プロローグ
宮殿の中から産声があがった。
それは新しい命の誕生で宮殿にいた男は大喜びしていた。
「おお、生まれたか」
この男こそシャーロック・ワトソン、ワトソン王国国王であり生まれたばかりの赤ん坊の祖父でもある。
「陛下、元気な男の子が生まれましたわ」
「うむ、よくぞ生んでくれたオリヴィアよ」
「この場に私のお父様がいらっしゃったならどんなにお喜びになったことだろうか」
「この赤ン坊、左肩に義兄と同じ特殊な痣があるぞ、よし、孫には我が義兄ジョセフ・ジョーンズの名をもらいジョセフと名付けよう!」
赤ン坊にはかつてこの世界を救った地上最強にまで上り詰めた男、ジョセフ・ジョーンズと同じ左肩に特殊な痣を持っていることからシャーロックはかつての若い頃を思い出していたのだ。
「孫のジョセフがすくすくと大きく育ったころにはこの世界の救世主でもある義兄の話を聞かせよう」
「お父様がこの世界を救ってくださったおかげで私もジョセフを元気に出産することができ是非ともこの子に聞かせたいですわ」
そう、義兄のジョセフはこの世の誰よりも強く逞しく、暗黒時代に陥ったこの世界を窮地から何度も救い、今では歴史に名を残す程の伝説的存在。
もし、孫のジョセフが義兄がかつて生活していた世界に何らかの形で転移又は転生したとして義兄みたいにこの世界と同じように世界を救ってくれるだろうとシャーロックは孫のジョセフに大きく期待を膨らませていたのだ。