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境界線の先の僕らにしか見えない隣人  作者: 伊勢海老
【第二章】赤い糸のおまじない
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第40話

特徴的なハートに囲われた【縁】の文字に、呪符の周囲を囲む鬼の文字。ぬいぐるみの中から現れた、例の呪符其の物だ。


「見付けた···これだ」


用意する物に目を通すとぬいぐるみを使用するという点も共通している。


どうやらこのおまじないは想い人を振り向かせる効果を謳っているらしい。


『七日間、好きな人と一緒に寝る様に接したぬいぐるみの中にお札を入れて運命の赤い糸で縫おう』と書かれている一文は、普段なら下らないと一蹴するだろう。

しかし、実際に期待されている効果以外だが板井や佐倉に影響を及ぼしているので馬鹿には出来ない。


「これ、変だよね。【縁】の文字にハートマークは分かるけど、鬼とか禍々しい文字って普通使う?」


「呪符に使われる鬼という文字は神仏や精霊等の目に見えない者達に祈る用途として使われる事が多いが···、この書き方だと術者とではなく、霊と板井先輩が縁を結ばれてしまうな」


恐らく中途半端に知識を齧った者がこのサイトを管理していたのだろう。呪符に印されている文字の多くは専門的な古書を見れば見付けられる物ばかりだった。


少なくとも呪詛の形式となって効果を発揮した霊と縁が出来るという現象は打ち破った筈だ。

だとしたら、目の前に現れた板井を探していたあの女性の霊はなんだったのかと、佐倉は首を捻る。


二人は【赤い糸のおまじない】の頁に記されている文章の詳細を読み込んでいく。最後に書かれていた『これで貴方と好きな人を邪魔する者はいなくなるよ!』という一文に背筋がゾッとして思わず祐介はディスプレイから顔を上げる。

そのまま自身より少し上に位置する佐倉の顔を伺おうとしたが、彼は未だにディスプレイから目を離していなかった。


その横顔から答えを見極めようと集中している事が伝わってくる。こんな表情をしている時は、何を言っても生返事になる事をよく知っている祐介は彼が口を開くのを大人しく待つ。


「俺を邪魔者だと向こうが認識している事は分かる···、だけど呪詛は誰でも出来るものじゃない···霊だけど霊じゃない···」


ぶつぶつと独り言を呟くいつものスタイルで、彼は包帯を巻いていない方の手を口元にやり、肘を反対の手で支えて立ち上がる。ダイニングをふらふらと歩くと掃き出し窓の前で止まった。


窓に写し出された自身の姿を無言でぼんやりと眺める佐倉。

祐介はテーブルに肘を突いて、暫くその後ろ姿を見ていたが、一向に話し出さない彼に声を掛けようと口を開くが、勢いよく振り向いた彼に面を食らう。

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