第3話 初めてのクエスト
ジョセフは異世界に転移して2日目くらいで美女3人とパーティを組むことになったがいくら何でも、異世界ファンタジーあるあるのテンプレにしては早すぎる気がしてままならなかった。
(完全に俺の異世界生活は順序が間違いすぎて、もしも俺が元の世界に戻って書籍化なんてしようもの間違いなく、読者からの批判殺到間違いなしな内容ばかりだぜ……)ジョセフは帽子の上から頭を掻きむしっていた。
チート能力を授からずに自力で生活してる面に関しては褒めてほしいところではあるが、異世界転移とか転生物てのは読者が感情移入しやすいように大抵は引きこもりかオタクで誰からも相手にされず冴えない虐められっ子で見た目は黒髪黒目の日本人だったりした方が共感を持たれるのだが、ジョセフはオタクとはいえ、ヤンキー10人相手にしても無傷で勝てる現実世界でも強いとされてるジョセフがチート能力等を授かって楽した生活を送る資格なんかないのは自覚していた。
しかも日本国籍のアメリカ人なんていかにも女子からモテそうな設定だと思われがちだがその逆でアメリカ人のくせに日本人アピールして調子になるなと虐められるうえに、中学の頃好きな女の子に勇気を振り絞って告白したけどボロクソに罵声浴びせられたりとジョセフの中学時代は個人的に不幸なものであった。
いきなり異世界来て1日目でゴブリンに殺されかけ一日寝込んだあとはリサと婚約させられ、チート魔法使いのマリーと女騎士テレサと2日目は美女に出会う確率高すぎてジョセフは自分でも気持ち悪くなりそうになっていた。
キノコ採取に向けて丸腰のジョセフは森に行く前にテレサの行きつけの武器屋で装備品を揃えることにした。
「いらっしゃいませ、ってテレサじゃん!」
「すまない、今日は仲間の装備品を揃えるために来たのだが手ごろな価格で買えるものはないか?」
武器屋の外装は年季の入った感じがあってファンタジー感が半端なく、店内は案外、女性も気軽に寄りそうなおしゃれな雰囲気が漂っており、店主が女性であることからジョセフは肩を竦めていた。
「んで、装備品を揃えるお客てのは女みたいな髪を伸ばしてるあんたかい?」
ジョセフのことであった、ジョセフは自分の方へと指をさしながら取り敢えずどんな武器があるか店主に尋ねていた。
「ええ、まあそうなんだけどどんな武器があるんだ?」
「剣に槍、斧、弓矢何でもあるわ」
ジョセフは店にある武器を手当たり次第拝見しては体に馴染むか店主の了承も得て試しに持ってみたりした。
「この剣を3本とランスを1本購入したい」
「剣3本てあんたそんなに剣持って戦争でもおっぱじめる気かい?」
店主はジョセフの慎重すぎる行動に驚いたのかあからさまに不信感を抱いてた。
「予備の予備も持っておいた方がクエスト中に支障があった場合でも対処できると思ってな」
ジョセフはリサと婚約させられたのと同時に謝礼金もたんまり貰ったため勢いよく剣を3本も揃えることができたけどリサと出会ってなかったらこうはいかなかっただろうなと思いながら購入を決意した。
「剣3本にランス1本テレサの知り合いてことだからサービスで金貨2枚頂きます」
この世界での金貨2枚が日本円でどれくらいの価値があるのか分からないが少なくとも金貨1枚につき適当だが1~10万円相当の価値があるということにしておこうと思ったジョセフは自分の財布から金貨二枚を取り出し武器屋の店主に手渡した。
「お兄さんまた今度来てくれたら値引きするから近いうちに来なさい」
武器屋を退店したあとジョセフ達は王都ベイカーハイドの門を潜り、森へと向かった。
森まではかなりの距離を歩き、休憩をはさみながら森の目の前までたどり着いた。
「ここから先は野生の獣やモンスターが生息してるからみんな気を付けるように」
「テレサ、あんた結構森に詳しいわけ?」
「ああ、幼い頃はよく狩りに出かけたりしたことがあったが最近はリサを襲ったゴブリンとか危険なモンスターも増えているな」
(そうか、この森でリサと出会ったのか、どうやらこの森には因縁があるみたいだから次こそは俺も死なないように気を付けなきゃな)ジョセフはもう同じ過ちを繰り返すまいと心の中で誓いを立てていた。
森の中に入りキノコが繁殖してそうな場所を探していた途中に何者かが後ろから尾行しているのが分かった。
「この森はやっぱり何か薄気味悪い気配が薄すと感じるな……長居は危険みたいだから早くキノコを見つけなくては……マリー、詮索魔法とかってあるか?」
「あるけど何に使えばいいの?」
「後ろから誰かに《《つけられてる気がするんだ》》?」
「了解、『スヌーピング』!」
マリーは詮索魔法『スヌーピング』を発動し何か分かったようだ。
「そこにいるのは誰?何で私達をつけるの?」
マリーは後ろを振り向き大声で叫んだ。
「ケッ、バレちゃあ仕方ねえなあ」
「お前は王都にいた…誰だっけ?」
ジョセフはそう言うと周りはギャグ漫画のようにズコーっとこけ始めた。
「ふざけてるのかテメエ、あの街ではよくも騙してくれたじゃないか!」
「貴様!まだ私に用があるのか?」
「んなことはどうでもいい!金だ!金をよこせ!」
ベイカーハイドにいたチンピラは走りながら剣を抜き俺達に斬りかかった。
「仕方ねえ、こうなったら正当防衛だ、死なねえ程度に懲らしめておくか……」
ジョセフが指をバキッボキッと鳴らし攻撃態勢に入ろうとした瞬間だった。
「『マッスルウィークネス』!」
マリーは呪文を唱え、チンピラに発動した魔法が直撃するもダメージはないようだ。
「小娘が、この俺に一体何の魔法をかけたんだ?全然痛くねえぞ!」
チンピラは急に体中がふら付き地面に仰向けに倒れ込んだ。
「殺したのか?」
「まさか?死んじゃいないわよ」
「かっ、体が重い…」
(なんだかチンピラは体が重そうに起き上がっているけど麻痺でもさせたのかな?)ジョセフはそんなことを内心思いながらじっとチンピラを見詰める。
「安心しなさい、体を動かすだけの筋力は残してあるわ、これからはまともに働いて食べることね」
チンピラはワンワンと犬のように泣きながら森から出て行った、少し可哀想な気もしたがあのチンピラが改心してくれれば無益な殺生も避けられるだろうとジョセフは一安心していた。
「一体あれは?」
「筋力を低下させる魔法よ、ああゆうでかい相手にはとても有利になるわ」
マリーは笑顔で俺に説明してくれた。
(やっぱこいつチートだよ、異世界に活躍したといえばゴブリンに殺されかけながら討伐したくらいで美味しいところは殆どがマリーが持っていく、これじゃあパーティの意味が全くないじゃないか……)ジョセフは主人公でありながらマリーに主役の座を奪われるのではと疑心暗鬼していた。
「マリーさん、いきなりあんなことされたら私達の今後の活躍に影響が及ぶ気がしますのであまり一人で突っ込まないでいただけますか?」
「あたし今なんか悪いことしたかな?」
「パーティとは協力するものであって一人で何もかもやればチームの輪を乱し味方まで危険に晒されることになる」
流石はテレサ、騎士なだけあってチームワークを強調するタイプのようだ。
「はいはい、次からはみんなにも活躍できる機会を設けてあげるわ」
マリーは悪びれもせずに分かったような口ぶりで言った。
「チンピラも追い払ったことだしキノコ探しの続きでもするか」
ジョセフはリサ達にキノコ探しの続きをするように促し、キノコ探しを再開した。
時間もあれからだいぶ経ち日も沈みかけていた。
ジョセフ達は森の最深部辺りまで探り、苦労した甲斐があったのか森のキノコを見つけることができた。
「森のキノコやっと見つけましたね」
「それじゃあこのキノコ採れるだけ取って街に帰ろうか、リサ」
「はい、ジョセフ様」
こうしてジョセフ達は森のキノコを採取できるだけ採取し、無事にベイカーハイドへと帰還することができた。
ベイカーハイドに帰ってきたころにはもう夜中になっており、ジョセフ達は空腹感も増していた。
「森のキノコ、確かに受け取りました。今回の報酬を渡します」
受付のお姉さんから銀貨10枚を受け取り、手数料とかその辺りを引かれて手元には銀貨5枚が残り、初めてのクエストクリアを祝ってジョセフ達は盛大に冒険者組合の隣のフロアにある飲食店で食事を楽しんだ。
初めての異世界料理は日本で食べる料理と味を比較すれば塩気が少なめでマヨネーズや塩コショウが欲しいくらいだが異世界で好き嫌いを言ってられる場合ではないのでここでの食事にはなれる必要があるとジョセフは思った。
久しぶりの食事は初めてできた仲間達と一緒に取っているからなのかジョセフは食事を美味く感じていた。
(これからもこの仲間たちと共に異世界生活を過ごしたい!)とジョセフにとってそう思える夜であった。




