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19ブレス<<< オレ、ち◯ちんを要求する!

「皇女!?」


サクラコもオフィリアも、キャリーたちもびっくりしてる。


「コウジョ?

あれ?

二人って知り合いなんか?」


「知り合いもなにも……

この女は憎っくきヴァルキューレの皇女、クイン・ヴァルキューレです!

よもやこんなところで!

我がルミナの民への仕打ち!

ここで晴らさせてもらう!

ドラゴンソウル! リ……」


拳を上げながらドラゴン化しようとするレイナ。


「わー! わたしはなんにもしてないよ〜!」


ブチ切れまくりのレイナに対して顔が真っ青なクイン。


「待て待て待て! 待ってって!

レイナ!

待て! おすわり! ちんちん!」


犬にするみたいな手振りを大げさにしてみる。


「アナ!?

わたくしは犬じゃありません!

それにちんちんなんてついてませんから!

サウナで見ましたよね!?

その女はルミナの怨敵!

どいてください!」

「わたしは敵じゃなーい!」


顔を真っ赤っかに迫るレイナ。

顔が真っ赤なのはどっちのせい?


「どかないよ!?

レイナ、落ち着こう!?」

「落ち着けません!」


わたわたと手をばたつかせるオレの制止の声と冗談に一応ドラゴン化を待ってくれた。

だけど怯えるクインを睨んで怒ってる様子は変わらない。

そして目に涙が浮かんでる。


「わ、わたしはもう皇女じゃないから!

ルミナと戦争を起こしたのは現女帝のイーラって女だから!

それくらい知ってるよね!?

わたしは戦争反対派だよ!

でもごめんなさい!」


「そんな中途半端な謝罪など!

我が領有地を侵し、不当な領有権を主張し、非道な戦に持ち込んだばかりか!

奴隷となって死んだものがどれほどいると思うのか!

わたくしの父は討ち死に!

母は虜囚の身!

今日も明日もどうなるか分かりません!

わたくしとてルミナの民がこれ以上の不利を被らないよう苦渋の日々を送ってまいりました!

いえ、わたくしのことなどいいのです!

前女帝の娘であるのは間違いありません!

あなたを人質にルミナの民を解放します!

そこになおれ!」


あふれる涙を隠さないままに怒りの声で叫ぶレイナ。


「わたしにはそんな価値なんてないよ〜!」


放っておくとまたリベレイションしそうな勢いにクインがさらに縮こまってオレにくっついてくる。


「なんだかとっても複雑で面倒な話みたいだな?」

「ヴァルキューレは数年前に軍事クーデターが起きて政権が交代したそうですよ?」

「政権交代後は領有地の拡大のためにほかのカントリーと小競り合いもしてるってね?」


そうなの?

オレにはよく分からないんだけどいまはそんなことはどうでもいい。

どうでもよくはないか?


「二人とも!

とりあえずいまはケンカしてる場合じゃないんだ!

オレたちもヴァルキューレに目をつけられてる!

いつまでもジャンク屋のおっちゃんに世話にはなれないんだ!

だからケンカはやめ!

分かったか!」


「……そうですね。

ここは一旦引きます。

が、落ち着いたら容赦はしません!」

「ごめんなさい!」


怒りの表情のままにほおに伝う雫が悲しそうだ。

だけどやっぱりクインは怯えてる。


「落ち着いても容赦をしてあげて欲しいんだけど?

クインはオレにくっついていてくれよ?」


「え? う、うん」


クインも涙声でいる。

きっとクインにも事情があるんだろう。

アーレも心配そうにクインにくっついてる。


貧民街で倒れていたアーレの命を救ったのはクインだ。

うちのシェルターにやってきてからも弱っていたアーレを介抱して、みんなともすぐに打ち解けるようにクインが一生懸命に世話を焼いてくれてたっていう話を聞いてる。

そんなクインが優しくないわけがない。


「レイナ、おいで」

「なんですか?」


動かないレイナに歩み寄ってはぎゅっとする。

クインも背中にしがみついたまま、アーレも一緒。


「よしよし。

お姫様のレイナはみんなのことが心配なんだよな?

オレだってオレの女たちがそんな目にあったら怒るし悲しい。

その気持ちはオレも分かるよ。

オレがなんとかしてやれればいいんだけど。

そうだな?

きっとなんとかする!

いまは悔しい気持ちはオレの胸にぶつけろ。

な?」


「アナ……あなたというヒトは。

うう……うわーーーん!」


オレの胸をぷるんとさせながら顔をうずめて声をあげて大泣きするレイナ。

頭をなでなでポンポンする。

ほっぺたをすりすりする。

涙がほおに濡れて冷たい。


もちろんオレだってヴァルキューレを相手にどうこうできるとは思ってない。

レイナだってそれは分かってるはず。


鳴き声が落ち着くまで少し待つ。

怒りに身をまかせたレイナだけど心が強いんだと思う。

自分から離れていく。


「クインもきっと辛いことがあったんだよな?

あとで話を聞かせてな?」


今度はクインを胸に引き寄せる。


「うん……

くすん。

ふえ〜ん」


オレの胸と腕の中で静かに肩を振るわすクイン。

アーレも一緒に抱きしめる。


「アーレも心配してくれてあんがとな。

今度いっぱいピーチグミ食べような♪」

「うん! たべる!」


そんなオレたちを眺めるサクラコが腰に手をやってため息をついてる。

だけどなんだか嬉しそうというか誇らしそうというか。


「まったくもう。

なんとかしてやるって簡単に言うんだからアナは。

ふふ。

ほんとにアナはアナなんだから。

バカもいいとこよね?」


「サクラコがバカって言ったあ。

きっとなんとかなるよお。

くすん」


「ふふ。きっとね。

とりあえず落ち着いたかしら?

オフィリアこれからどうしたらいいと思う?」


「100人が住めるところを探さないといけないんですよ?

でないと貧民街で不法滞在ですよ?

そのうち捕まるなり奴隷として売られたりして、みんなばらばらになっちゃうんですよ?」


「先が思いやられるわね。

アナ、オフィリアの言う通りだし、早くなんとかしないとだわ」

「そうだよな?

そうは言っても空きシェルターなんて都合よく見つかるわけないしなあ?

毒のソウルがいっぱいの荒野やソウルモンスターがいるオアシスで野宿なんてできないし」


「それなら……

フレイムクリスタルキャニオンのシェルター、というか軍事施設に行ってはいかがでしょうか?

地下2階から下は探索してませんがおそらく居住区などもあるかと思いますが」


涙目のままに提案するレイナ。


「軍事施設? え? あそこで?」


つぶやくクイン。


「それナイスアイディア!

よし! さっそくみんなで出発だ!」

「今日はもう遅いから明日!」

「あれ? そう?」


おっちゃんが差し入れてくれた携帯食レーションを食べてみんなでざこ寝。

翌日の朝早く。

おっちゃんに水と食糧を分けてもらってトレーラーに積み込む。

またローンが増えた。

借金だらけになってサクラコがまたため息をついてる。

そんな様子をニコニコして見てるオフィリア。


みんなもアストロスーツを着込んで荷台に乗り込む。

ヴァルキューレに襲撃された時、命の綱であるアストロスーツを着るだけで精いっぱいだったんだ。


2台の運転手は変わらずキャリーとネシティ。

それぞれの座席にはサクラコとレイナ。オフィリアとクインにアーレ。

レイナとクインは離す。

少しでも落ち着いていられるようにってことだ。


オレは片方の荷台にみんなと一緒にいることにした。

フレイムクリスタルキャニオンは遠い。

道中、乗り換えてみんなといっぱい話そう。


心配そうな貧民街のみんなに見送られながらテルースを後にする。

応援してくれる声にオレと女の子たちは手を振った。


「シェルター暮らしじゃみんなを守れないのはよく分かった。

なんとかしないとなあ。

でもどうする?

それにもっと強くならないとなあ」


あの女軍人とあのまま戦っていたら負けていたかも?

そんなことはないと思ったりもする。

それにしても綺麗なお姉さんだったなあ。

オレの女になったりしないかな?

でも性格的におっかなさそう。


荷台に寝転ぶと胸がぷるんと震える。

近くにいる女の子たちがくっついて寝転がる。

やわこい。


大空を眺める。

今日も宇宙ソラが近い。

濃いめの青い空には銀河がよく見えて瞬いている。

たくさんの流星を見てると願えば願うほど思いが叶うような気がしてくる。


「師匠のところに行ってみるかなあ?」


でもあの師匠に会うのかあ……



☆次回<<< オレ、指がぞわぞわする!

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