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境界線の先の僕らにしか見えない隣人  作者: 伊勢海老
【第一章】徒歩15分のアパート
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第5話

そこから先は早かった。まだ早い時間にも関わらず着の身着のままで財布のみを身に付け、モーニングタイムの近所の喫茶店に移動した。


初夏の朝は、まだ少し肌寒く、寝間着代わりのTシャツから出ている腕を摩る。

珈琲が運ばれる迄、二人は暫し無言の時を過ごした。


祐介は砂糖もミルクも入れず、運ばれたばかりの温かい珈琲を一口飲み、ホッと息を吐く。


「死ぬかと思った···。何度も確認するけど本当に後ろには何も居なかったんだよね?」


「驚いた事にな」


何度目のやり取りだと、肩をすくめて佐倉が答える。


「でもミスったな、やっぱり断るべきだった」


頬杖を突き、まだ眠気の残る眼差しで彼は祐介を眺めると呟いた。


「君は奴と波長が合うらしい。俺も気付かなかったけど、君は元々【見える】能力も低くない」


彼が泊まりを渋っていた理由は二つ。


一つは、祐介を通して感じ取ろうとするだけでは相手の性質を見極める事が難しかったからだ。

悪意や強い力のあるモノは、場合によっては反発を示す事がある。


しかし、実際に部屋を覗いてみると大きな反応の兆しがなかったので、これに関しては問題はないものと捉えた。


もう一つは、佐倉の持っている【見える】力に祐介が誘発される可能性があったからだ。


俗説だが、霊感は移ると言われている。

人の第六感は、例えるならばWi-Fiと端末で、

より強い物に繋がろうとする性質を持っているという考え方だ。


如何せん、此方の具合が悪かった。

二人の思っている以上に、祐介は潜在能力があった為、人生で初めての心霊現象を体験をする事となってしまった。


恐怖の為、一時的に佐倉に来て貰ったが結果的には失策だった様だ。


「部屋に帰りたくねぇわ···、どーしよ···」


遠い目をして祐介はボソリと呟くと頭を抱えた。


奴がどうするつもりだったかは知る由もないが、殺されるかもしれないと思ったのは事実。

少なくとも、その事実は脳裏に強烈に焼き付いていて、今は体裁に構っていられない。怖いものは怖いのだ。

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