13ブレス<<< オレは女の子たちと泣いちゃう!
「うっま〜い!」
オレの胸が感動でぷるぷる跳ねる。
食堂に響き渡るくらいのでかい声。
スプーンですくってどんどん口に運ぶ。
そりゃもうハムスターかっていうくらい。
「「「(いちいちかわいい(んですよ)!)」」」
「ほんとにおいしいわ!」
「これってほんとにオートミールなんですよ?」
「アーレこれすき〜♪」
「お口にあってよろしかったですわ♪」
同じテーブルについてるサクラコ、オフィリア、アーレ、レイナ。
気落ちしたレイナだったけど、あれから多少は気を取り直したみたいだ。
クインはなんでか知らないけど部屋にこもったきりで出てこない。
オーツ麦とクズ野菜にクズ肉。
食材は同じなのに全然違う料理になってる。
「マジか〜♪
もちもちした食感が心の底からおいしい〜♪
ソースがクセになりそ〜♪」
おいしくってほっぺたとろけちゃいそう♪
うきうき体をスイングすると胸もぷるぷるゆれる。
「お好み焼きって言うんだって!
オートミールがこんなにおいしくなるなんてあたしはびっくりだよ!
レイナにいろんなレシピを教えてもらったからね!
いっぱいおいしいオートミール料理を作るよ!」
スタイルむちむちのクイネラが元気に声をかけてくる。
厨房をまかされてる女の子の一人だ。
だけど別に料理が得意ってわけじゃない。
オレと同じ貧民街出身の孤児でなんとなく料理担当の一人になっただけだったりする。
食事に夢中になってた女の子たちから歓声と拍手が巻き起こる。
中には涙を流して喜んでる子もいる。
それだけ変化のないオートーミールに参ってたってことだよな?
「クイネラ! よろしくな!」
「お好み焼きに合わせたソースやマヨネーズがあればもっとおいしくなりますわ。
材料があれば作れますわよ」
「ほんと! 今度買ってこよう!
レイナってお姫様だったのに料理までするんだな?」
昨日、サウナ後の晩飯の時のこと。
いつもと同じオートミールのごっちゃ煮にあきあきしているみんなを見てレイナが厨房に入ってクイネラに作り方を教えてくれた。
おかげで今朝はうまい飯が食えてる。
「お姫様と言っても皆さんとなにも変わりませんわ。
わたくしのカントリーだったルミナは困窮してましたから。
自分たちの食事は自分であれこれ工夫してたのです。
やっぱりオートーミールばかりでしたわ」
「カントリーって言っても食うものに困ったりするんだな?
それにあれこれやらないといけないことがあったり決まり事があったりして大変だよな?
やっぱシェルターで自由に好きに生きてた方がいいな!」
「またそんなこと言って!
なにかあった時のことを考えたらカントリーの後ろ盾があった方がいいじゃない!
オフィもそう思うでしょ!」
テーブルを叩く勢いのサクラコ。
「んー。
良し悪しはあると思うんですよ?
いざって時に良いか悪いかはなんとも分からないんですよ」
「やっぱ自分たちでなんとかしてくのがいいんじゃないか?」
「そうは言うけど、こんなボロシェルターなんていつどうなっちゃうか分かんないのよ!
代わりのシェルターなんて簡単に見つからないんだから!
レイナを探しにヴァルキューレが絶対にこないなんて保証もないんだし!」
「あー。まあ確かにな。
でもカントリーの市民になれるわけじゃないし、どこのシェルターだって似たようなもんだろ?
どこもかしこも年代物だし」
「そりゃそうだけど!
……もう! 勝手にすればいいわ!
ふん!」
顔を伏せてぽたりぽたりとテーブルに落ちるサクラコの涙。
「サクラコ泣かないで!?
そうだよな。
サクラコは色々あったもんな」
「そうよ!
悪い!?
ドラゴン研究所から逃げて!
拾ってもらったシェルターに隠れて!
みんな死んじゃったのよ!
もしもあの時あんたがわたしを助けてくれなかったらわたしだって死んでたんだから!」
何年前だったか。
サクラコはひどい人体実験をするドラゴン研究所から追われていた。
サクラコが逃げ込んだ小さなシェルターは住人もろともそいつらに破壊されちゃったんだよな。
サバイバルとケンカの修行の旅に出ていた俺と師匠は偶然そこに居合わせて襲われていたサクラコを助けた。
サクラコはオレの最初の女だ。
小さい子を捕まえるためにひでぇことしやがるって思ったけど、師匠が言うにはやるからには徹底して根絶やしにする。
でないとあとあと禍根になる。
復讐者を産むことになるからってさ。
オレはそんなの胸が萎んじゃうから嫌だ。
そんな理屈で師匠と一緒にそのドラゴン研究所をぶっ潰しに行った。
お互い様だ。
だけどほんとにぶっ潰しに行ってよかった。
サクラコをドラゴンにした研究所は子どもを切り刻んで薬漬けにして実験動物にするようなひどいところだったから。
思い出しただけで吐き気が止まらない。
せっかくおいしかったお好み焼きがもったいない。
サクラコとはそれ以来の付き合いで、旅の途中でさらに拾った女の子たち数人とここで暮らすことになったんだよな。
行く先々で女の子を拾うもんだから師匠に呆れられた。
サクラコみたいな子がいるって分かったらほっとけないじゃん?
人数が増えたから旅も途中で終わり。
オレは貧民街の師匠の家から飛び出してこのシェルターでオレの女の子たちと暮らすことになった。
最初は行ったり来たり。
修行も途中のまま、そのうち師匠のところには帰らなくなった。
それからというものアーレみたいな女の子を見つけるとオレの女にしてる。
このシェルターの居住権は隣接しているカントリーに一定の資源を納品することを対価に一応認められている。
カントリー法の外だから守ってくれるわけじゃないし口約束みたいなものだ。
ボロのシェルターにボロの服、固いベッド、うまいけど飽き飽きしてるもちゃもちゃオートミール。
たまにみんなでサウナ。
お小遣いにお土産。
なんとかかんとか、みんな笑顔でいられるくらいには楽しく暮らしてる。
それもこれも師匠のおかげだ。
死ぬほどぶん殴ってやりたい。
だって散々殴られたり蹴られたり水に沈められたり関節外されたり毒を飲まされたり他にもいろんなことされたから!
「ごめんよサクラコ。
みんなのことを心配してくれるんだよな。
よしよし。いい子いい子」
「アナ……
うわ〜〜〜ん」
ボロボロあふれ出す涙が悲しいよ。
オレも泣いちゃう。
「「うわ〜ん」」
そしたらニコニコとお好み焼きを楽しんでいた他の女の子たちも泣き出してしまった。
みんないろんな事情で孤児になってここにいるからな。
悲しいことを思い出させちゃったんだろう。
「ああ! 皆さん、そんなに泣かないでください!」
「そうなんですよ?
泣いたら資源がもったいないんですよ?
くすん」
レイナがうろたえてる。
オフィリアも似たような境遇だしいまにも泣きそうだ。
オレの女たちをいつまでも泣かしてるわけにはいかない!
「みんな泣くな!
お前らはオレの女なんだから絶対幸せにしてやる!
絶対だ!
だから泣くな!
いつかは分かんないけどさ!」
「絶対ってなんのあてもないじゃない!
アナはほんとにいいかげんなんだから!
ばっかじゃないの!」
「サクラコがバカって言ったあ。
オレ、がんばるもん。
ふわ〜ん」
「アナのおバカさんはいつものことなんですよ?」
「オフィリアまでバカって言ったあ。
いいもん!
オレ、拗ねちゃうもん!
うえ〜ん」
無意識に目元に手を当てて頭をぶんぶん振る。
そんなオレたちのやりとりを見て笑いだすみんな。
「あれ?
なんでみんな笑うの?
オレ、変なこと言った?」
無意識につの口に指をそえて眉尻を垂れ下げて小首をかしげつつレイナに聞いてみる。
「サクラコ……
何度か思っていたのですがアナのこのナチュラルなあざとさは無自覚ですか?」
「そうよレイナ。
アナはね……
ケンカの強さとかガサツとか乗り越えて無自覚が最強すぎるのよ!
みんなナチュラルにやられまくるのよ!」
「なんの話?」
サクラコってばなんでそんなに拳を握りしめてるの?
「よく分かりました。
アナはほんとに皆さんに好かれているんですね。
わたくしもアナの女にしてください。
よろしいですか?」
「もちろん!」
もじもじと恥ずかしそうに聞いてくるからニッカリ笑顔で返事。
はぎゅっとなでなでしたらもっと恥ずかしそうにしてるし。
ん〜♪
抱き心地が気持ちいい♪
「はわあ!?」
ついでにいろいろ揉んだら喜んでる♪
みんなも拍手で祝福してくれた。
サクラコがちょっとほっぺた膨らませてるけど。
「カントリーねえ……
なんかみんなで幸せになれるうまい方法でもあるといいんだけどなあ?」
「そんな都合の良いものなんてありませんわ。
幸せな未来は自分で切り開くものですわ。
でなければルミナのように……わたくしの民に顔向けができません。
わたくしは必ず民を救います」
レイナが悔しさを滲ませながら想いを吐き出している。
レイナのカントリーもなんとかしてやれればいいけど。
なんともなあ。
「そうだ!
幸せっていや、オレちょっと一人でカントリーに行ってくる!」
「アナ一人で? なんでよ?」
「へへ〜♪
今日はオフだろ?
シルヴィアとデートの約束してんだ♪」
「はあ!? デート!?
いつの間にそんな約束したのよ!」
「え? 昨日帰ってきてすぐ」
あれ?
サクラコさん、リベレイションする勢いで怒ってません?
「デートですか?
……それならわたくしもご一緒させてください。
アナの女になったんですもの」
「それならわたしも行く!」
あれ? 人数多くない?
それってデートっていうのかな?
☆次回<<< オレ、下着姿がかわいい!




