婚約者が女好きで困っています
私の婚約者は女好きだ。それは、幼少期の時から良くわかっていた。
婚約者に選ばれたのも、私の持ち前の運の悪さなのだろう。
そもそも、爵位が低い私の家に断ることができるはずがないのだけれど。
「貴女の婚約者のジュドー様とデートしましたの」
わざわざ、私に声をかけてくる令嬢は一定数いるのだ。
私はいつもそれにうんざりとした気分で返事をする。
「ジュドー様がお世話になったようで、感謝しますわ」
「いいえ、こちらこそ、その……、色々と」
そう言ってジュドーとデートをした令嬢は頬を染めた。
きっと、楽しいデートだったのだろう。私はそれを想像して苦々しい気分になった。
婚約破棄したい……。
その思いは日に日に強くなっていく。
「今日、ジュドー様とお会いするので、伝えておきますわ」
「ありがとう」
令嬢は、微笑んで立ち去っていった。
今日こそ、婚約破棄をするわ!結果がどうなろうと関係ない!
私はそう誓うと、ジュドーの屋敷へと向かった。
「アマリリス会いたかった」
ジュドーの屋敷に行くと、彼は嬉しそうな顔で私を迎えてくれた。
「そうですか……、聞きましたよ。デートしたそうですね」
「あ、あれは、その、デートといえばデートだけど」
ジュドーはうっすらと赤く染まった頬を、青ざめさせて口籠る。
「やましい事があったわけではなくて」
言い訳のように言い募るけど、私からしてみれば気分の良い物ではない。
しかし、嫉妬する理由にはならない。やましい事がないのは事実だから。
「相手の方がよろしくお伝えくださいと」
「そ、そう」
「もう、いい加減にしてもらえますか?お互いに下心がないことは分かってますですが、やはり、外の目を考えてください」
私の目の届く範囲で好きな事をするのは別にいい。しかし、外でこんな事をされるのはとてもではないが許せなかった。
「し、仕方ないじゃないっ!」
ジュドーは、とうとういつも通りの口調になってしまった。
しかし、彼のすぐそばにはメイドが控えている。
実は服も筋骨隆々の身体を武装するようにドレスを身につけている。
「ほら!口調!私と二人きりの時以外はやめてと言ったでしょう?!」
私がジュドーの口調を指摘すると、彼は顔を真っ赤にさせて口を開いた。
「いやよ!直さないわ!」
「だけど、私以外の女性の前でそれをするのを控えるという約束だったでしょう?」
「でも!あのデートだってやましい事なんてなかったのよ。コスメを選んでほしいって頼まれただけなのよ」
「でしょうね」
お礼を言ってくれた令嬢のメイクは、一気に垢抜けたものに変わっていた。それは、ジュドーのアドバイスのおかげだろう。
「私は、女の子が大好きなの!」
ジュドーは女の子が大好きだ。
そう、自分がなりたい方面の……。
「分かってます!だからってなる必要ないでしょう!?私以外の女の前で!」
きっと、ジュドーの女好きは直らないだろう。しかし、それを私以外の女性の前で出さないでほしい。
それが、できないのならいつか婚約破棄をするのつもりだ。
たぶん、それは無理だとは思うけれど……。




