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3/10

もしかして?イベント当日!

簡単に説明すると、『ファンタジア』は中世ヨーロッパをモチーフにした国が舞台の恋愛ゲーム。


この国では成人と共に役職(ジョブ)を与えられるのだが、主人公でありヒロインのレイチェルは平凡な村娘でありながら『王妃』に就任してしまう。


だがこの時、前王は亡くなったばかり。

本来なら王が亡くなると自動的に第一王子に国王の役職(ジョブ)が引き継がれるはずなのだが何故か今回は引き継がれず。


王妃だけがいるという奇妙な状況に神官がスキルを使い天からの神託を得ると……王妃が選んだものが次の国王だ、とお告げがあった。


そこでヒロインが、前王の息子である5人の王子の中から次の国王を決めることになり、5週間5人と暮らして結論をだす……というのがこのゲームの始まりである。


簡単に言うと、国王としての仕事を王子たちにお試しでさせることで好感度を上げるゲームシステムだ。


国王の仕事は1週間のうちの五日間。

絶対現実だったらそんなわけは無いのだけどまあゲームだからね。


毎日どのキャラクターに今日の仕事を任せるかをプレイヤーが選択し、一日を共に過ごすことで好感度が上がる。


その仕事の数は週ごとにノルマがあり、そのノルマが最初の週は1ずつだが、毎週少しづつ増えていき、最終週は5回全部を1人の王子にやらせることになる。


つまりその最後に仕事を全て任せた王子が最終攻略対象になる仕組みだ。


その5人の全員のルートを攻略するといわゆるハーレムルート……つまり全員で国を納めるという一妻多夫エンドが解放される。


まあ言ってしまえば別段珍しくないタイプの乙女ゲームである。


だがこの主人公であるヒロイン……私の推しであるレイチェルはとにかく可愛いのにかっこいいのだ。

選択肢がどれもおどおどしていないし、自分からどんどん行動していく様子がとにかく素敵でたまらない。

どの王子のルートでも、一人一人に寄り添っていて。

優しくて可愛くてかっこいい、最強の女の子なのだ。


「でも待って、本当にレイチェルだとしたら……ここが『ファンタジア』、なんだとしたら私……誰か攻略しなきゃならないの?」


そう、レイチェルの役職(ジョブ)は王妃。

つまりは国王のいないこの国のため、出来るだけ早く自分の夫……次の国王を選択しなければならないのだ。


「そうだ、今、レイチェルはお城に来て何日目なんだろ」


そう思い、ふと鏡横のカレンダーを確認する。


綺麗な細い線で書かれたバツ印。

バツ印ですら美しいなんて流石私のレイチェル。


有難いことにめくるタイプのもので、前の月のカレンダーも後ろの方にあった。

前の月の半ばくらいからバツがつき始めているので恐らく城で暮らし始めてから記録しだしたのだろう。


そのバツ印の数を数える。

ひとつ、ふたつ、みっつ………三十。


察するに今日はレイチェルが城に来てから、王子と暮らし始めてからちょうど1ヶ月だ。


「まって、てことは………今日が国王選択イベントの日?!」


そう、主人公が国民に次の国王を発表する日。

それはまさに彼女が城に来てから1ヶ月後……つまり今日なのだ。


まさかその選択の日に自分が転生してしまうなんて!


自分が成り代わる前のレイチェルがどの王子とどの程度の親密度だったのかは分からないが……『王妃』の選んだ者が次の国王だという神託がある以上、誰を選んだとしても恐らく問題は無い。

自動的にレイチェルの……自分の選んだ相手が国王に、そして自分と結婚することになる。


「私が選ぶの?あの絶対レイチェルのこと幸せに出来なそうな男共の中から……レイチェルの旦那を?」


思い出せば思い出すほど顔がひきつる。

ゲームの攻略キャラクターである5人の王子は、恋愛ゲームのキャラクターなだけあって顔はいいのだが……なにせ性格が曲者揃い。


そんな奴らに自分の推しを捧げねばならない……しかもその選択をほかでもない自分がしなければならないという現実を突きつけられ………気付けば私は気を失っていた。

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