1ブレス<<< オレは女が大好き!
「今日も宇宙が綺麗だなあ〜!」
腰に手を当てて空を勢いよく見上げるとオレのでかい胸もゆれる。
樹々の間から大空が見える。
宇宙に届きそうなほど巨大な樹木が乱立するこのエリアはユグドラシルフォレストと言われるとてつもなく広い大森林だ。
生えてるキノコやシダ植物も何もかも規格外にでっかい。
小さいのもちゃんとある。
いまは大森林の一番外側から少し入ったところにいる。
「大昔のヒトは宇宙に行ったっていうけど……
いつかオレも宇宙に行ってみたいぜ!」
太陽が出ていて昼なのに濃いめの青い空には銀河がよく見えて瞬いている。
たくさんの流星がよく見えるのもなんだか胸がワクワクする。
聞いた話じゃこの星がチキュウと呼ばれていた大昔に起こった出来事のせいで宇宙が近くなったとか。
生まれたときから当たり前の光景だけどいつ見ても気分がいいな。
想像すると瞳がキラキラ輝くってもの!
「アナ! なにしてんのよ!」
「囲まれたんですよ!?」
「え?」
オレたちよりも三、四倍はでっかい凶暴な雑食岩トカゲ、ロックリザード二、三十体を相手に二人が戦ってる。
でっかい樹木と同じく、ヒトには有毒な外気のせいで進化したといわれる化け物、ソウルモンスターの一種。
こいつらはでかい割に物音を立てずに素早く移動したりするもんで気づかないことがある。
なんだけど数が多すぎない!?
いつの間にそんなことになってるの!?
「いっけね!
サクラコ! オフィリア!
すぐ行く!
オレの女に手を出すんじゃねぇ!
ドラゴンソウル! リベレイション!」
手指、手甲から肩、脚の付け根から足首、背中の一部、首まわりに側頭部。
オレの体から赤く輝く硬質のごつごつした物質が生えていく。
鱗みたいなもんかな?
可愛くツーサイドアップに整えられたクリムゾンレッドの長髪の間から金色のつのがメキメキと2本伸びていく。
そして金色の瞳も変質して銀河のように輝く。
不思議と胸、股間、おしり、腕や脚の内側には生えない。
種の保存には邪魔だからなんて聞いたことがある。
つまりえっちをするには邪魔ってことだよな?
想像するとうっかり顔が赤くなる。
オレは普通のヒトとは違う。
ドラゴンと言われるヒトだ。
がさつなオレだけど、黙って立ってればすっごいかわいい美人さんて言われる。
心の中で飛び上がるくらいにうれしかったりして顔がにまにましちゃう。
着ているものはっていうと、ビキニタイプのアーマードスーツ。
生えてきた部分は全部素肌で服で覆ったりはしてない。
じゃないと破れちゃうからな。
自分で言うのもなんだけどちょっとえっちな気がするくらいの布面積だし形がぴっちりはっきり。
防弾防刃性の布地と外骨格フレームで構成されてる。
最近ちっと胸が大きくなってきついけど伸縮性があるから大丈夫っちゃ大丈夫。
「ノーマルギアは……別にいっか?」
「ちゃんと展開しなさいよね!」
「えー」
無意識に口をへの字に困り眉になっちゃう。
「えーじゃない!」
「分かったよ。ノーマルギアコネクト!」
オレ専用に改造されたノーマルギアが脳波で接続されて起動する。
脳波が繋がる瞬間はあんまり気持ちがいいもんじゃないから好きじゃない。
腰と背中、おしりの上に装着しているギアポーチから補助アーマーが展開して腕、脚、頭に一瞬で装着された。
防具みたいなものだけど年季が入ってぼろっちしい見た目ももっさりしていてカッコ悪いから好きじゃない。
つまり好きじゃない。
もっと気持ちよければいいのになあ。
「サクラコ! オフィリア!
連携いくぞ!」
やるとなったら俄然やる気!
口の端が楽しくて吊り上がる。
「「オッケー!」」
サクラコはワンピースタイプのアーマードスーツを着用してる。
オレのゴツゴツな硬質とは違ってクリーム色の柔らかそうな毛足の長い毛皮に包まれている。
まあ結局硬いんだけど。
額からクリーム色の長いつのが一本生えていて、青い瞳にクリーム色の巻き髪ボブカットにワンサイドショートが似合ってる。
胸はでっかくてすらりとした肢体がかわいい。
オフィリアはサロペットタイプのアーマードスーツを着用してる。
青い水晶の甲皮が鎧のように綺麗だ。
水色の短髪に加えて輝くクリスタルのような突起物がいくつもある。
クリスタルは体のあちこちにも生えていてその姿は輝く鉱物のように幻想的だ。
胸はささやかでサロペットの隙間からチラ見えするんじゃないかとサクラコがいつも心配しているけど見えた試しがない。
代わりにおしりと太ももがムチムチしてるのを本人は気にしてる。
二人ともドラゴン化していて専用のノーマルギアを装着している。
「オフィリア!」
「まかせて!」
オフィリアが先陣に立って注意を引く。
次いでサクラコが横に回り込んでから攻撃をすることでさらに注意を引く。
オフィリアはすかさず後退。
注意を引いた先にいるオレの出番!
大地を蹴って飛び上がる!
「深紅拳の咆哮!」
右腕に装着されたノーマルギアのフォアアームが砲身のように変形する。
標的、ロックリザードの口に右腕をぶち込むと燃え上がる炎がでかい図体を貫いてトカゲのしっぽまで突き抜けていた。
大気に充満するソウルを使って発現する技、ソウルスキルだ。
「オレのブレスはうまいだろ!」
ブレスって言うけど口から吐いたんじゃなくて腕と拳から吹き出す炎のことだ。
ロックリザードが内側からこんがり焼けてる。
「ナイスなんですよ、アナ」
「ちょっとこんがり焼きすぎじゃない!?」
「へへ。やりすぎちゃったかな。
この調子でどんどんいくぞ!」
2体目、3体目もこんがり焼いてく。
突然暗くなる景色。
「あれ? もう夜?」
「夜なわけないでしょ!
上!」
「へ?」
見上げるとめちゃくちゃでっかいロックリザードがあんぐり口を開けてる。
またまたいつの間に!?
こんなにでっかいのに忍び足得意なの!?
急降下してくる鋭い牙。
「ふみゃあああ!?」
大慌てで飛び退くとでっかい口が地面を食いちぎってた。
ぺっと吐き出すロックリザード。
続けてどっかんどっかん食いついてこようと地面をえぐってるし!
「おおい!? わああああ!?」
その度飛び退る。
「なんだこいつ!?
でかすぎねぇ!?」
「10倍はあるわね!」
「こんなの見たことも聞いたこともないんですよ!」
「きゃあああ!?」
頭上から黄色い悲鳴。
オレたちから標的を変えたロックリザードが巨木の枝に立っている誰かを狙ってる。
「あの女は……
オレの大好きな女を食おうとするな!
そんなとこにいたら逃げ場がないだろ!?
オフィリア! 体勢を崩せ!
サクラコはオレを蹴れ!」
「「了解!」」
☆次回<<< オレはイケメンガール!
3話からイチャイチャ多め!