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私が国王です!

「王妃様……今、なんと……」


ザワつく国民。

驚く大臣。

あんぐりと口を開く顔だけイケメン五人衆。


もう後戻りはできない。

推しの為だ、頑張れ私!


「私がこの国の、新しい国王だと。そう言ったのです。」


ゲームのレイチェルのように背筋を伸ばして、堂々ともう一度告げる。


「どう言う事だレイチェル!」

「君なんかが国王になれるわけないでしょう?」

「ちょっとレイちゃんどうしちゃったの?!」

「レイレイがおーさまなのぉ?」

「おい玩具!タダで済むと思わないでよね!」


おーおーおー。

ギャーギャーうるさいねえクソ王子ども。

負け犬の遠吠えにしか聞こえねぇわ。


そいつらをチラっと見たあと私は口を開く。


「このひと月、私はこの5人の王子と共に暮らし、誰が国王にふさわしいか見極めておりました。それで分かったのです……彼らは5人とも、国王には相応しくありません!」


「な、ふざけるな……!」


私の言葉に顔を真っ赤にして歩み寄ってきたバンドマンことアレン。

その顔を真っ直ぐ見つめて私は言う。


「第一王子アレン。貴方は権力があれば偉いと勘違いしている愚か者です!そこにどんな理由があったとしても、人を大切に扱えない貴方は暴君にしかならない。貴方は国王の器ではありません!」


アレンは悔しそうに顔を歪める。

ほら見ろ図星じゃねぇかばぁか!


続けてその横でぽかんと口を開けているメガネやろう、ルシウスを見る。


「第二王子ルシウス。貴方は賢く、その能力は素晴らしい。そこは素直に認めましょう。しかしその人を小馬鹿にし見下す態度!人を尊敬できないものが国民を尊重し守れるでしょうか?」


いつも皮肉ばかりのルシウスは珍しく何も言い返せず口をパクパクさせて黙り。

池の鯉か。


そして次に本体泣きぼくろ……じゃねぇや、ルナード。


「第三王子ルナード。貴方のとんでもないナンパグセと女好きに関してはもうこの際何も言いません。もうご勝手に。ですが、目の前のひとりを幸せに出来ない人が国民を、国を幸せにはできません!」


私の言葉にもえー?といいながらポリポリ頬をかいている。

このやろうやっぱりお前にレイチェルやらなくて正解だクソが。


そして不思議長身ボーイのマーリン。

……うん、こいつもう式典飽きたんだろうな。しゃがみこんで石畳にお絵描きし始めてる。


「第四王子マーリン。」


少し大きめに声を掛けると、一応レイチェルの言うことは聞くみたい。

はぁい、と返事をして立ち上がってはくれた。


「貴方はそもそも国王に興味がありませんね。自由を愛し、自分の世界を愛している。ですから貴方は選びません。そのままどうぞ、好きに生きてください。」

「うん、いーよぉ。まーくんもその方が楽しい」


良かった、素直。

お前は好かんが、そういうとこは有難いぞサンキューマーリン。


そして最後に論外クソガキ。

ユーリを私は睨みつける。


「第五王子ユーリ。貴方はとにかく腹黒い!腹黒すぎる!そんな荒んだ心で幸せな国など作れない!論外!」

「な?!ちょっと!なんか僕だけ雑じゃない?!玩具のくせに生意気なんだけど!!」

「それです!人を玩具だのなんだのとモノ扱いするような言動が一番の問題です。人は皆平等。命に差などないのだと気づけないものに国王になる資格はありません!」


ピシャリと言い捨てると、ユーリはぐぬぬと地団駄を踏む。

はーー気持ちいい!

ずーっとゲームプレイしてて思ってたけど直接なんかもちろん言えるわけなかったからホントスッキリ。


「これが1ヶ月、彼らを見て出した結論です。

彼らはまだまだ未熟。それに国王に本気でなりたいようにも見えない。


だから、王妃である私が……王座に就くことに致しました。


私は王族でも貴族でもない。ただ成人の際『王妃』の役職(ジョブ)をたまたま割り当てられた……もとはただの村娘です。ですが、だからこそ。国民の皆さんと同じ目線でこの国を納められる。そう思ったのです。」


なんちゃってなんちゃって。

立派なこと言ってるけど殆ど口から出まかせ。

国民ごめん。

だがこれも私の最愛の推しを守るためなんだ、許してくれ!


「ですが。私は先に言った通り元はただの村娘です。国王教育を受けた訳ではありません。ですので今ここで、国王としての最初の命を下させて頂きます。」


そうして私は王子たちをもう一度振り返る。


「アレン、ルシウス、ルナード、マーリン、ユーリ。五人の王子達に命じます。

貴方達をこれより、私の家庭教師……そして我が国の五大協会のトップに任命します!」

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