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救えない■と降り続ける□

救えない仲間と降り続ける歌声

作者: ホタル。

二次創作です。

歌を自分なりに文字におこしたやつです。

 

 過去の記憶が曖昧だ。

 忘れるべきではないこと。

 忘れたいこと。


 未来というのは曖昧だ。

 選択肢がいくつものあり後悔ばかりする。


 夢というのは曖昧だ。

 どこまでが現実で、どこまでが夢の中なのか。

 はたまたこれすらも夢なのか。


 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


 これはとある勇者とその仲間たちの物語である。


 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


 ここは魔王が支配する剣と魔法の世界。

 魔王を倒せれば『約束された100年の平和』が訪れる。

 その平和を手にいれる為に勇者は魔王を倒す。

 なんの因果か100年後には蘇ってしまう。




 僕の名前はユーシャ12歳。

 生まれた時から運命は決まっていたのかもしれない。

 他の道は思い浮かばない。

 名前からして職業をアピールしているようなものだ。

 勇者になる。

 それが夢であり今の目標だ。

 お父さんは剣の道場を開いているくらい剣術に秀でている。

 お母さんは国の宮殿魔術師をして()()

 性格上の問題で解雇されたみたいだけど....。

 そんなとても恵まれた家に生まれた僕。

 今日は剣術の稽古をする。

 お父さんの剣術は二刀流だ。

 普通の剣と短剣の二刀流を使う。


「腰が甘い、遅い、そんなんじゃ実戦で使えないぞ」

「はい‼」


 お父さんに木剣を打ち込むがすべてを防がれる。

 もちろん体格差の問題もあるかもしれないがそれを言い訳にするとお父さんに怒られる。

 ケンタウロスという魔物がいるが背丈が3mもあるという。

 だから体格差を言い訳にはできない。

 剣術の稽古は夕方まで続いた。


 稽古が終わるとお父さんとお風呂にはいる。

 その時毎回のように言われる事がある。

「剣を習うなら命を救えるくらい強くなれ」と。

 そんなのは当たり前だ。

 命を救わずになにが勇者だ。

 そんなのが当たり前だと思っていた。



 朝露が宝石のように輝いている。

 今日は魔法の練習の日だ。

 魔法はお母さんに教えてもらう。

 魔法には火水風雷土の5つがありそこから複合魔法で更に増えていく。


「じゃあ前回出来なかった上級土魔法と雷魔法の練習をしようね」

「はい」

「上級土魔法は主には防御や罠に使う。防壁を作ったり落とし穴を作ったりとね。

 逆に上級雷魔法は制御が難しくあまり使われないの。威力はトップでしょうけどね。

 じゃあ土魔法からやってみてね」

「はい。上級土魔法サンドウォール」


 この世界の魔法はイメージを通して発動させる。

 つまり自分の意志が強ければ強いほど素早く魔法を発動させることができる。

 もちろん才能も必要だろうが自分は才能がある。

 頑丈な鉱石だけを集めるイメージをしてそれで壁を作る。

 ガガガガガガガガと音をたてて壁が完成する。


「良くできました。流石ユーシャだわ」

「次は雷魔法ですよね」

「そうよ。じゃあ見本を見せるわね。

 上級雷魔法サンダーボルテージ」


 雷雲が木の上に発生しそこから光が、それに続きドゴーンと音がして木が裂けて燃えている。

 あれ?

 あの木ってお母さんが大事にしてたリンゴの木じゃ....。


「あーーーー、リンゴの木がーーーー」

「お母さん....」


 お母さんはなにかとドジである。

 そしてこういうとき物凄く鬱になっちゃう傾向がある。


「上級雷魔法サンダーボルテージ」


 その燃えている木に更に撃ち込む。


「あーーーー」


 あれ?

 逆効果だったのか?

 こうすればお母さんは僕の事を怒って鬱にならないと思ったけどダメかな。


「ごめんなさい、お母さん」

「いえ、大丈夫だわ。もう1回植えればいいのよ」

「でもリンゴの木って育つまでに4年から5年くらいかかるよ?」

「そうだったー」


 余計な一言だったかも....。


「どうしたんだ?」

「あっ、お父さん。お母さんが大事にしてたリンゴの木を魔法の的にしちゃって」

「そういうことか。まぁ気長に待てばいいだろ。リンゴができるまで楽しみは増えるんだから」

「そうね、そうよね」


 あっ、元気になった。

 流石お父さんだ。

 お母さんの機嫌とりが上手い。

 その後も魔法の練習を続けた。

 今日までの練習で上級魔法をすべて覚える事ができた。

 次は超級魔法の練習か複合魔法の練習だろう。




 あれから4年の歳月が過ぎた。

 リンゴの木は赤い果実を実らせた。

 今日から勇者になるためにユーシャ16歳は旅にでて強くなる。

 仲間を集めて魔王を倒す旅にでる。


「頑張れな。なにかあったら帰ってくるといい。

 あとこれをやる。剣は持っとかないとだろ」

「ありがとう、お父さん」

「ねぇユーシャ。本当に行っちゃうの? まだ行かなくてもいいんじゃない?」

「ううん。もう行くよ。決めたんだ」

「そう....。気をつけて行ってくるのよ」


 あーー、お母さんが泣きだしちゃった。

 お父さんも困ってるよ。

 それに僕まで涙が....。


「行ってきます」

「「行ってらっしゃい」」


 こうして僕、ユーシャは旅だった。

 のはいいが仲間はいないし特に予定を決めてなかった。

 流石に帰るには早すぎる。


 ん?

 あんなところに女の子がうずくまっている。


「まだたてますか?」

「はい」


 そう言って彼女は僕の手を取り立ち上がった。

 とても美しい彼女は元気がないように見える。


「僕はユーシャっていうんだ。これから魔王を倒すために仲間を集めようとしてるんだ。

 お父さんはね――――」


 ――――彼女を町に送りとどける間に色々な話をした。

 時おり見せてくれる彼女の笑顔はどこか悲しげに見えた。

 町につくと彼女は用があると行ってしまった。

 結局名前は聞いてなかったな。



 気持ちを切り替えて魔物が出るという森にやって来た。

 とりあえず森に入り魔物退治を始める。

 ゴブリン、スライム、スライム、スケルトン、スライムと着実に倒していく。

 素材をある程度手に入れて町に向かう。

 道具やに売れるだけ売ってお金を集める。

 うん、まあまあだな。

 そしてまた森にでて魔物退治を始める。

 スライム、ゴブリン、ケンタウロスと倒した。

 ケンタウロスは少しだけ苦戦してしまったが怪我はしなかった。

 1人じゃ大変だけどパーティーを組んでくれる人がいない。


「聞いたか? あの伝説の歌姫が歌を歌えなくなったらしいぞ」

「聞いた聞いた。なんでも両親が亡くなったのがトラウマになったらしいな」

「それで行方不明ってな」


 ここ最近はこの話題で持ちきりだな。

 歌姫か、あの時の子がそうだったりしてってな。

 ってそんなわけないか。

 そのまま年月が経っていく。




 住み慣れた町をでてからどれくらい経っただろう。

 冒険者ギルドで依頼がないか探してみる。

「伝説の歌姫失踪」「家の猫を探してください」「行商の護衛を」「遺跡の探索」「誰か彼女になってー」

 色々なクエストがある。

 その中の山賊の捕獲を受注した。

 その為に山賊たちがいるであろう山に来たわけだ。

 ガサガサと音をたてて違う方向から二人の男女が現れた。


「僕も連れて行って。二人なら大丈夫だろ?」

「じゃあ私も連れて行って。」


 自分よりも背の低い男の子と、弓を持った女の子が仲間になってくれた。

 背の低い男の子はタルンといい2丁拳銃という特殊な武器を使う。

 弓の女の子はベルというみたいだ。


「ありがとう。正直1人じゃ心細かったんだ」

「なんのクエストだ?」

「山賊の捕獲ね」


 3人で地図にない畦道(あぜみち)を並んで歩く。

 誰が最初に歌ったのか3人で鼻歌を歌いながら進んでいく。


「来たぞ‼」


 足音と同時に山賊たちが四方八方から現れた。

 囲まれてしまったというわけだ。


「さぁ、金目の物を出してもらおうか。そしたら命だけは助けてやる」

「ふん、そんな交渉に乗るかよ」


 僕はそういうとベルが敵の1人に矢を放つ。

 それは見事に当たり戦いの火蓋が切っておとされた。

 タルンは2丁拳銃を使い敵を戦闘不能にしていく。

 僕はリーダー格の男と対峙する。

 相手が振るう剣を短剣で防ぎながらもう片方の剣で攻撃をしていく。

 数回攻撃をすると降参したのでロープで縛り連行する。

 お互いがお互いを邪魔せずに上手く戦えた。

 特に2人は命中精度が物凄くいい。

 だから心配することなく戦える。


 冒険者ギルドに行き山賊の身柄を引き渡す。

 そしてパーティー申請をしてパーティーになった。


「じゃあこれからよろしくな、タルン、ベル。」

「こっちこそな」

「うん」


 そしてここのギルド界隈では結構有名なパーティーになった。




 それから数年、今は髭がよく似合う大魔導師のグラスという男と、ラビット族の拳闘士のシュータという女の子がが仲間になり総勢5人となった。

 5人の共通点としては全員歌が大好きというところだ。

 どこか行くとなるとみんなで歌いながら目的地まで進んでいく。

 類は友を呼ぶって感じで仲間になった。



 今日はドラゴン退治のクエストを受注した。

 ドラゴンのいる場所までは結構な距離がある。


「ドラゴンですか。私も始めてですね」

「ねぇねぇ、そのドラゴンって美味しいの?」

「いや、ドラゴンは食べないだろ」


 グラスもドラゴン退治はしたことがないらしい。

 シュータの本気かとれない言葉にタルンがツッコミをいれる。


「あ、あそこ」


 ベルが指を向けた方向には男の子が座っているいる。

 あれはウルフ族かな。

 なんか泣いているみたいだ。


「どうしたの?」


 肩に手をかけるとパンと払われた。

 なにかとても辛いことがあったのだろう。


「辛かったね」


 やさしく頭を撫でてあげる。

 それには抵抗をせずになにかが切れた。


「うわぁぁぁぁん、そうだよ。俺辛かったんだよぉぉぉ」


 大声で泣き出した。

 誰にも相談できず本当に辛かったんだろう。

 なんでも家族や友達をドラゴンに殺されギリギリで逃げてきたらしい。

 でも1人で逃げてきた後悔と、仇をとりたくても力がないからという現実に打ちのめされてたらしい。


「僕たちのパーティーに入らないかい?」


 そんな言葉が口から溢れた。

 1人じゃ出来ないことも仲間となら乗り越えられる。

 それをこの仲間たちに教えてもらった。

 だから1人でも救えるものは救う。


「僕たちのパーティーで一緒にドラゴンを倒そう。その為にここに来たんだ」

「俺で、いいの?」

「君がいいんだ。僕はユーシャ。よろしくね」

「俺はノン、ありがとう。よろしく」


 ノンは槍を持っている。

 また誰かが歌い出して、みんなで歌いながら進んでいく。

 ドラゴンまでの道のりは長いけど、歌って疲れを吹き飛ばす。

 歌の力は凄い。

 ノンも少しだけ落ち着いたみたいだ。


 そしてやっとの事でたどりついた、ドラゴンの巣、洞窟。

 血の臭いや、腐った臭いがする。

 この洞窟の中にいるのだろう。


「みんな準備はいい?」


 後ろを向いて確認すると無言で頷く。

 松明に火をつけてゆっくりと洞窟に入っていく。


「グギャァァァァァァァァァァァァァ」

「なっ‼」


 まさかの後ろからドラゴンが来た。

 狩りにでも行っていたのだろう。

 今は正しく背水の陣だ。


「陣形を整えろ。シュータ、ノン行くぞ」


 前衛の3人で攻撃を仕掛ける。

 僕は二刀流で着実に傷をつけていき、シュータは力強いパンチで体を凹ませる。

 ノンは槍を器用に使い足に穴を開けている。

 後衛の3人は魔法、銃、矢を放ち確実にダメージを与えている。

 ドラゴンはブレスを吐き前衛は火傷を負ってしまう。


「家族の仇だーーー‼」


 ノンが投げた槍が胸に刺さりドラゴンの動きが止まる。

 ドラゴンは必死に羽を動かすが飛べずに地面に伏した。

 そのままドラゴンは息をひきとった。


「やったー‼」


 ノンが喜びそれに伝染してみんなで喜ぶ。

 ノンは家族の仇をとれたわけだ。

 ドラゴンの素材をとり残りは火葬する。

 ドラゴンの集めていた財宝も持って帰る。


「ノンは家族の仇をとれたけどこのあとはどうするの?」

「もしも迷惑じゃなければ俺もこのままパーティーに入れてほしい」


 目的を達成したから抜けるかもしれないと思った。

 けどそれはいらない心配だったみたいだ。




 ドラゴンを冒険者ギルドに売り払いクエスト完了だ。

 これで強い仲間が6人になった。

 でもこれじゃあまだ魔王を倒すことはできないだろう。

 魔王の強さは未知数だ。

 だから迂闊に行くことができない。


「ねぇねぇ、これ行かない?」

「どれだ、タルン」

「この遺跡の探索ってやつ」

「面白そうですね、遺跡ですか。何時ぶりでしょうか」

「グラスは遺跡に行ったことがあるの?」

「はい、まだ誰も入ってない遺跡だったのでお宝は良いものが多かったです」

「お宝って食べれるの?」

「お宝は食べ物じゃないからな、シュータ。よし、この遺跡の探索クエストを受注してくるよ」


 次のクエストは遺跡の探索に決定した。

 この遺跡にはいくつかのパーティーがチャレンジをしているが制覇できたパーティーはないらしい。

 だからお宝も余っているだろう。




 馬車で1週間かけて遺跡の前まで来た。

 ドラゴン戦の傷は癒えて準備は万全だ。

 ゴーレム、スーパースライム、ケンタウロス、ミミックと出てきた魔物を順調に倒して奥に進んでいく。

 どれも今のパーティーだと怪我をせずに倒すことができる。


 1階層、2階層、3階層と進んでいくと開けた場所に出た。

 ここまで進んだというパーティーはいないと冒険者ギルドで聞いている。

 とても沢山の魔物がいた。

 それも今までよりも強い魔物が。

 レッドケンタウロス、アイアンゴーレム、ヴァンパイア(もどき)とそれに囲まれている2人の冒険者。


「あれは、助けないと」


 いち早く気がついたベルが矢を放ち気をこっちに引き寄せる。


「みんな戦闘体制」


 後衛の3人が撃ち漏らした敵を前衛の3人で倒していく作戦でいく。

 ヴァンパイア擬は弱く問題ないし、アイアンゴーレムは硬いだけでそこまで驚異ではない。

 でもレッドケンタウロスは攻撃力が高く消耗戦になる。

 攻撃を避けつつ1体1体確実に仕留めていく。


「危ない」


 隙ができたシュータにレッドケンタウロスの拳が降り注ぎ地面に叩きつけられた。

 守ろうと向かったが間に合わなかった。

 レッドケンタウロスを倒してシュータに駆け寄る。


「しっかりしろ」

「グッ、大丈夫だよ....ユーシャ」

「なにが大丈夫だ」

「あの、私、回復します。大回復魔法コンプリートリカバリー」

「これは‼」


 回復魔法を覚えている人は少ない。

 否、そう簡単に覚えられないんだ。

 物凄く辛い練習をしてやっと出来るものが回復魔法だ。

 シュータの傷はどんどんと治っていき気がつくと完治していた。


「ありがとう、代表してお礼をするよ」

「いえ、命を助けていただいたのはこっちですよ」

「私からもありがとう。もうダメかと思ったわ」

「いえそんな。私たちはもう死ぬのかと思っていたところでした。私はフウです」

「僕、ワール」


 フウは女の子で回復魔法が使える子だ。

 ワールはちょっとポッチャリで琵琶レレという特殊な武器を使う。

 主に援護魔法をかけられるらしい。


「あの私たちをパーティーにいれてもらうことって可能でしょうか」


 後ろの仲間たちを見るともちろんという顔で頷いている。


「もちろん喜んで。僕たちのパーティーはルールがありません。上下関係もなしです。主に僕がこのように代表して話をするくらいです」

「わかりました。よろしくお願いします、みなさん」

「よろしく」


 フウとワールはみんなに自己紹介をしてすぐに仲良くなった。

 ワールの楽器の音はとても綺麗で楽しくなる。

 口数は少ないけど楽器を弾いている時の彼はとても誇らしげでいい。

 ワールの音楽にあわせて歌いながらさらに奥へと進んだ。

 が、ここが最後の階層だったみたいですぐにお宝にありつけた。

 珍しい鉱石や強い剣、がらくたのような砂時計などがあった。

 みんなでお宝を分配して僕はがらくたのような砂時計をもらった。


 また1週間をかけて町に戻る。

 次は2人増えた状態で。


 町に帰るとみんな騒然としていた。

 なんでもある家から爆発が起きて大変なことになってしまったらしい。

 そしてその事件の犯人はまったく反省していないということ。


「ユーシャ、もう長い付き合いだからお前が思っていること当ててやる」

「えっタルンわかるの?」


 タルンとベルは同時に仲間になったから自分だけわからないのかとオロオロしている。

 タルンが口を開けたと同時に僕が思っていたことも言う。


「「その人をパーティーにいれる」」


 見事にハモった。


「これは何て言うか」

「そうですね」


 おいおい、みんな呆れちゃってるよ。


 そんなみんなでその爆発が起きた場所に行く。

 うん、多分あの人だろう。

 ビーカーに薬品をいれて何かの実験かな?


 ボンッ‼


 と急に音をたてて爆発した。

 被害は特になかったからよかったものを。


「はじめまして、僕はユーシャっていいます。よければ僕のパーティーに入ってくれないかい?」


 握手を求めるように手を前にだし聞いてみる。

 その人は二つ返事で了承してくれた。


「うん、いいよ。自分の名前はアルベラです。よろしく」


 アルベラは男で薬品による爆薬を武器とする。

 薬や薬草にも詳しくてとても頼りになる。

 これで強い仲間が9人になった。そろそろ魔王を倒しに行った方がいいだろう。

 魔物の動きが活発化してきているためはやく魔王を倒す必要がありそうだ。

 冒険者ギルドに行き魔王討伐依頼を受注する。

 なんでも1回王国に行き国王様に挨拶をしなくてはいけないらしい。

 馬車で3日かけて王国にむかう。




 王国はとても広く活気に溢れている。

 国王様に会いに来たと伝えると謁見の間に通された。


「国王様のおなーりー」


 その言葉で扉が開き国王が席につく。

 僕たちは片膝を床につけ腕を胸の前に持っていくポーズをとる。

 これはさっき習った。


「面を上げよ、勇者とその一行よ」


 国王の指示に従って顔をあげる。

 国王は顔が整っていてとても優しそうな顔をしている。


「勇者よ、近衛騎士を2人ばかり連れていってはくれないだろうか」

「それは理由を伺っても?」

「勝手な話だが見届け人としてな。魔王がどういう最後だったのかを私に伝えてもらう為だよ。ルノルル、マルク前に」


 国王に呼ばれた2人は僕の前に来た。


「よろしくお願いしますマルクさん、ルノルルさん」

「呼び捨てで構わん」

「私も同じく」


 マルクは男でルノルルは女で武器は2人とも盾と剣を使う、うちのパーティーにはちょうどいい人材だ。

 2人と握手をかわしてこれで総勢11人になった。

 みんなそれぞれ強いから魔王も倒せるだろう。


「それでは準備ができしだい魔王討伐お願いするぞ」

「はい」


 代表して僕が返事をする。

 それから謁見の間を出てこれからの予定をたてる。

 1週間の休憩後に旅立つ。

 それまでは自由行動にすることにした。

 クエスト続きで疲れてくしちょうどいいだろう。


 宿屋で目が覚める。

 魔王討伐に行くまであと6日。

 昨日はあっという間だったな。

 今日は鎧の手入れをしよう。


 宿屋で目が覚める。

 魔王討伐に行くまであと5日。

 とても短いだろう。

 武器の手入れをして回復薬の調達をすませる。


 宿屋で目が覚める。

 魔王討伐に行くまであと4日。

 お母さんとお父さんに魔王討伐にあと4日でいくという趣旨の手紙を書いて送る。


 宿屋で目が覚める。

 魔王討伐に行くまであと3日。

 まだかまだかとはやる気持ちを抑えられない。

 魔王はどのくらい強いだろうか。


 宿屋で目が覚める。

 魔王討伐に行くまであと2日。

 緊張で胃を締め付けられて吐き気がする。

 もっと勇者として落ち着かないと。


 宿屋で目が覚める。

 魔王討伐に行くまであと1日。

 とうとう明日に出発だ。

 今は緊張よりも不安が大きい。

 自分で勝てるだろうか?


 宿屋で目が覚める。

 魔王討伐の当日。

 みんなが時間には王国の門に集まった。

 特別なテレポートの石盤で魔王の住む城まで行く。

 あっという間だった。

 半年かかる距離を一瞬で移動してきたのだ。


「みんな、行くぞ‼」

「「オーーーーーーーーーーー」」


 みんなで魔王の城に入る。



 出てくる魔物はキングコブリン、スケルトンドラゴン、ヴァンパイアと今までで1番強い。

 みんなで協力して1体ずつ倒していく。


 そうすると大きな扉の前まで来た。


「とうとうついたな」

「やっとか」

「開けるよ」

「「うん」」


 扉に手をかける。

 扉は重くゆっくりと開いていく。

 そこには1人の悪魔がいた。


「ふははははは、残念だが魔王はこの先だ。お前たちは――――」

 ――――バンッ‼


 タルンが先制攻撃で悪魔の額を撃ち抜いた。

 悪魔はそのまま地面に伏して動かなくなった。

 一応首は落としておく。

 これで次こそ魔王がいる。


「みんな、準備はいいか」


 緊張からかみんな無言で頷いている。

 小さな扉を開けると魔王が椅子に座って待っていた。


「フム、来たようだな」

「あぁ、魔王を倒すために仲間を集めてやって来た」

「所詮人が何人増えたところで変わらないがな」


 魔王は立ち上がりその大きな体を見せつけてくる。

 町の教会くらいの大きさだ。


「みんな、戦闘体制」


 前衛と後衛にわかれて配置につく。

 後衛が先に攻撃し、前衛のみんなで突撃する。

 僕は必死に攻撃をして倒すことだけを考える。

 グラスの放った必殺の魔法を魔王が跳ね返しグラスに当たった。


「グラスーー‼」

「ユーシャ殿、戦いに集中を」


 ルノルルに諭された。

 そんな事言ったって仲間なんだぞ。

 次に魔王の必殺の剣がシュータとノンに当たって2人は吹っ飛ぶ。

 更に魔王の必殺の魔法がフウ、ワール、アルベラを巻き込んでいく。


「やめろーーーー‼」


 怒りで周りが見えていなかった。

 自分に剣が向いていた事に気がつかなかった。

 それをルノルルとマルクが盾になることで守ってくれた。

 が2人は動かなくなった。

 死んではいないく、気絶だろう。

 クソ、なんで上手くいかない。

 魔王は自分に目をくれずタルンとベル目掛けて魔法を放った。


「さぁ、残ったのはお前だけだぞ、勇者よ」


 周りは仲間が倒れている。

 なにが間違っていた。

 なんで勝てない。

 多分僕たちのパーティーは1番と言っていい強さだろう。

 なのになぜ。


「グゥゥゥゥゥゥゥ、なんだその光は」

「なっ‼」


 突如ポケットが光だした。

 中に入っていたのはあのがらくたのような砂時計だ。

 いや、名前がついている。

 刻限の砂時計と。


 * * * * * * * * * *


 僕は何を‼

 ここは魔王討伐に行く前に止まっていた宿屋だ。

 日付は国王に謁見をした次の日だ。

 どういうことだ?

 あの砂時計‼

 ポケットを確認すると球体の中に砂時計が入った状態に変わっていた。

 名前を刻限の砂時計とあの時見たのと同じだ。

 ある程度能力はわかった。

 これはタイムワープ出来る道具なのだろう。

 次こそは、敵の行動パターンもわかっているから勝てるはずだ。



 1週間たち魔王討伐に行く日がやって来た。

 次は失敗しない。

 特別なテレポートの石盤にで魔王の城まで行く。

 魔王の城に入って敵を葬っていく。

 もちろんあの変な悪魔もタルンが瞬殺だ。

 そして小さな扉を開けると魔王が椅子に座って待っていた。

 前回と同じだ。


「フム、来たようだな」

「....」

「そうか、魔王と話すつもりはないと」


 魔王は立ち上がりその大きな体を見せつけてくる。

 相変わらずとても大きい。


「みんな、戦闘体制」


 魔王も含めてみんな前回と同じ攻撃をしている。

 グラスの放った魔法を魔王が跳ね返すがそれを斬り被害を抑える。

 これで波は変わったはず。


「デスフレイム」


 なっ‼

 前回はそんなの使ってない。

 魔王は器用に自分だけ残しやがった。

 感じる事が出来る。

 みんなはもう生きていない。

 コイツの性格は物凄くクソだ。


「さぁ、残ったのはお前だけだぞ、勇者」


 僕は無言でポケットに手をいれ刻限の砂時計を強く握る。


「もう1度チャンスを」


 それに応えるかのように刻限の砂時計は光輝いた。


 * * * * * * * * * *


 戻って来た‼

 ここはあの宿屋だ。

 どうすればいいんだ。

 ここに戻るせいで逃げたくても逃げられない。

 国王に報告したから指名手配されてしまう。

 とりあえず1週間の猶予はある。

 その間に出来ることを調べるんだ。

 過去の文献を読んで魔王の弱点を探したりも出来るはずだ。

 それにこの刻限の砂時計は何回使えるかがわからない。

 だからやり直し戦法はよくないだろう。

 じゃないと大事なものが守れない。

 今日は魔王討伐に必要な物を揃えて武具の手入れをする。


 目が覚める。

 魔王討伐に行くまであと5日。

 大図書館と呼ばれるこの国1番の図書館に来た。

 魔物のカテゴリーで調べるが出てくるのは今まで倒した勇者と仲間の紹介などと、なかなかいい情報は入らない。

 刻限の砂時計についても調べるがどこにもなかった。


「やっぱりダメなのかな」


 諦めようとした時に目に留まった物がある。

 物と言っていいのか?

 そこには綺麗な青い鳥がいたのだ。

 なんでこんなところに?

 窓などはなく入るには扉を通らないとだろう。

 そこには門番がいて鳥などいれる筈がない。


「チュン」


 と鳴いて飛んでいく。

 なぜか青い鳥が何処に行くのかが気になる。

 ついていく事にした。

 体を鍛えているのになかなか追いつく気がしない。

 かと言って遠ざかるわけでもない。

 そのまま何処をどう進んだだろうか。

 青い鳥が角で曲がったので僕も曲がるとそこは行き止まりだった。

 否、そこにはいびつな扉があった。

 そして青い鳥はいなくなっていた。


 扉に手をかけ開けると、

 こはとても不思議な場所としか形容しずらい。

 雨が降っているはずなのに体は濡れない。

 そしてボロい本やがらくたなのが置いてあるり、どれも見たことのないものばかりだ。


「そろそろその扉を閉めてくれないかい。雨が逃げ出してしまう」


 そう言われて急いで扉を閉める。

 そうすると音もなく扉が消えた。


「こんなところになにようかな?」

「ここはなんで....」


 声の主を見ると驚いて言葉が止まってしまった。

 カエルが喋っている。

 カエル族はいるけどカエル単体は始めてみた。


「ここはなんですか?」

「ここはしがな――――」

「――――お客様ですか、シトさん」


 カエルが、シトさんの話を遮られた。

 しがないなんなのか気になるじゃん。

 って、こども?


「いらっしゃいませ、ここは古本屋です。どんな本をお探しですか?」


 その少女は従業員らしい。

 どんな本かと言われても気がついたらここに来ていた。

 だから見たいとしたら魔王討伐の方法の本だな。


「魔王を倒すために必要な情報を知りたいんです」

「ほうほう。面白い人生を歩んでいるなぁ。これは興味深い」

「それで置いてないかなーと」

「残念だが君がほしい本はここにはない。だが君の望みは叶えられそうだぞ?」

「それは....仲間を全員助けるということですか?」

「そうだ。君は運よく幸せの青い鳥を見た。だからこれを好機ととるべきだろう」

「その方法は?」

「何で支払う」


 何で支払うか。

 見た感じ置いてあるお金とかは違う種類だから使えないだろう。

 かと言ってなにかいいものを持っているわけではない。


「今の君の拠り所はその砂時計だな。それを頂こう。それで教えてやる」

「これですか」


 これが無くなるのは正直心配だ。

 でもこれで仲間を救えるなら別にいいだろう。


「わかりました。お願いします」

「じゃあそれをそこら辺に適当に置いといてくれ」


 言われたとおり本棚のあいている場所に置く。


「よし、今から君はそれを使った時と同じ時に戻る。そしたらすぐに魔王討伐に向かうといい」

「それは本当ですか?」

「信じたくないのならそれでもいいぞ。シルフィ、準備できたか?」

「はい、できました、シトさん」

「では君はあの扉を通るといい。すぐに魔王討伐に向かうんだぞ」


 そこには光輝く扉がある。

 それを扉を通ると、


 * * * * * * * * * *


 ここはあの宿屋だ。

 日付は国王との謁見の次の日だ。

 急いで仲間に召集をかける。

 みんなは何事か?

 と、急いで来てくれた。

 本当にいい仲間をもった。


「みんな聞いてくれ、やっぱりもう魔王討伐に向かおうと思う」

「それはいいけどどうしてだ?」

「何となくだ」

「そっか」


 みんなは笑って快く承諾してくれた。


 特別なテレポートの石盤で魔王の住む城まで行く。

 あれ?

 なんで僕は計画を前倒しにしたんだっけ?

 記憶が曖昧だ。

 なにか大事な事を忘れているような。

 あの悪魔はタルンが瞬殺した。

 あれ?

 あの悪魔は見たことあったっけ?



 小さな扉を開けると魔王が椅子に座って待っていた。


「フム、来たようだな」

「あぁ、魔王を倒すために仲間を集めてやって来た」

「所詮人が何人増えたところで変わらないがな」


 魔王は立ち上がりその大きな体を見せつけてくる。

 町の教会くらいの大きさだ。


「みんな、戦闘体制」


 前衛と後衛にわかれて配置につく。

 後衛が先に攻撃し、前衛のみんなで突撃する。

 僕は必死に攻撃をして倒すことだけを考える。

 グラスの放った必殺の魔法を魔王が跳ね返しグラスに当たった。


「グラスーー‼」

「ユーシャ殿、戦いに集中を」


 ルノルルに諭された。

 そんな事言ったって仲間なんだぞ。

 なんだ?

 今の光景を見たことがあるぞ。

 次に魔王の必殺の剣がシュータとノンに当たって2人は吹っ飛ぶ。

 やめろ。

 更に魔王の必殺の魔法がフウ、ワール、アルベラを巻き込んでいく。

 やめろ。


「やめろーーーー‼」


 怒りで周りが見えていなかった。

 自分に剣が向いていた事に気がつかなかった。

 それをルノルルとマルクが盾になることで守ってくれた。

 が2人は動かなくなった。

 死んではいないく、気絶だろう。

 これはあの時と同じだ。

 上手く行くんじゃなかったのか。

 魔王は自分に目をくれずタルンとベル目掛けて魔法を放った。

 タルンとベルは2人ともぐったりと倒れている。


「さぁ、残ったのはお前だけだぞ、勇者よ」


 なんでこんなことに。


「どうしたーー‼」


 魔王が魔法を放ってきた。

 斬ろうと剣を振るが上手く斬れずに吹っ飛び地面に伏した。

 まだだ、まだ終わってない。

 片膝をついて立ち上がろうとすると声をかけられた。


「まだたてますか?」

「はい」


 そう言って僕は彼女の手を取り立ち上がった。


「あの時のお礼をするときがきました」


 そう言って彼女は歌い始めた。

 その歌は聴くだけで傷が癒えていき勇気が湧いてくるハーモニーだ。

 彼女は僕が最初に助けた女の子で歌姫だ‼

 倒れていた仲間たちも力をもらったみたいで立ち上がりだした。


「やめろ、歌うな、歌うな」


 魔王は耳を塞ぎとても嫌がっている。


「みんな、行くぞ」


 個人が持てる1番強い攻撃を一斉に魔王に放つ。

 魔王は防ぐ事ができずくらうだけだ。


「これで最後だーーー‼」


 彼女の、歌姫チコの歌声におされるように最後の一撃を魔王に与える。


「グゥァァァァァァァァァ」


 魔王は見たことのない光を放ちながら消滅した。


「「やったーーーー‼」」


 全員で歓声をあげてよろこびあった。


 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


 これは魔王を倒したユーシャとその仲間、チコ、タルン、ベル、グラス、シュータ、ノン、フウ、ワール、アルベラ、ルノルル、マルクの物語だ。


この歌を聴くととても元気が出る曲で辛いときに聴くと涙が出るいい曲。

HoneyWorks さんの『ホーリーフラッグ』

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