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12.ルティアーノ

ユキとルティアーノが喧嘩をおっぱじめた・・・。


ユキとルティアーノは互いに傍にあった装飾の剣を抜き取り、戦闘態勢に入る。


おいおい、王の御前だぞ!?


このルティアーノとかいうやつ、めちゃくちゃするな!


「おい王様!喧嘩させちゃっていいの!?」


「ふぉっふぉっふぉ。

 若いってのはええのお。

 たぎる、たぎる。

 好きにやらせい。」


なんかこの爺さん、コロシアムの観戦者みたいになってる。


「ユキ!俺が手を貸そうか?」


相手は自称剣聖。


俺が手を貸すべきだ。


「ダメ!

 パンテは手を出さないで!

 これは、私とあいつのケンカ!」


えー・・・。


ユキ、俺なしじゃボコられるぞ!?


するとさっそく、ルティアーノが突っ込んできた!


ガキーン!!!


ユキはそれを受け止める。


ガキーン!!!

ガキーン!!!

ガキーン!!!


ルティアーノは笑いながら何度も剣撃を繰り返す。


まるでユキをもてあそんでいる。


ユキは必死にやつの剣撃を受け止める。


なんということだ、こいつ、親父のティアノよりぜんぜん強いぞ!


突然、ルティアーノは剣を止め、ユキと距離をとる。


そして、かかってこい、と手招きをし、ユキを挑発する。


ユキはその挑発に乗り、ルティアーノ目掛けて突っ込む!


「はああああ!!!」


ガキーン!!!


その刹那、ユキの持つ剣はユキの手から離れ、宙を舞っていた。


ルティアーノがユキの剣を弾き飛ばしたのだ・・・!


ユキはその場に崩れ落ちる。


「チェックメイト!」


ルティアーノはユキに剣先を向けて勝利のセリフを放ち、勝ち誇った顔をする。


「くっ・・・。」


ユキは言葉も出ない。


自身の弱さを痛感しているのだろう。


先刻、ネガティブな発言を繰り返していたばかりだ。


余計に落ち込んでしまった。


「どうだ、俺は剣聖。

 親父の名を借りただけの2世と見るなよ?」


王様が拍手をしながら立ち上がる。


「見事見事。

 勇者殿はまだまだこれからじゃて。

 ぜひともルティアーノよりも強くなってくだされ!」


王様は何かひらめき、続ける。


「そうじゃ!

 剣聖ルティアーノに命ずる。

 勇者殿の指南役となれ!」


「ええええええ!!!???」


ルティアーノは腰を抜かす。


そ、そうか!


こいつは剣聖!


ユキの指南役にはぴったりじゃないか?


ちょっと不仲だけれど・・・。


「ルティアーノよ。

 勇者殿はこれからもっともっと強くなる必要がある。

 その手助けをしてやってくれ。

 よいな?」


「ちょ、ちょっと王様!

 こいつは親父の仇みたいなもの!

 なぜ私がこいつの指南役なんですか!」


王様は言葉を選んでいるのか、少し考えて発言した。


「うーむ。お前はまだ青い。

 今のままでは、将軍として人の上に立たせるにはちと不安じゃ。

 将軍とはな、チカラばかりではない。

 仲間、部下、国を守り抜くという優しさが必要なのじゃ。

 お主の父からそれを学ばんかったかの?

 勇者殿からその優しさを学び取れ!

 よいな!」


王様、良いこというじゃん!


確かに、このルティアーノとかいう男、自分の実力にかまけて、他人を見下す傾向にありそうだ。


こんなやつが将軍になっては、部下がついてこないだろう。


「王様の命とあらば仕方ないですね。

 わかりました。」


「よし。

 というか、やっぱわし、お主を将軍とは認めん。」


「ええええええ!!!???」


ルティアーノはまたまた腰を抜かす。


「お主はまだ精神面の修行が足りん。

 勇者殿と行動を共にし、精神面を鍛えよ!」


「そんなー!

 では、将軍は空席になってしまいます!」


「そんなことか。一時的に副将に将軍をさせればよかろうて。

 今のお主より、副将のほうがよっぽど将軍に適任じゃて。

 ふぉっふぉっふぉ。」


王様はなにげにひどいことをルティアーノに言ってみせた。


「ぐぬぬぬ・・・。

 勇者が来てからというもの、ろくなことが起きん・・・。」


父を引退させられ、自分は父の仇の女の子のお守。


たしかに、ルティアーノにとって勇者の登場は災難かもしれんな。


「なんじゃ、文句があるのか?

 ルティアーノよ。」


ルティアーノは何か言いたげだ。


「いえ、ただ・・・。

 勇者がゴブリンキングを倒したというのが信じられないんです。

 こんなに弱っちいのに。」


この言葉にユキはさらに落ち込む。


平然とユキを傷つけるな、この男は!


「なんじゃそんなことか。パンテオン殿と勇者殿がチカラを合わせればこそ、真の実力が発揮される。

 お主には、勇者殿のチカラの一端しか見えておらんのだ。」


「なるほど、そういうことですか。

 では、その力、ぜひ見せてほしいですね。」


なんと、ルティアーノは再び勇者ユキに戦いを挑み、戦闘態勢に入った。


ユキは力をなんとか振り絞って戦闘態勢に入る。


王様は俺にアイコンタクトをしてきた。


『ルティアーノをボコボコにして懲らしめてやってくれ』という合図だろう。


了解、王様!


ルティアーノが仕掛けてきた。


が、俺はルティアーノの剣撃をサッとかわし、2本の腕でルティアーノの肩をがしっと掴んだ。


そのままルティアーノを宙に持ち上げ、高い高ーいをしてやる。


「貴様!ふざけやがって!!!」


すると、ルティアーノが何か力を籠めると、剣が光りだした。


「スカイリーパー!!!」


なんと、ルティアーノが飛ぶ斬撃を繰り出した!


しかし、俺の3本目の腕でそれを弾き飛ばす。


そして、俺の4本目の腕でルティアーノのうなじに手刀を決めた。


そうして、ルティアーノは気絶した・・・。



<作者あとがき>


次回、ルティアーノメンバー入り!


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