王子
――― 王子 ―――
マリア「・・・ねー 貴方の力何とかならないの?」
ネディア「え?」
マリア「私が相手に出来ない奴等を追い払う為に
何度も何度も貴方の力を流すといつかどうにか
なるんじゃないかって怖いのよ」
ネディア「まぁそれもそうか・・・でもあのおっさんに
言っても無駄な気がする・・・」
マリア「おっさん?」
ネディア「俺の力を封印したんだよ どうにかする方法も知らないし
聞いても答えてくれないんじゃないかな?カタブツだし」
マリア「ふぅん・・・」
マリアが考え混む
マリア「とりあえず会って話を聞くしかないわね」
ネディア「会うの!?」
以外な言葉に驚いてしまう
マリア「このままが一番嫌なのは私よ?私だって何とかしたいわよ」
ネディア「・・・そ・・・そう・・・じゃぁ付いて来て」
マリアがそう言うならしかたないと 二人して天界に向かった
クエリオ「何しに来た」
天界の領域前にクエリオの姿が現れた
ネディア「何ってあんたが封印したこの力を解放しに?」
クエリオ「それを聞いて私が解くとでも思っていたのか?」
ネディア「こっちは正直困っているんだよ 力が無いだけで酷い待遇」
クエリオ「自業自得だ」
どんなに困っている顔をしてもきっぱり返すクエリオ
マリア「ねぇ・・・おっさんってまさかこの人の事?」
クエリオ「お・・・おっさん?」
ネディア「しゃべり方がおっさん臭いでしょ?だからおっさん」
クエリオ「ちょっと待て 主より後に生まれた私がおっさん呼ばわり
される覚えは無いぞ!」
ネディア「見た目や年齢は俺より子供だけどおっさん臭いんだもん
そのしゃべり方」
クエリオ「しゃべり方は人それぞれだろ・・・それを・・・」
ネディア「ネチネチ言うのもおじさんの証拠だし」
クエリオ「・・・ぐぅっ」
これ以上反論しても更に倍返しするのでぐっと我慢する
マリア「そうよネディア おじさんは可愛そうよ ステキじゃない!」
目をキラキラ輝かせる
まるで恋する乙女だ
ネディア「嘘・・・マリアちゃん・・・まさか・・・」
マリア「格好いい」
クエリオ「・・・」
キツイ目つきでじろりとマリアを見る
クエリオ「クエリオだ 生憎私は忙しい身なのでこれにて失礼させて
貰う」
マリアに簡単な自己紹介をするとその場を後にした
マリア「追い掛けていいかしら?」
ネディア「お好きに・・・俺は帰る」
マリア「一人で?大丈夫なの?」
ネディア「俺おっさんあんまり好きじゃないんだよ 話し合いで
なんとかなりそうならよろしく」
マリア「ちょっと貴方の事でしょ!」
そう言うが姿が遠くなるばかり
マリア「もう!」
今は引き返しても無駄足になってしまうので
当初の目的としてクエリオが向かった方向に自分も行く事にした
マリア「クエリオさん」
整然とされた机とは裏腹にその足下は沢山の紙切れで散らばっている
クエリオ「・・・」
ちらっとマリアを見たがすぐに黙々とその机に向かって
仕事をしている様子
クエリオ「何か用か?」
そのまま話しかけてはくれたようだ
マリア「机がキレイなのは良いけれど何でその足下が散らかっている
のよ?」
遠慮がちに様子を探るが目の前の事が気になるようで
つい突拍子な質問をしてしまうマリア
クエリオ「・・・わざわざそれを知りに来た訳では無いであろう?」
マリア「クエリオさんがどんな人なのかを知りにね
これも一つのうちでしょう?」
散らかった紙切れを指差す
クエリオ「そうかもしれんが・・・私を知りたい?変わった奴だな・・・
しかし・・・さんづけは辞めて貰えないだろうか・・・」
マリア「?」
クエリオ「どうにも自分の名前にさんをつけるとおっさんに聞こえて
仕方がない」
マリア「・・・」
そのセリフに若干呆れを感じてしまうマリア
クエリオ「どうしてもさんづけで呼びたいなら白き王子と呼んでくれ」
マリア「何で白き王子なのよ」
クエリオ「私が現れた時 光に包まれた状態だったのを 誰かがそう
つけたと聞く」
マリア「通り名みたいなものね」
自分にも聖母という通り名があるので「なるほどね」と感じる
クエリオ「どうも奴を止めた事が高評価になったらしく王子がついた」
マリア「奴?」
クエリオ「ネディアだ」
マリア「ふーん・・・ 王子は後からついたの?じゃぁその前までは
何て名前だったのよ」
クエリオ「その前・・・その前か?特に無いな」
どうやら通り名が定着したのはつい最近の様である
クエリオ「そうそう・・・白き王子と定着した時一緒に 黒き王子と
奴にもついたな」
マリア「んー・・・?私ネディアの呼び名って聞かないわ
それ以外は何て呼ばれていたのかしら?」
クエリオ「動く毒とか毒人形とか いい呼び名は無いな」
マリア「そう思うと黒き王子はまともな方なのね・・・」
そう呼ばれていた頃のネディアを想像すると
今が信じられない程丸くなった気もする
クエリオ「今日は奴が変わっている様を知った
やはり主が側にいたからなのか?」
マリア「どうなのかしら?はっきりそうですとは言えないわ」
クエリオ「奴の兄がいたら間違いなく封印を解放するくらい
良い方向になっていると言ってもいいだろう」
「ふ」と微笑むその姿は「ドキッ」とさせられる
マリア「ねぇ・・・私を彼女にしなさいよ」
クエリオ「・・・はぁ?」
すり寄るマリアにどう対応して良いか たじたじするクエリオ
マリア「私 貴方みたいな人大好きなの!」
* * *
ネディア「お帰り」
マリア「お帰り じゃないわよ!人に押しつけて」
ネディア「どうだった?」
マリア「貴方ね・・・少しは悪かったとか労いはないの?労いは」
ネディア「労いね・・・ありがとう助かった で?どうだった?」
いい加減な謝り方すぎる
マリア「・・・貴方の思う通りよ クエリオに頼むのはまず無理ね」
ネディア「やっぱりね」
マリア「でも可愛いのよ!女性に対して免疫が無いのか
私がちょっと強引に押すとおどおどして」
ネディア「そこは本気なんだ・・・」
マリアがクエリオを好きなのは冗談であって欲しかったようだ
マリア「冗談で人を好きになれる訳ないでしょ?彼と付き合う事に
したわ」
ネディア「え!?」
意外な事を言われ一際大きな声を出してしまう
マリア「という訳で私場合によっては向こうに行くかもしれないけど
貴方はどうするの?」
ネディア「行く訳ないじゃん 天使嫌いでおっさん苦手なのに」
マリア「ふぅ・・・やっぱり・・・どうするの?貴方折角変わったって
クエリオから言われたのにまた元に戻っちゃうわよ」
ネディア「へー・・・おっさんがそんな事ね」
マリア「あ!貴方にお兄さんがいる話も聞いたわよ」
ふーんという感じでマリアを見るが特に反応はしない
マリア「どんな人なの?いればって言っていたって事は
今はいないのよね?やっぱり言いづらいかしら?」
ネディア「別に言いづらい事じゃないけど どんな人ってバカだよバカ」
マリア「クエリオもそうだけど何で貴方って人の名前呼ばないのよ?」
自分の事はちゃんとマリアと呼ばれているので疑問と言えば疑問だ
ネディア「覚えるだけ無駄な事 俺の生きている時間を考えるとね
無駄なんだよ覚えても直ぐにいなくなる」
笑みを浮かべるがどこか悲しそうだ
ネディア「だから覚えて損のない人しか呼ばないよ」
マリア「貴方と私達は生きている時間が違うものね・・・解るけど」
ヘタな事を聞いてしまった気がする
ネディア「知りたくなくても知っちゃうけどね 世界と繋がっているし」
マリアが懺悔のような顔をするので「平気だよ」と遠回しに伝える
マリア「ああそうね そうだったわね・・・心配して損したわ」
覚えなくても 記憶としてよみがえらせる事の出来るネディアは
知らない人の名前でも世界と通じている為 情報として知れるので
結局無意味な事なのだ
ネディア「あとこれからどうするかって事なんだけど・・・」
マリア「ああそれならもぉ決めたわ」
ネディア「・・・へ?」
マリア「放っておいたら貴方何もいい傾向には向かないでしょうし
だから・・・人間界に行きなさい!」
ネディアに向けて指をさす
ネディア「ちょ・・・待って」
マリア「ダメ!これ以上貴方のワガママには付き合わないわ」
ネディア「・・・」
マリア「天使と人間どっちがマシよ?」
言い聞かせるように問う
ネディア「・・・わかったよ」
マリア「クエリオと一緒に貴方を監視しているから
悪魔界にいてもすぐわかるわよ」
ネディア「わかってるよ・・・」
ため息が漏れる
こうしてネディアを人間界へと放たれた