꒰ঌ さよなら僕の天使
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お立ち寄りくださりありがとうございます。
AIイラスト(オリジナルプロンプト生成)を物語の挿絵に使用した超短編未完小説をマルチジャンルで書いております(*´▽`*)
※AIイラストの苦手な方はお気を付けください。
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――ね、笑って!
君はどうしようもなく可愛い。
その無邪気な笑顔、喜ぶ時の明るい声、たまに拗ねてしまう時に染まる頬の膨らみや、長い桃色の艶髪を左耳にかける仕草までも、そのすべての動作から目が離せないほどに素敵で。
そんな君のことが、僕は、大好きだ。
✻ ꕤ ✻
仕事の帰り道、公園近くですれ違う彼女は、いつも可愛い笑顔で彼へあいさつをする。最初は声も出さず会釈程度だった彼も、数ヶ月後には微笑んで言葉を返すようになっていた。
笑顔がこんなに心を豊かにするのかと嬉しい反面、ふと、なぜほぼ毎日ここで会うのかと気になり始める。が、たまたま帰る時間が同じくらいなのだろうと、難しいことは考えないようにしていた。
そんなある夜、突然の雨に近くのコンビニへ駆け込んだ彼は、そこで雨宿りをする彼女にばったり出会う。
その日を境に、挨拶を交わすだけだった二人の距離は、一気に縮まる。
そしてその夜から、彼女の夢を見るようになった。
可愛い彼女との夢。
会話はすぐに忘れてしまうが、目が覚めた時の幸福感は何にも例えようがない。
それからというもの――仕事の帰り道。
変わらず公園の近くで出会う彼女は、今まで以上に屈託のない笑顔で彼に話をした。その明るさが疲れた心身に元気をくれる。仲良くなるにつれ、たまに見せる拗ねた表情や、彼の心配をする時の困り顔。夕陽にキラキラと輝く彼女の瞳と優しい声は『自分だけに向けられている』と錯覚するほどに幸せで、また励みにもなっていた。
それは夢のような時間――――。
疲れ果てた彼の日常に現れた、まるで天使のような存在。
そう……『天使』のような。
季節は過ぎ、冬。
今年はなぜかとても寒いという予報で、雪の降らない地域でも積雪の可能性があるらしいと、世間を騒がせていた。
そんな十一月末――――寒空の下、薄着で待つ彼女が見え急いで走り駆け寄った。こうして自分から声をかけたのは、初めてかもしれないと思いながら。
すると彼女は彼に話したいことがあると真剣な表情で見つめる。
そして打ち明けた秘密――それは、自分が『天使』だということ。だが彼はそれを聞いて、妙に説得力のある話だと感じ、不思議とまったく驚かない。それどころか心の中では頷き、気付けば彼女へ笑顔を向けていた。そんな彼の変わらぬ穏やかな態度に、彼女は少しだけ救われた気がしてホッとする。
しかしまだ、この話には続きがあった。
人間に恋をしてしまった彼女はお咎めを受けてしまう、というのだ。さすがの彼もそれは辛いことだと、そうならないためにはどうしたらいいのか? 問う。しばらく黙っていた彼女は、方法が二つあると答えた。
――それは。
出会った二人の記憶を消去するか、彼女が天界へ帰るか、という二者択一。
聞いた彼は絶望で言葉を失う。
日々当たり前のように、何気なく過ごしてきた彼女との幸せなひとときがもうすぐ終わる……いや、失われるのだと理解する。その瞬間、胸の奥が締め付けられるように痛く苦しくなり、自分も彼女を想っているのだという気持ちに気付く。
しかし今、自分の発言で彼女の行く末を惑わすわけにはいかないと、その想いを伝えないままに、彼は黙って離れた。
あれから、数週間が経った。
――『記憶を消去するか、彼女が天界へ帰るか』
自分の記憶は消えていない。それが意味することとは、きっともうこの世界に彼女はいないのだろうという、悲しい結末だった。
その夜、夢に美しいローブのような服を身に纏った彼女が現れる。だが互いの表情は幸せというよりも、悲しく寂しげで、苦しい思いをひしひしと感じながら、彼はゆっくりと目を開ける。
その頬には、涙の跡がついていた。
だがこれは夢だ。現実ではないのだと言い聞かせ、朝陽の差し込む窓を見つめると溜息をつきながら重たい頭を起こすように叩き、いつも通り仕事へと向かった。
しかしその日の帰路。
彼女と出会い、彼女と言葉を交わした、いつもの公園で。
――ね……笑って?
そう、彼女は。
この日、彼の帰りを待っていた――――。
✻ ꕤ ✻
僕の心にはもう君しかいない。
分かっていた、忘れることなどできないと。
毎晩、夢に見るほどに心惹かれていたんだ。
その羽衣をはらりとなびかせ心に魅せるは、白く透き通るような美しい肌。これまでとは違うその立ち姿は、次第に僕の全身に高揚感を覚えさせる。それは可愛いと思う以上に、眩しいくらいに綺麗だという言葉を思い浮かばせた。
その細い腕は今にも消えてしまいそうだと、叶わぬ未来を考えれば考える程に苦しくなる。
“華奢な身体――触れたい、支えたい、抱き寄せたい”
心の奥で呟いた思いとは裏腹に、僕は君に指先すら触れられずにいる。
なぜだろう……ついこないだまで、あんなに近くで感じていたはずの温もりが、今は何よりも遠くに感じてしまうよ。
君はふと、僕の違和感に気付く。
すると座り込んでいた僕の傍へ舞うように近付き、まるで悪戯をする子供のような表情で微笑む。どうしたのかと僕に、問う。
何でもない、本当に。何もできない……と、素直な気持ちを思わず答えてしまっていた。すると予想外の行動を君は取り、僕の後ろへ回ると背中からふんわりと抱きしめてきたのだ。
まるで、僕の心を読んでいるみたいに。
甘く優しい香りと可愛らしい声は、吐息をもらしながら耳元でささやく。
――愛してほしい、と。
心を解いて、溶いて、問いて。
想いとは、言葉すらいらないことを教えてくれた。
そんな君はなぜか『愛することを知らないの』と、はにかむ。
僕には、愛するという気持ちを、存在を、気付かせてくれたというのに。
寒空の中、しばらく満天の星空に見守られながら、僕らはおおきな三歩分の距離を取りゆっくりと歩く。だがいつの間にか、自然と横に並び、他愛もない話をして笑い合っていた。
そう、それはいつも通りの帰宅道。
何事もなかったかのように会話しながら。
しかし、僕は心の奥で感じ取っていた。
――今日が最後なのだろう、と。
言葉は無くとも、君の潤んだ瞳から決意がひしひしと伝わってくる。
応えたい。
君の願いは僕の願いでもあるから。
最後までその想いだけを、尊重したい。
✧✧✧
夜の帳が静かな時間を繕っていく中、初めて僕から君の雪肌に触れる。その一瞬微動した僕の心奥はもっともっと、君からの愛という教えを乞うように、気付けば耳元にくちびるを触れさせてひとこと、そっとささやいていた。
――愛している、と。
静かな、月夜。
君の髪色はいつもの桃色とは違って見えた。綺麗な……絹のようになめらかなその髪は美しすぎて、目を細め見惚れずにはいられない。
やがて月の光がリボンを落とす。
うっすらと視え始めてきた互いの想いは、重ね合うのを躊躇しているのが分かった。そう、君は手をぎゅっと握り、見せたことのない表情で僕を見つめていたから。困らせるつもりはない、一緒にいられたらそれで嬉しいと僕は微笑み、君の髪を優しく撫でた。
すると少しだけ俯いた後、突然君は僕の頬にくちびるを寄せる。そして耳元でささやいた。
――愛して、くれるの?
少し驚いた僕の顔を、潤んだ瞳が真剣に見つめている。
照らされる月の光のせいか、可愛らしかった君の姿を、別人のように艶っぽく魅せて。
その破壊力は言うまでもない。
鍵をかけていた僕の心……繋いでいたはずの重く固い鎖は、いとも簡単に解けてゆく。僕は自然と君を抱きしめ耳元でささやき、愛撫を繰り返す。そのうちに僕らは身体が浮いているかのように力がなくなり、満ち足りた解放感に堕ちてゆく。
――ね、もっと。もっと言葉で言ってほしいの。
――愛してる……あいしてる……。
大好きな君の無邪気な笑顔は、僕が耳元でささやくたびに頬を染める。やわらかな雪肌は優しく触れるたびに、大人の香りを漂わせた。呼吸が聞こえるほどに近づいたくちびるにそっとキスをすると、紅潮した頬に美しく澄んだひと雫を流す。
ゆっくり、ゆっくりと過ぎていく時間。
――ねぇ、一生のお願い……
『ヒトツになりたいの』
君の一生とは、この世界での終わりを悟らせる。
そう、解っていたんだ。
けれど僕は、君の想いを一番に、願いを叶えたい。
――『わかった』……
それが僕の、願いでもあるから。
熱を帯びた君は僕を受け入れ始める。小鳥のさえずりのような君の声は、くちびるを重ねた僕に封印され途切れる。ゆっくり、ゆっくりと温め合いながら、甘いチョコレートのようにトロけながら。
月の光が影をつくる今宵に。
僕らは溶け合い、ヒトツになる。
✧✧✧
温かな朝陽で眠りから覚めた僕の瞳に、溢れるのは涙の雫。
最後に見た夢は寂しく悲しく、儚かった。
――さよなら、僕の天使。
いつの日か僕が、君のいる世界へ行けるまで。
部屋に射し込む太陽の光は、まるで君の流した輝く美しい涙のように。そこからキラキラと光粒を飛ばしながら揺れるカーテンは、昨夜君が羽織っていた天使の羽衣を思い出す。夢心地な光景が、もうすぐにでも僕を君のいる場所へと案内してくれそうだと、錯覚すらしてしまう。
でも、どんなに想い願おうとも。
君は戻っては来ない。
――覚悟、していたはずなのにな。
僕は泣いた。
何もかもがどうでもよくなるくらいに、まるで子供のように泣いた。
ふと、昨晩、遠のいていく意識の中で、直前に君が言った最後の言葉が蘇る。
『ずっと、忘れない。さようなら……』
そうだ、もう。
この世界に――――君の姿は、ない。
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今回は少し艶のある、ファンタジーな恋を。
最後は寂しいけれど……そんな恋物語でした。
また描けたら(=´▽`=)更新します
もし、お気に召しましたら
また遊びに来てくださいまし〜♫
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お読みくださりありがとうございましたぁ♫
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