第12話 何故か増えていく
本当に当人としては仮の代表のつもりだったのだが、意外な効果が有った。
”勇者が国を作った”と聞いた教国に強引に従わされていた人たちも逃げてきた。こうなると建物も食料も足りない。木材が大量に必要だったので木も無くなっていった。当然そうなると動物達の住む所も減る。皆は住める所が増えていいね位の考えだったが、生命のバランスを崩すのは良くなかったはずだ。
これ以上住民を増やさないよう言っても来る人を追い返せない。もう帰れる場所がない人達が多いので生きるため盗賊とかになる方が危険だから。
代表として保護区域と採取区域を分け植林する事を提案した。あとは人口の分散として未開地の開拓も。
しかしなぜ自然が必要なのか理解されない。光合成が酸素がとかいう知識もこの世界は共通なのかも分からないしそれほど詳しくもないため説明が難しい。とりあえず食べれる実がなる木と植物を増やそうねと言う事で決まった。学生の間の勉強も必要だなと思いました。
今の所餓死者とかは出ていないが食料不足は深刻だった。その時魔獣って食べれないのか?と疑問に思った。気になったのでモモに聞いたら
「あれはね、食べれるよ。食べられるけど、食べたくない。量食べたら病気になるし」
「そうなの?病気って?」
「なんか魔獣の体内にある魔力を食べ過ぎると、自分の魔力と喧嘩するみたい。一応魔石って呼ばれる部分に魔力の大半は有るのだけれど、肉の中にも残ってしまうんだって。だから少量なら逆に自分の魔力が増える事も有るらしいけど……あの食べた時の体の中に異物が入ってくる感覚が凄く気持ち悪いの」
「一度食べてみないと分からないか……」
「えっ?食べるの?お勧めできないよ。多分1度食べたらわかると思うけど」
モモの事を信じてないわけではないが実際食べる物が不足している現在贅沢は言えない。
翌日偶然魔獣を発見した。倒して解体して焼いて食った。
これは勧められないなと納得したが、少し疑問に思ったことを試した。
口に入れて”一つになる魔法”を使ってみ魔力を取り込んでみた。結論としては魔力抜けたら普通に肉。美味しくて俺の魔力も増える?多分一つになるで使う魔力も有るので増えてはいないかも。
一緒に居たモモとツバキ姉妹は驚いた。
最初の一口食べた後の表情を見て予想通りだったが、少し考えた後二口目を食べだしたからだ。
意味不明な行動だったが、「普通の肉だ」等と言うのを聞いた。
モモが心配して「ねぇ無理に食べなくても他の食糧探そう」と言ったが
「原因となる魔力を取り除けば普通に肉だったよ」とセートは言う。
サザンカは「それって一応仮説だったはずなのですが、もしかして証明できたのですか?そんな都合のいい魔法みたいなことできるのですか?」
魔法の世界の人に魔法みたいって言われた?
「少し試してみようか。この状態で”一つになる”っと。出来たみたい。食べてみて」
「え?これを食えって?」ツバキは少し離れた。
「気になります。気になりますが勇気が……。後日二人で遊ぶ約束でもあれば勇気が出そうですが」とこちらを見ながら言うサザンカ。
「私のセートへの思いを試されているのかな?いるのかな?」と悩むモモ。
目の前で俺が先に一口食べた。うん、普通の肉だ。
「大丈夫だよ。普通に肉食べるのと同じだよ」
意外に先に食べたのはサザンカだった。「二人でお出かけっ」て言うから「食べたらね」と言うと迷わず食べた。
「美味しい。本当に、普通の肉だ」
それを聞いたモモも食べた。
「わ、私のセートへの思いは本物だから信じてるから……って普通の肉だね」
いつの間にか近くに戻ってきたツバキは
「脂身少ないが柔らかくておいしいな。おかわりは有る?」
と先ほどまでの態度は何だったのか?まあいいか。お肉が増えたよやったね。
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