第6話
「こうなってしまった以上、奴がどう動くか分からない。中途半端に焚き付けた俺の責任だ、本当にすまん」
佐倉は居住まいを正し、頭を下げた。
「俺が無理言って来て貰った訳だし、佐倉は悪くないよ」
実情としては後手に回っているが、彼が声を掛けてくれなければ、何も知らず気力だけを消耗し続けたかもしれない。
どちらも延長線上に、自分に実害があるかもしれないのであれば、知って対処が出来る方がいい。
「兎に角、長期戦は避けよう」
イレギュラーがある以上、佐倉が今まで見えてきたモノと同じ様に捉えるには危険があると意見が一致した。
幸いな事に、この日は土曜日。
夕方からはバイトの予定を入れているが、短期決戦を仕掛けるならこの週末しかないだろう。
二人は奴が部屋に憑いているモノと、とりあえずの当たりをつけ、日が高くなるのを待って部屋の仲介をした不動産屋に向かう事にした。
寝間着のまま身支度を整えず訪問する訳にはいかないので、一度部屋に戻り着替える事を佐倉は提案したが、これに祐介は抵抗する。
「いやいやいや、別にTシャツ短パンで支障ないでしょ、今すぐ部屋に戻らなくてもいいじゃん」
「俺の荷物も置いたままだし、暫く家に帰るつもりないだろ?一人で戻るのと、二人で戻るの、どっちがいい?」
グッと言葉に詰まる。勿論、一人で戻るなんて選択肢はない。
早期解決を図るにしても、どう転ぶか分からない。
週が明けたら大学もあるので、外泊するには荷物は必要だ。
背に腹は代えられず、渋々提案を承諾した祐介は佐倉と共に客が増えはじめた喫茶店を後にした。




