺に空気を満たす感じでゆっくりと息を吐き切って吸い込む。
「龍気功!」
「はい!」
大地と大気のエネルギーを感じる。
体の内と外から氣を感じる。
この星にあふれたソウルとは別のもの。
心を沈めて体内に龍気を内転させる。
上丹田、中丹田、下丹田、全身に。
そう、まるで星が自転するように。
いまオレは星と一つになってる。
「なんだ。
ちゃんとできてるね?
身をもって龍気の攻撃を受けて覚えるね?
それじゃあいくね?」
腰を低くドスンと大地を踏み込んだシャオちゃん。
龍気が込められた小さな掌底がオレの丹田にクリーンヒットしていた。
体の内側から突き抜けて全身を駆け巡る衝撃とほとばしる熱々の龍気。
1ミリもずれなかった足の位置。
意識が遠くなりながらその場に崩れ落ちる。
シルヴィア、サクラコ、オフィリア、オレの女たちとの思い出が頭の中に駆け巡る。
走なんとかってやつ。
オレ、死んだな。
「シルヴィア〜♪
なんて綺麗な肌してるんだあ♪
最高によかったろ?
いつでも天にも昇る……
ふみゃ!?」
おでこを叩かれた痛みで目が覚めた。
「生きてる……」
赤い龍の絵が描かれた天井が瞳にうつる。
ばばあ…… シャオちゃんが自分で描いたやつ。
「夢の中でわたしになにをしてたの?」
真っ赤な顔の女の子がハリセンをテーブルに置いた。
ハリセンはよく修行で叩かれてたやつ。
「シルヴィア!?」
布団を跳ね除けて起き上がるとシルヴィアがいた!
夢の中で最高に幸せだったシルヴィアがいる!
「なんでこんなところにいるの!?」
飛びついて抱きつく。
スーハーする。
「きゃ!?
匂いを嗅ぐのはやめてほしんだけど?
サクラコから連絡があったのよ。
もう何日も帰ってこないから探して欲しいって。
この場所はジャンク屋のおっちゃんに教えてもらったのよ。
アナが無事なことはサクラコに連絡しといたから」
ここはカントリー、テルースの端の端。
ジャンク屋のある貧民街とは違う穀倉地域にある。
「アナちゃん起きたね〜♪」
「ぐみゃ!?」
シャオちゃんの頭突きがオレの丹田にクリーンヒットした。
オレ、死んじゃう。
「アナちゃんが寝てる間にしっかりたっぷりアナちゃんを堪能できてうれしかたね♪」
オレの胸にぐりぐりほっぺたをすりつける。
こうしてるとほんとかわいいんだよなあ。
やられてばかりで悔しいからやり返す!
「うりゃあ!」
ベッドにひっくり返して押し倒す。
抱きしめてぎゅぎゅっとあちこちこちょこちょもみもみ。
ついでにおでこや首筋にちゅっちゅする。
「うやぁん♡」
シャオちゃんの艶っぽい声がかわいい♪
「……あなたたちもしかしていつもそんなことしてるの?
元気なことが分かったから帰るわよ」
「ああ!? シルヴィア待って!」
シャオちゃんが淹れてくれたお茶をすするオレたち。
「龍気功の味はどうだたね?」
「うーん。なんとなく分かったかな?」
無意識に人差し指を口元に当てて小首をかしげる。
「シャオちゃんから話には聞いたけど、殴られただけでなにが分かるのかまったく理解できないわ」
「オレもシルヴィアの言う通りだと思う。
子どもの頃からこんなんばっかりだからもう慣れた!」
「死を前にして学べることがあるね!」
「ほんとに死んじゃうかと思ったんだけど!?」
「すぐに強くなりたかたね?
アナちゃんに教えてなかた龍気功の秘伝。
身をもて感じたね?
あとは毎日の鍛錬と実戦で覚えるね?」
お茶を飲んでても体内では龍気を内転中。
「分かったあ」
「まだまだ教えたいことが山ほどあるね。
アナちゃんはうちのたた一人の弟子なんだからしかり龍気功と魔装龍甲術を継承したいね♪」
「オレだけじゃなくて弟子をとればいいのに」
「アナちゃんみたいなおバカさんにしか教えないね」
「シャオちゃんがバカって言ったあ。
くすん」
「きっと褒めてるのよ」
「そうなの?」
「そうね♪」
「ところでアナ。
お金に困ってるのよね?
わたしと一緒に資源の採集に行くかしら?」
「シルヴィアと一緒!
行く!」
期待でオレの胸がぷるぷるしちゃう!
☆次回<<< オレもぷるぷるしたい!




