星の双子に恋するふたり
「チヌカ姉さん」
「ルクル!」
星の国第三王女チヌカと第二王子ルクルは双子の姉弟だ。
姉のチヌカは本来の歳より見た目も心も幼くみえる子供らしい娘であり、弟のルクルは逆に大人びた性格と見た目をしている少年だ。ふたりは星の民に多く見られる藍色の髪と赤い目を共に持っていた。
双子なのに双子に見られない事を多少気にしてはいたので二人の約束でチヌカはふたつに、ルクルはひとつに髪の一部をお揃いの紐で結ぶ事によって周囲にアピールしていた。
そんな二人には血の繋がらない姉弟的存在が居た。
「ルナ姉さんの様子は?」
「うーん…紅の事は『いい人ね』とは言うんだけど…」
「…そっか…紅鏡も『優しい人だよね』とは言うんだけどなぁ…」
仲人として仲を結ぶはずのルナ姫と紅鏡王子だ。
今回、星の国の国王である兄ノチウの命で双子達はルナ姫と紅鏡王子の仲を取り持つ事となった。
ふたりは一年前ルナ姫と紅鏡王子と初めて対面した時
『 私/俺 達の事は本当の兄弟のように思ってほしい』
と伝え、ルナ姫は双子達の事を実の妹や弟のように、紅鏡王子は双子達の事を実の姉と兄のように慕ってくれている…と双子達は感じていた。
しかし、自分達になつくばかりで肝心の2人の仲が進展してないように感じるのだ。
「ルナお姉ちゃんったら照れてるのよきっと!だってこの前ふたりが暁の刻にこっそり会ってるの見たもの!」
「本当か!?だったら紅鏡も照れてるんだなきっと」
「私達に進展教えてくれたっていいのにねぇ!」
「いくら俺達が仲人と言ってもそりゃ恥ずかしいだろ?姉さん」
「ぶーっ!!!」
ルクルが言うとチヌカは頬を膨らませた。
「…あの2人、上手くいくと良いねぇ」
「いくさ、なんたって俺達のお墨付きな2人なんだぞ?」
「それもそっか!」
双子達は呑気だったが知らなかった。この裏で秘密のやり取りがあった事に。
あの2人の本当の恋してる相手は
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「ルナ姫」
「…紅鏡様」
双子達が話をしている間、密かな密会が開かれていた。
「…姉さんの様子は?」
「別にいつも通り。『ルナお姉ちゃん!!!』って甘えてくるの。…ルクルの様子は?」
「こっちもいつも通り。剣の訓練で上手くいったら『紅鏡、よくやったな』って頭を撫でてくるんだ兄さんは。身長もあまり変わらないのに」
そしてしばしの沈黙のあと
「…お互い進展しないわね」
「そうだね…こっちとしてはもう我慢出来ないんだけど」
「もう、あの子を本当の意味で抱き締めたい。本当の愛で抱き締めたいのよ私は!」
「僕だって!もう子供じゃない!本当の意味で抱きたいんだ!」
「…そうね、しばしの辛抱よ。次の月食の日までに、お互いがお互いの好きな相手に告白するそういう約束よね」
「あぁ」
そしてふたりはお互いの決意を確かめるようにこう言った。
「僕は『ルクル兄さん』に」
「私は愛しい『チヌカ』に」
「「自分の愛を伝える」」
このふたり、
ルナ姫はチヌカに
紅鏡王子はルクルに
それぞれ恋をしていたのだ。
年齢は
ルナ姫>双子>紅鏡
の順です。