第11話 これは使える
モモが「私が目になろう」と言い先導してくれた。どこかで聞いたようなと思いながらも進んでいき敵を発見したがまだ数が少なく強くない敵だったので直ぐに殲滅した。
こんなに簡単でいいのだろうかと思うぐらい弱かったのだが、奥の方に金属の塊のようなものを発見。
これって鉄?と思いモモ見聞いたら
「これって魔鉄ってやつだね。魔力で簡単に形が変えれるけど魔力が抜けると普通の鉄になるやつだよ」
「そうなんだ。何かに使えそう……」
「重い割に価値のあるものではないけど持って帰る?」
「そうだね。何かに使えそうなんだが……出てこない」
魔物に住まれないよう入口を破壊しとりあえず鉄を持って帰ることにした。
帰りは戦闘がないことを祈りながら。帰り着いて気付いた。これ車の部品作れるのでは?と。
しかしどう考えても量が足りないし精度もいい物は作れない。まあ趣味の模型と考えたらいいかとその時は軽く考えていた。
少し部品が作れた。しかし本当に少しだけだった。これは他の所にも鉄はないかと探したが、探してると見付からない。
詳しい人に聞くと魔力が多い場所を掘ると見付かるらしいが、趣味の為にそこまでは出来ない。重いし。
実際人口増加のための資材も大量に必要となって来たので現在余裕がない。
なぜここまで人口増加がと思っていたら、例の勇者の噂が原因だったみたい。
教団を撤退させたこの地には新たな勇者がと言う噂が広がったらしい。
運の悪い事に教国の動きが鈍化したところに中央王国が領地奪還の為攻撃。そこから逃げて来たり反中央王国だが教団とは違う派閥の人も集まっているらしい。
一番近い教国は現在こちらには敵意はないみたいなので、即戦闘にはならないだろうが何時まで平和が続くかもわからない。逃げ出したいがこの地に知り合いも増えたし沢山助けてもらった。皆を置いて逃げる気はない。逃げる気はなかったのだが、予想外の事は起こる。
ギルドから呼び出しが有ったので向かうとこの辺りの代表格の方々も集まっていた。人口の急増も有りここで独立した国となることを近隣の集落からも求められているらしい。
「異世界人であり男の君にこの辺りをまとめる代表となってほしい」
「この辺りの代表にですか?代表と言ってもそういう経験とかもないのですが」
「そこは期待していないの。今集まっている色々な国、種族から来た人をまとめるには異世界人は都合がいいのだ」
「象徴的なものになれと言う事ですか」
「命令はしないし出来ない。成ってほしい」
「戦争とかは出来たら避けたいのですが」
「それは同じだ。戦争から逃げて来た者が多い。その集まってできた国が好戦的では笑えないしな」
「まだ若い君には重荷になるかもしれないが我々には勇者が味方だと思えるだけで助かるんだ」
「俺は勇者ではないですよ」
「前回の戦いで君は勇者と呼ばれる様になってしまった。不本意だろうが利用させてもらえないか?」
サクラさんも居たのでパーティーメンバーとして相談した。
「どちらにしても君が狙われるのは間違いない。国としても守ってもらえるならその方がいいのでは?」
もう代表に成った方がいいみたいだ。
「落ち着くまでの期限付きでもよろしければ受けたいと思います。一応確認ですが、政治的なことに期待はしないで下さい」
何故か国の代表にまでなってしまった。もうそういう運命だと思う。2度目の人生だし色々経験出来てお得だと思うようにした。
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