10ブレス<<< オレ、気持ちよかった!
「なにこの赤いギア!
すっげぇ、かっこいいじゃん!
てか、かわいい!」
行き着いた格納庫の一角に一体のギアがひっそりと佇んでいた。
ギアポーチに収納された状態じゃなくて人型に展開された状態でハンガーに吊るされている。
もっさいデザインのノーマルギアやいかにもパワー重視のパワードギアに比べてスタイリッシュなデザイン。
「間違いなくギアだけど……
パワードギアとはだいぶ違うわね?
ソウル変換機に推進機能もついてる。
フォアアームにもボトムにもソウル補助機能があるわね?
脳波受信機もどれもこれも見たことのない機巧をしてるわ」
「この金属って見たことないな?
なんかキラキラしてるし、かっけぇ!」
シルヴィアがギアの表面をコンコンと叩いてる。
「ここのシェルターの金属よりも硬そう。
これもロストテクノロジーの遺物かしら?
なんでこれだけ放置されてるの?」
「これ……オレが使ってもいいかな!?
推進機能ついてるしオレのソウルスキルも使えば飛べるんじゃないか!」
「わたしには使えないものだし、ホバーバイクとかはなさそうださし。
ここから脱出するにはこれしかないかもしれないわね?」
「よっしゃ!
さっそく装備だ!」
「あなた脳波識別登録できるの?」
「……オレできない。
そういうのは整備できる女の子にまかせてるから。
それじゃあ使えないの!?」
「わたしがセッティングしてあげるわ」
「ほんと!?
やたっ!
ありがとうシルヴィア!」
「ちょっ!?
すぐに抱きつくんじゃないの!
ほら早く装備しなさい!」
「は〜い」
手と脚をギアに通すけどサイズが合わない。
でも脳波識別登録ができれば大丈夫。
ギアは装着者の脳波を読み取って勝手にアクチュエーターがサイズを調整してくれる。
シルヴィアがギアとアストロスーツの前腕についたコンソールをコードで繋ぐ。
ピピっと操作を始めた。
「接続端子と操作システムは基本統一規格で定められた通り、いまと変わらないのね。
脳波を繋げるわよ?
いいかしら?」
「いつでも!」
「3、2、1、はい」
シルヴィアがコンソールをタップした途端にオレの脳みそにとんでもない刺激と情報が流れ込んでくる!
「ふみゃあああ!?」
あまりの衝撃に耐えきれず絶叫を上げていた。
がくがくと体が震えて胸が大きく揺れる。
「ふみゃ!? はうう!」
「アナ!? 大丈夫!?」
「だ、大丈夫……はあはあ……はあ〜」
か、顔がめちゃくちゃ熱い!
「脳に負担が大きかったのかしら!?
体に異常はない!?
どこか痛くない!?」
「……うん。
どこも痛くない……
ていうかさ……体が……
ひゃん!?」
「なに!? やっぱり辛いの!?」
「気持ちいい……」
「はい?」
「えーと……その……
全身マッサージされてるみたい?
すっげぇ気持ちいい……
ほら、オレって胸が大きくて肩こり辛いんだけどさ。
すっきり治っちゃった!
死ぬほど刺激が強すぎてびっくりしたけど」
「そ、そうなの?
う〜ん?
ノーマルギアやパワードギアじゃこんなこと起きないのに。
ドラゴンになるためのワクチン投与で死んでしまうことや死ぬほどの激痛が起きるけど、脳や体への負担を軽くするためのショックアブソーバーになってるのかしら?
それにしたってこんな現象が起こるなんてありえない。
あなた生まれつきのドラゴンだったわね。
それが関係してるのかしら?
最初だけで次からはもうないと思うから安心して?」
「え? もうないの?」
「あった方がいいのかしら!?」
「なくていいです!
あるならシルヴィアとがいい!」
うっかり目がうるうるしてシルヴィアの瞳を見つめちゃった。
「か、かわいいんだから……
ていうか、わたしとがいいってどういうこと?」
「ん? なんて言った?
シルヴィア、オレとつきあってください!」
「はい? なんでそんな話になるの?
……わたしにはそんな暇はないわ。
それより早くしないといけないんじゃないの?」
「そうだ!
早くみんなのところに行かなきゃ!
ドラゴンソウル、リベレイション!」
ビキニタイプのアーマードスーツに覆われてない素肌から硬質のごつごつした物質が生えていく。
クリムゾンレッドの長髪の間から金色のつのがメキメキと2本伸びていく。
金色の瞳も変質して銀河のように輝く。
胸がぷるんとでかくなる。
「からのドラゴンギアカグツチ! コネクト!
ふみゃ!?」
腕や脚、各部の装甲がオレのサイズに合わせて稼働していく。
オレと繋がる感じがやっぱり気持ちいい。
ノーマルギアと全然違くて好きになっちゃいそう。
「大丈夫? ドラゴン? カグツチ?」
「ああ!
ドラゴンのために開発された特別なギアみたいだ!
こいつはドラゴンギアカグツチ!
炎のソウルコアがこいつの力の源だ!
オレにぴったりだぜ!」
「ソウルコアってなにかしら?
なかなかっていうか、かっこいいわね。
赤いカラーもあなたにぴったりだし不思議と似合ってるわ。
どう? いい感じ?」
「心と体にすっごいフィットする!
刺激が強すぎるのはもういらないけど!」
「やっぱり我慢してたのね?」
「そりゃなあ。
いろんな情報が脳みそにインストールされたみたいけど理解できなかった!
だけどなんとなく使い方は分かったし間違いなくいける!
みんなを助けに行くぞ!」
「おバカさんには難しかったのね?」
「シルヴィアがバカって言ったあ。
ぐすん」
「はいはい。
なんだか分からないけどよく我慢したわね。
まったくあなたときたらヒトを助けたり、自分のことは後回しにしたりお人好しもいいとこだわ。
ま、だから女の子に人気があるんでしょうけどね。
わたしのことも何度も助けてくれるしイケメンガールも伊達じゃないわね?
うっかりわたしも……」
「わたしも?」
「なんでもないわ。
それより飛べそうかしら?」
「ああ! いけると思う!
落ちてからまだそんなに時間が経ってない!
みんなまだ無事なはずだ!
こいシルヴィア!」
そそっと前に立つシルヴィアをお姫様抱っこする。
心持ち顔が赤い気がするけど気のせいか?
「んじゃいくぜ。
深紅の翼!」
肩と背中部分のごつごつから炎が翼のように吹き上がる。
ドラゴンギアがカッコよく変形して炎の制御をしっかりサポートしてくれる。
「すげえ!
このギアってばソウルの吸収と循環に放出もめちゃくちゃアシストしてくれるぞ!
これなら!」
炎の翼を羽ばたかせてジャンプすると二人分の体重をものともしないでぐんぐん上昇していく。
速度も安定感も半端ない。
「すごいわアナ!」
「へへ♪ 一気に行くからな!」
フレイムクリスタルキャニオンの谷から一気に飛び出す。
おっさん傭兵団とじじばばギャングが劣勢に立たされてる様子が見えた。
オレと戦っていたおっさんも逃げるとか言ってたのにまだ戦ってる。
「捕まったら死ぬまで労働力として働かされる運命が待ってるんでしょうね」
「オレの女たちをそんなことにさせるわけにはいかない!
みんなはどこだ!」
「アナ! あそこ!」
シルヴィアの指差した先にトレーラーが3台。
「みんな拘束されてる!」
「オフィリアのノーマルギアが壊されて床にねじ伏せられてるわ!」
そこそこ距離があるけどヘルメットの望遠機能で見えたんだろう。
オレの視力はいいから普通に見える。
「オレのオフィリアになんてことするんだ!
絶対許さねぇ!
シルヴィア、安全そうなところに降ろすから先に逃げててくれ!」
返事を待たずに軍人のいないところに向かって下降する。
「分かったわ。
アナ、わたしは戦ったりできないから手伝えないけどがんばってね。
死ぬんじゃないわよ」
水晶の大地に降ろすとシルヴィアがぎゅっとハグしてくれた。
「生きて帰ったらデートしてくんない?」
「さっきはレイナって女の子も口説いてたくせに。
そうね、死なないなら考えてあげるわ」
「へへ♪ 約束な!」
炎の翼を羽ばたかせる。
みんな待ってろよな!
絶対に助ける!
☆次回<<< オレはぺったんも好き!




