表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
境界線の先の僕らにしか見えない隣人  作者: 伊勢海老
【第一章】徒歩15分のアパート
4/42

第4話

ゾッとする感覚に意識が覚醒する。

理解が追い付かないが、瞼を閉じているのに部屋の情景が見える感覚があった。

勿論、身体は動かない。心臓部分が熱くなり、息だけが荒くなる。


『佐倉···!』


ローテーブルの近くで掛け布団にくるまり雑魚寝をしている佐倉が意識の端で見えた。

まるで彼の周りにだけ平和な世界が広がっている様だ。


時間が止まっている様に感じる。

うっすらと朝日が差し込んでいるのが、せめてもの救いだった。


祐介は、生まれて初めての金縛りに驚いただけだ、頭だけ起きていて身体が疲れているのだ、と自らに言い聞かせ、自由になるまで落ち着こうと佐倉から意識を外した瞬間、息を飲んだ。


何かが、居る。


ベッドの足元には輪郭の分からない真っ黒の大きな塊が佇んでいた。

言い知れぬ恐怖が身を包む。意識を逸らしたいのに逸らせない。


『嫌だ、殺さないでくれ···!』


喉の奥から上手く吐き出せない息が細く漏れる。

ゆっくりと此方へと動き出すソレに、逃げられない、と咄嗟に意識を閉じる様に全身の筋肉に力を入れた。


「~~!ぅう···」


低く呻く声が出て、身体が動いた。

ベッドから転がる様に下りると、佐倉を揺り起こす。

後ろを振り返る事が出来ない。


「何、何、何?」


いきなり覚醒を促され、寝惚け眼で佐倉は何事か問うと祐介の手を払い、不機嫌そうに後ろに手を突くと身体を安定させた。


「出、出た!」


「···ゴキブリ?」


まだ意識は夢の中なのか、突っ込み待ちのボケなのか。

そんな事を考える余裕のない祐介は構わず大きな声を出す。


「ユーレイだよ!馬鹿!」


「···マジで?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ